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インフィニット・ストラトス ~五年後のお話~

作者:リクヤ
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学園生活
  第十六話 クラス代表戦後!

「やったな、アルバレルト!」
「五月蝿いですよ、西条さん。」
「酷い!」

試合の結果はちょっとの差でアルバレルトの攻撃がクリスティより早く、無事アルバレルトの勝利で幕を下ろした。「流れ星<シューティングスター>」はエネルギー効率の悪い武器であるためかなりの接戦となった。それでも専用機に勝ったのだからアルバレルトは凄い。

「そういえば西条さん。一つ思ったんですが。」
「ん?なんだ?」
「この試合は西条さんの卑怯で下劣な嘘のせいで起きたわけですよね?」
「そこまで言うか・・・」
対価は払うのだからいいじゃないか。
いちいちアルバレルトの言葉は心に刺さる。俺をいじめるのが趣味なのだろうか?
「そしてその嘘のせいで私は西条さんの恋人にされていましたけど、このままだとクリスティさんに誤解をされたままだと思うのは私だけでしょうか。」
「あ。確かに。」
その事については想定外だった。この試合はクリスティの勘違い(まあ、俺の嘘のせいだが)が発端である。試合でアルバレルトが勝ったためその勘違いはそのままになるだろう。

「私、そんなこと耐えられないんですけど・・・?」

ヤバい!アルバレルトの表情が笑っているのに目が笑っていない!
これは恐らくかなりのマジギレモードである。今なら見たものを石に変えそうなぐらいだ。

「わかったわかった!本人に本当のこと言ってくるから!」
「ならさっさとして下さい。じゃないと手が滑って西条さんの頭を剣で切り裂いてしまうかも・・・」
「はい!行ってきます!」

俺は部屋を出て、クリスティのいるCコーナーへ向かった。


アルバレルトさん、マジ恐い。





「ふう、こんな感じでいいですかね。」
あそこまで怒る演技をしたのなんて初めてなのでうまくいったか不安だったが、走って出ていったところを見ると大丈夫だったようだ。
(まったく、何故私が西条さんの尻拭いをしないといけないのでしょう・・・
まあ、クリスティさんのためと思えば仕方がないでしょう。試合が終わったときのクリスティさんの顔、あんな顔を見てしまったら同じ女として思うところもありますし・・・ね。)




Cコーナーに到着した俺はドアから中を覗き込む。すると遠目にクリスティが見えたので中に入った。
「クリスティ、ちょっといい・・・か・・・」

クリスティにかけた声は尻すぼみになってしまった。理由は簡単。



クリスティが泣いていたからだ。

俺が部屋に入ってきたのにも気づかず、ISスーツのまま壁に向かう状態で泣いている。そんな姿を見て声をかけれる俺ではない。
必死に声を抑えているが抑えきれない様子である。

「ひっく・・・・・・ひっく・・・・・・」

何故泣いているのか。その理由ぐらいわかる。

クリスティは俺のことが本当に好きだからこそ、本気でアルバレルトと闘った。
だが、負けてしまった。
本気で頑張ったからこそ負けたことが悔しく、哀しい。
自分の好きな人を諦めるのが悔しく、哀しい。

そんな感情を抑えきれず、泣いている。


・・・アルバレルトの言ったことは大袈裟でもなく事実だったようだ。

本気で俺のことを思ってくれている人を卑怯な嘘をつき、正面から向き合おうとせずに騙し、傷つけた。


本当に俺は卑怯で、下劣な野郎だ。

そんな自分にヘドが出る。

だが、悔やんでも仕方ない。今は精一杯謝らないといけない。

俺のことを思い、俺のせいで泣いている少女へ。


「クリスティ、ちょっといいか。」



クリスティside


試合に負けてしまった私は一瞬頭が真っ白になった。
私は負けたのか・・・?輝龍さんをかけた闘いで、負けてしまったのか?

その実感は時間が経つにつれて確かなものとなっていく。
ISをはずした頃には一筋の涙が頬を伝っていた。一度流れ出した涙は堰(せき)を切ったように溢れてくる。色々な感情が涌き出てきて止まらない。そんな感情を抑えきれず、泣きじゃくる。






「クリスティ、ちょっといいか。」




そんな声で現実へと連れ戻される。その声のした方を見ると輝龍さんがいた。


・・・何で輝龍さんが?それよりも今、私・・・

「き、輝龍さん、どうしたのですか?あ、こんな惨めな姿見せられませんね、ははは・・・」

「クリスティ、すまなかった。」

「・・・何故、輝龍さんが謝るのですか?これはアルバレルトさんと私の闘いです。その結果として私は負けたのですから輝龍さんは関係ありません。」

「いや、俺はクリスティに嘘をついてた。だから謝らないといけない。」


嘘・・・?

「実は、俺とアルバレルトが付き合ってるっていうのは、嘘なんだ。そんな嘘のせいでお前をこんなに傷つけた。本当にすまなかった・・・!」


「・・・へ?」


輝龍さんが発した言葉を理解しようと私の頭は考える。
だが、驚きのあまりかまったく考えがまとまらない。


「あの時はつい逃げようとしてあんなこと言っちゃって・・・クリスティは真剣に伝えてくれていたのに・・・」

やっと頭が現状を認識し出す。
(輝龍さんとアルバレルトさんが付き合っていないと言うことは、私は輝龍さんを諦めなくてよい、ということでしょうか?)


そう理解すると心の底から喜びとも言えぬ感情が溢れでできた。


だとしたら、この機会は利用するしかない。
諦めなくてよいのなら攻めて攻めて攻めまくる。
次は輝龍さんを私に惚れさせてしまおう。



ここからは私のフィールドだ。



「・・・では輝龍さん、許してあげるので一つ、お願いを聞いてくれますか?」

「あ、ああ。いいぞ。」

「今度、私とデートにいきましょう。」

「デート!?」

「ええ、拒否権はなしですよ。」





輝龍さん、必ず貴方を骨抜きにしてあげましょう。



 
 

 
後書き
切りがいいのでここら辺で。

更新が遅れがちになると思います。すみません。 
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