おっちょこちょいのかよちゃん
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
209 雷の山の争奪戦
前書き
《前回》
かよ子達の前に大量の矢と爆発が襲う。かよ子達はそれを仕掛けた男、シャルル・リゴーと対決する事になる。そしてある少年は雪山で遊女達と共にスケートを満喫する。そして西にある雷の山を奪還しに動くすみ子達組織「義元」はアルバートという男と対峙する!!
様々な情景のある山脈に一人の法師が到着していた。彼の名は玄奘という。
「ここがかの様々な気候が交差する山脈・・・」
玄奘は数珠を出し、手を合わせた。そして唱え始める。
「我らはここに願わん。平和を願う為に。その為の地・水・炎・風の力をこの世の平和に与え給えよ」
その時、火山、土山、水が潤う山、そして風を自然と生み出す山の四つから何かが玄奘の元に飛んできた。それは四つの宝石だった。
「これを本部に持って行けばよいのか・・・」
そして彼の頭の中にテレパシーのように声が聞こえて来た。
『玄奘、私です。フローレンスです。剣の奪還には成功されましたが今度は杯の所有者の杯が奪われました』
「なぬ!?」
『はい、そちらの宝玉を手にしましたら先に我々の方へと戻りましたのち、杯の奪還に手をお貸し頂けませんでしょうか』
「了解。赴こう」
玄奘は連絡を終了し、本部のある南部へと向かうのだった。
三河口、湘木、そして冬田の三人は本部へと剣を輸送する。
「ここまで来ると胸騒ぎってのは少なくなって来たが、領土攻撃班がここでも領土奪還して本部守備班が進んで来ているのかもしれんな」
「ああ」
冬田はしんみりしていた。
(大野くうん・・・)
冬田はできればりえの救出に行きたかったのだが、その目的は大野と再会したいが為だったので三河口の従姉のゆりに止められたのだった。
「冬田さん、そんなに大野君に会いたかったか?」
三河口が質問する。
「え?ええ・・・」
「やっぱりそれか。君がここに来たのは元の日常を取り戻しに戦う為じゃなくて大野君とデート気分を楽しみたい為なのか?」
「そ、そうじゃないけどお・・・」
「なら、ゴネるな。それから追っ手が来たら君も戦えよ」
「ええ!?」
「『ええ』ってフローレンスに羽根を強化してもらったんだろ?俺は剣を預かっている為にできねえんだ」
「お兄さんもその剣を使って戦えばいいじゃなあい」
「馬鹿か。道具というのは選ばれた者しか使えん。俺は剣を運ぶ為に持っている。使っていいとはフローレンスもイマヌエルも言っていない。俺にこの剣は使いこなせんという事だ。下手に無理して使おうとするとどうなるか・・・」
三河口が剣を構えて冬田に襲いかかろうとする。
「や、やめてえ!」
しかし、三河口は剣を振らなかった。それどころか「あちい!」と悲鳴を挙げて剣を置いた。
「ど、どうしたのお?」
「これを見ろ」
三河口は冬田と湘木に自分の手を見せた。三河口の手は焼けただれていた。
「三河口、大丈夫か?」
「いや、大丈夫じゃない。使おうとして手が火傷するって事は俺には使えないって事だ」
冬田は自分の浅はかな考えに反省した。
「それから追っ手が来てるぜ」
「何だと!?」
かよ子はシャルル・リゴーと交戦する。かよ子は火薬を操る能力を得た杖で迎撃する。
「俺も手助けするよ!」
関根が忠治の刀を振るう。シャルル・リゴーの兵が薙払われる。椎名も水の玉を使い、大波を出して攻撃した。
「やるな、だが、これでは私は倒せんぞ」
シャルル・リゴーはかよ子の爆撃も、関根の刀も、椎名の水責めも防御した。
「な・・・!!」
「でも、機械は無効化されてる筈だブー!どうして防がれるブー!?」
「結構手強い奴なんだろ!」
大野が草の石を力を使い、この葉や巨大な枝を大量に飛ばす。一部の兵を倒せたが、シャルル・リゴー本人には回避された。
「ちい、素早い奴だ!」
「フハハハハ、死ねい!」
シャルル・リゴーが槍を飛ばす。
「槍なら俺が相手になってやる!」
大政が槍を出現させて対抗した。鋼鉄の楯が現れてシャルル・リゴーが放った槍を防御した。
「フハハハハ、貫通させてやるぞ!」
「キャロライン、念力よ!」
「うん!」
