大阪のお歯黒べったり
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第二章
黒髪をロングヘアにしている女性の店員がいた、店の制服を着ている。
顔は普通だ、ただし目がなく。
口から見える歯は黒い、その歯で言うのだった。
「お歯黒はね」
「えっ、まさかと思うけれど」
「妖怪さん!?目がないし」
「このお店妖怪さんが店員なの」
「そうなの」
「店長さんが友達でね」
妖怪は自分を見て言う二人に笑って話した。
「夜のアルバイトをさせてもらってるんだよ」
「そうなのね」
「このお店で」
「夜だからバイト代いいしね、それであたしはお歯黒べったりだよ」
妖怪は自分から名乗った。
「まさにそのお歯黒の妖怪だよ」
「うちの学校にもいた?」
「そうよね」
二人は妖怪の名前を聞いて語った。
「のっぺらぼうに似てるけれど」
「この妖怪さんもいたかしら」
「のっぺらぼうは親戚だね、それでお歯黒ならね」
妖怪は自分から言ってきた。
「あたしだからね」
「それでなの」
「お歯黒のお話は出来るの」
「そうだよ、お歯黒は身体に入れても何もないよ」
それは大丈夫だというのだ。
「お公家さんだって塗ってたしね」
「ああ、そういえばね」
「奥家さんも縫ってたわね」
「お顔白くお化粧して」
「眉を丸くしてね」
「お白粉は毒だったけれどね」
鉛を使っているからだ。
「けれどお歯黒はね」
「大丈夫なのね」
「歯に塗っても」
「安心していいよ、ただね」
「ただ?」
「ただって言うと」
「最初に言ったけれどまずいんだよ」
その味はというのだ。
「これがね」
「そうなのね」
「まずいのね」
「それは覚悟しておくんだよ」
こう二人に話した。
「今はどうかわからないけれどね」
「まずいのね」
「けれど毒とかはないのね」
「それは安心してね、あとあんた達はちゃんと見えてるからね」
妖怪はこうも言ってきた。
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