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選んだ後継者

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第三章

「そのプシュミエル殿か」
「あの方が次の王か」
「そうなられるのか」
「まだお若い方だが」
「そうなるか」
「そうです」
 リブジェはその通りだと答えた。
「プシュミスルこそがです」
「次の王ですか」
「予言ではそう言われましたか」
「そしてその方がチェコを守る」
「そうしてくれますか」
「左様です」
 まさにというのだ。
「そうなります、ですから」
「これよりですね」
「プシュミスル殿を次の王に定める」
「ご本人に告げられるのですね」
「そうします」
 こう言ってだった、リブジェは白い馬に乗ってそのうえでプシェミスルの居場所に赴いた、そこは貴族の居城とは思えない位に質素なもので。
 その前にも畑が拡がっていた、そしてその畑を。
 青年になったばかりと思われる茶色の髪と目の逞しい長身の質素な服の男が二頭の牛を使って畑を耕していた。 
 その者にだ、リブジェは姉達と共に馬から降りてそのうえで歩み寄ってそうして声をかけた。
「ブシェミスル殿ですね」
「貴方様は」
「リブジェです」
 自ら名乗って答えた。
「この国の女王です」
「左様ですね」
「はい、貴方を次の王にと考えていますが」
「私がですか」
「はい、ですが」 
 ここでだ、リブジェは。
 彼が畑を耕しているのを見て残念な顔になって述べた。
「来るのは少し早かったですね」
「それはどういうことですか?」
「実はです」
 リブジェはいぶかしむブシェミスルに答えた。
「これも予言ですが」
「それで言われたことですか」
「はい、その畑を最後まで耕すことが出来たなら」
 それならというのだ。
「この国は何時までも充分過ぎる程のパンが作られました」
「麦からですか」
「ですが私達は邪魔をしました」
 彼の畑仕事をというのだ。
「その為我が国はしばしば飢饉に襲われることになりました」
「それは残念ですね」
「非常に」
 姉達は妹の言葉を受けて顔を曇らせた、他の貴族達も同じだった。
「飢えに悩まされるとは」
「そうなるとは」
「無念です」
「それにどう対するかですね」
「はい、それは残念です」
 リブジェは曇った顔と声で述べた。
「まことに。ですが」
「ですが?」
「ですがといいますと」
「ここは彼の鉄の鍬を返し」
 リブジェはこうも言った。
「その上に座ってお話をしましょう」
「鉄のですか」
「そのうえに」
「はい、そこで彼が出したチーズをパンを口にし」
 そうしてというのだ。
「お話をしましょう」
「ではその様に」
「これより」
 姉達も頷いた、そうしてだった。
 三人は丁度彼が使っていた鍬そして彼が持っている他の二つのその上に腰を下ろしてそうしてからブシェミスルが出したチーズとパンを食べつつだった。
 そのうえでだ、共に食べるビシェミスルに尋ねられた。
「鍬の上に座って食べてお話をすることも」
「予言です」
 それによるものだとだ、リブジェは答えた。 
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