のり子の人形が大政の楯に念力を掛けた。シャルル・リゴーの槍が粉砕される。
「やった!」
「ちい。だが、別の攻撃を忘れるなよ・・・」
雷の山。すみ子達はアルバートという一人の男と相対していた。すみ子の銃で防御をしたものの、何とかなったという形である。
「この野郎!」
山口は矢を放つ。その矢は高速でアルバートの脳天へと向かう。しかし、アルバートは電気を体中に纏い、山口の矢を無力化した。
「ちい、駄目かよ!」
「これはこの山の雷の力があのアルバートという男に支配されているからであろう」
ジャンヌが説明した。
「雷に弱点は何かあるのか?」
川村が問いた。
「それはこの土を更に絶縁状態としたいのだが、この山の性質上、それは無理だ」
「それなら?」
「木々や植物をこの地に植えれば防げる筈。例え雷に砕かれても直ぐに再生が可能だ」
「よっしゃ!ならオイラの『草玉』で増やすでやんす!」
ヤス太郎はパチンコで草玉を地面に発射した。草が茂りだす。アルバートが再び剣で電撃を放つ。だが、伸びた草で防がれてしまい、さらにすみ子がまた銃で結界を張って防御したので今度は何もできなかった。
「何!?ならもう一度成敗してくれる!」
アルバートはまた電撃を放つ。だが、それでも糠に釘であった。もう一度、振るが、今度は電撃が出なくなってしまった。
「な、これはどういう事だ!?」
「雷の山の操作を私の舞で解除させて頂きました。これで貴方はこの雷の力を使う事はできません」
エレーヌが断言した。
「今だ!」
「おうよ!」
山口が矢を放ち、川村はバズーカを発砲した。山口の矢はアルバートの周囲の地を粉砕し、川村の出したバズーカからは爆発の煙が上がった。同時に雷鳴が鳴り響いて皆は驚いた。
「・・・やったか?」
山口は勝利を確信したかった。
「私の秤で公平なように調整したのだが・・・」
ジャンヌは秤で双方の戦力が水平になるように調整していた。その場にアルバートの姿はなかった。
「姿が見えねえ・・・」
その時、ジャンヌの秤が左に傾いた。
「な、我々が不利な状況に陥っているだと!?これはどういう事だ!?」
ジャンヌは周囲を見回す。だが、アルバートの姿はない。その時、ヤス太郎が出した草玉が消え、皆の周りを何かの光線が襲った。すみ子が咄嗟に銃で弾き返した。
「・・・ったく、何て酷い方々なのかしら」
「父上をこんな目に遭わせて!」
二人の女性がその場にいた。
「だ、誰だ!?」
さらにその後ろには姿を消していたアルバートが背後にいた。
「ふふ、助かったよ。我が娘、アリスとヘレナだ」
「何、娘だと!?」
「向こうに援軍が来てしまえばもっと厄介・・・。私も本領発揮させていただく!」
ジャンヌが神の声を聞こうとする。
「ジャンヌよ・・・」
「その声は・・・聖マルグリット・・・!!」
「あの者は、神の声を聞く事ができるという女ね!」
「ヘレナ、やっつけるわよ!」
「この十字架を使え・・・!!」
ジャンヌの手にいつの間にか十字架が持たされていた。アリスとヘレナ、さらに二人の父・アルバートが纏まって襲ってくる。すみ子がまた銃で迎撃した。
「同じ手が二度通用するか、バカ娘が!」
アリスがティアラのダイアモンドを触る。すみ子が銃で出した壁が粉々にされた。
「もう駄目・・・!?」
「これでも喰らえやんす!」
ヤス太郎が火薬玉を飛ばした。しかし、簡単に防御された。
「ヘレナ、やったわね」
「えへへ」
ヘレナは十字架を持っていたのだった。
「よし、こっちからの攻撃だ!」
アルバートが剣を突出す。雷の山の力を借りた力ではない、別の力が来る。強風がすみ子達を襲う。
(や、やられる・・・!!)
「この剣の風を喰らったら異能の能力を持っていてもひとたまりもないぞ!」
「な・・・!」
エレーヌの能力静止も解除の舞いも通用しなかった。これでは纏めてやられてしまう。
後書き
次回は・・・
「結界に刺さる槍」
アルバート、アリス、ヘレナの巻き返しで不利になってしまっていくすみ子達組織「義元」。彼女達はここで殺されてしまうのか。そしてかよ子達はシャルル・リゴーと戦うのだが、シャルル・リゴーはかよ子の杖を奪う為にある攻撃を仕掛ける・・・!!
ページ上へ戻る