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ハッピークローバー

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第二十一話 梅雨が近付いてその四

「汗をかくしおトイレだって行くしフケや垢も出るのよ」
「人間だから」
「そう、同じ人間だからね」
 アイドルといえと、というのだ。
「それでよ」
「奇麗にしないと」
「さもないとね」
「不潔なアイドルとかね」
「問題外でしょ」
「もうアイドルじゃないわ」
「そうでしょ」
「服が汚れているだけでも」
 それだけでもというのだ。
「駄目だし」
「アイドルはいつも奇麗に可愛くでしょ」
「ええ、だからね」 
 それでというのだ。
「アイドルなら尚更よ」
「奇麗に可愛く」
「そうしないと駄目だから」
「清潔さは大事なのね」
「体臭もしたら駄目でしょ」
「そんなアイドルも考えられないわ」
「そうでしょ」
 母は留奈に微笑んで話した。
「アイドルもそうよ、奇麗にしてこそね」
「奇麗になるのね」
「どんな美人でもお風呂に入らないでいたら臭くなってね」
「汚くなって」
「嫌がられるわ」
 そうなってしまうというのだ。
「どうしてもね」
「そうなるものね」
「けれど奇麗にしていたらね」
「人気が出るのね」
「そうよ、もてたかったらまずは奇麗にする」
 母はこうも言った。
「そこからよ」
「お風呂に入って着替える」
「まずはね」
「そういうことね」
「あとお部屋のお掃除もよ」
 これもというのだ。
「するといいわ」
「お掃除もなのね」
「そう、そちらもね」
「忘れないことね」
「そうしたら余計に奇麗になって」
「自分自身もなの」
「汚れたお部屋にいたら汚れるでしょ」
 こう娘に言った。
「そうでしょ」
「お部屋の汚れが付いて」
「それであまり汚いと虫も出るわよ」
「ゴキブリとか?」
「ゴキブリならまだましよ、ムカデとか出るわよ」
「えっ、ムカデ」 
 留奈はこの生きものの名前を聞いてギョッとなった、尚ムカデは昆虫ではない。昆虫とは頭と胸、腹に身体が分かれていて足は六本であるのだ。
「ムカデも出るの」
「あまり汚いとね」
「ムカデ噛むわよ」 
 留奈はそのギョッとした顔のまま母に言った。
「しかも毒あるわよ」
「そうよ、だからね」
「尚更なのね」
「他の変な虫も一杯出かねないから」
「お部屋が汚いとなのね」
「だからね」
「お部屋も奇麗にするとなのね」
「尚更いいのよ」
 こういうのだった。
「それでね」
「そうなのね」
「だからね」
 母は留奈にさらに言った。 
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