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イベリス

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第五十二話 夏になる前にその六

「お前が一番傷付くしお父さんもお母さんもな」
「嫌よね」
「娘がそんな目に遭ったらな」
 それこそというのだ。
「だからな」
「最初に見極めることね」
「そうだ、じっくり見てな」
 そうしてというのだ。
「そうした家にはな」
「入らないことね」
「最初からな」
「それがいいのね」
「逆に犬もっと言えば猫や生きものを大事にする家ならな」
 父はそうした家のことも話した。
「だったらな」
「安心出来るのね」
「そうだ、人も大切にするからな」
「奥さんに入っても」
「犬や猫は家に来るんだ」
 最初からいるのではなく、というのだ。
「そうして家族になるんだ」
「だからなのね」
「そうした人を大事にしているとな」 
 それならというのだ。
「もうな」
「奥さんに入って」
「そうなってもな」
「幸せになれるのね」
「そうだ、だからな」
 それでと言うのだった。
「咲もだ」
「そうしたお家に入るといいのね」
「そうした人ともな」
「命を大事にする人と結婚することね」
「そうするんだ」
「そうなのね、うちはね」  
 ここでだ、咲はまただった。
 モコを見た、そうして両親に笑って話した。
「モコ大事にしてるから」
「咲が結婚してもな」
「相手の人を大事にしたいわね」
「折角咲と結婚してくれたんだからな」
「是非ね」
 良心は笑って話した。
「そうするわ」
「むしろそうしないと駄目だな」
「そうよね、ただ私が結婚ね」
 ここで咲は考える顔になって言った。
「高校に入った時も信じられなかったけれど」
「それでもだな」
「今は高校生ね」
「ええ、大学か就職かもわからないし」 
 高校の先もというのだ。
「それでね」
「結婚もか」
「考えられないのね」
「そうなの」
 こう言うのだった。
「本当にね」
「まあそれでもな」
「結婚もするかも知れないわ」
「しないかも知れないがな」
「その可能性はゼロじゃないわよ」
「そして結婚したら」
 両親は咲に話した。
「その時はね」
「ちゃんとした人と結婚してな」
「私達にも紹介してね」
「そして幸せになるんだぞ」
「そうする様にするわね、けれど恋人もまだだし」
 結婚するどころかというのだ。 
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