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ハッピークローバー

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第二十二話 身体が丈夫ならその十

「凄かったけれど」
「引退されたらね」
「あんた兄貴さん好きでしょ」
「尊敬してるわ」 
 実加は姉に目を輝かせて答えた。
「本当にね」
「そこまでよね」
「ええ、けれどね」
「あの人だって引退したでしょ」
「最後はね」
「誰だってね」 
 金本の様な素晴らしい選手でもというのだ。
「そうなるから」
「最後がよかったら」
「それでもね」
「幸せってことね」
「そうよ、阪神についてもね」
「存続していて選手の人達も奇麗に引退して」
「そんな風だったらね」
 それならというのだ。
「それだけでね」
「幸せなのね」
「それで毎年優勝だったら」
「尚更いいのね」
「こんな幸せなことないでしょ」
「そうね、私虎キチだし」
 理虹は自分から言った。
「特進科の根室っちには負けるけれど」
「ああ、スキー部の」
 理虹もその名前を聞いて言った。
「一つ下だけれどあの子有名だしね」
「もう頭の中の全部が阪神っていう」
「根っからの虎キチなのよね」
「自分で自分の血は黒と黄色って言ってる位よ」
「阪神の色じゃない」
「虎のね、言うことも阪神が殆どで」 
 そうした風でというのだ。
「小学生の妹さんと言い合ってるらしいわよ」
「その妹さんは鯉女なのよね」
「そうらしいわね、それで根室っちは頭はいいしスキーも出来るけれど」
「頭の中は阪神ばかりね」
「そうよ、流石に彼には負けるわ」
「でしょうね、けれどあの子話聞くと幸せそうよね」
「そういえばそうね」
 実加も言われて否定しなかった。
「いつも生き生きと阪神応援してるわ」
「それじゃあ幸せよね」
「巨人に負けたら物凄く不機嫌だけれど」
「まあそれはたまだしね」
「巨人に負けるって年一回か二回だし」
 その程度だというのだ。
「大抵圧勝だから」
「本当に巨人って弱いからね」
「ヤクルトに負けるより少ないから」
 試合を観ればツーアウトだ、ヤクルト側からあと一人コールが響いていて阪神の敗北が間近に迫っているのがわかる。
「それじゃあね」
「たまだからね」
「いいわね」
「ええ、妹さんとも言い合うだけで」
 それぞれが応援しているチームのことでだ。
「険悪じゃないみたいだしね」
「阪神ファンって巨人以外には寛容だしね」
「だからね」
 それでというのだ。
「根室っちもなのよ」
「妹さんが阪神ファンなくても」
「巨人ファンだったら洗脳していたって言ってるけれど」
「それ本気よね」
「西宮大社の神様に誓ってってね」
 その様にというのだ。 
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