星河の覇皇
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第八十部第五章 秘密兵器その十
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「ボタンを押すだけだが」
「指を動かすだけです」
まさにというのだ。
「たったそれだけですね」
「そうだ、私はこれまで駆逐艦にいたが」
「その時は」
「水雷戦だ、だからだ」
「敵に突撃するか待ち伏せして」
「ボタンを押してだ」
まさにそれをというのだ。
「魚雷を放っていたが」
「それはですね」
「普段は何もなかったが」
それがというのだ。
「今回はな」
「それがですね」
「緊張して仕方がない」
そうなっているというのだ。
「まことにな」
「左様ですね」
「これまでは勝敗を決してもな」
「只の攻撃でしたね」
「しかしそれがだ」
今はというのだ。
「違う」
「左様ですね」
「非常に大きい」
責任感、それがというのだ。
「だからな」
「緊張しておられますか」
「生まれてから最もな」
「そうなのですね」
「だがな」
「はい、我々はですね」
「士官でありだ」
そしてというのだ。
「艦長でありだ」
「副長ですね」
「ならだ」
「緊張していても」
「例え痩せ我慢でもな」
「そうしたものは顔に出さず」
「そのうえでだ」
まさにというのだ。
「指示を出さねばならない」
「艦全体に」
「だからだ」
「今もですね」
「緊張していてもだ」
「責を果たすべきですね」
「何があろうともな、アッラーがだ」
彼等の神がというのだ。
「守って下さる」
「アッラーを信じ」
「務めを果たすぞ」
「わかりました」
大尉、副長は少佐つまり艦長の言葉に頷いた。そうしてそのうえで極秘通信からの指令を待った。そしてだった。
アッディーンは報告を受けた、その報告はというと。
「あの艦艇が全艦です」
「配置についたか」
「今」
「わかった、では」
それではとだ、アッディーンはその報告を聞いて述べた。
「今だ」
「攻撃ですね」
「そうだ、全艦それぞれの目標にだ」
「攻撃ですね」
「その瞬間にだ」
まさにその時にというのだ。
「ロックオンをしてだ」
「そのうえで」
「攻撃だ」
それを行えというのだ。
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