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レベル5 量子入力

作者:ルルイエ
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もしかしたら存在したかもしれない未来

 
前書き
この作品を読む前にこの方の考察を見てからこの小説を読むと理解が深まるのでぜひオススメです。
https://nico.ms/sm34231550
ちなみに1時間40分くらいかかります 

 
ㅤ私はㅤㅤㅤㅤという。今ではあらゆる世界の全てを支配、観測する物だ。

ㅤ私は人間であり、高次の自己である。

 

ㅤ私はあらゆる数の人で1人の人である。

 

ㅤ私は無数を愛するものであり1人を愛する者である。

 

ㅤ私は愛するものであり、愛されるものでは無い。

 

ㅤ私は何処にでも存在し、何処にでも現れるものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ストォォォォップ!!!!」

 

「おわァ!?」

 

ㅤ上条当麻は絶望していた。この幸せの世界に。

 

ㅤ上条当麻以外全てが幸福の世界に……私はきっと彼がこの世界を肯定するだろうと思っていた。

 

ㅤ私の恋した相手はそういう相手ではないとわかっている。彼はあくまで幸福を願うのではなく、泣くのも我慢する相手を見捨てられないだけでしかない。彼は決して世界を救う為に動く事はしない。わかっている。だからこそ、この世界は彼を1番傷付けてしまう世界だ。

 

ㅤしかしそれは誰もが肯定を迫られる世界だ。だが私は言おう。

ㅤ人の意志も人の強さも人の思いさえ踏みにじり、あまつさえ我が愛しき人に牙をむく世界なんかクソ喰らえだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤこれは決して彼女が紡ぐ物語ではない。

 

ㅤ彼女がヒーローとして輝く世界でもない。

 

ㅤこれは愛した人のためその人の幸福を希う物語だ。

 

ㅤ上条当麻が変わらなかった物語だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤここはどこだろうか。

 

ㅤ分からない。

 

ㅤ光も通らない場所に彼女はいた。

 

ㅤ何年もここにいる気がする。

 

ㅤあれ?数秒だったかな。

 

ㅤ1秒が数年にも感じる。

 

ㅤ逆に何千年が数秒にも感じる。

 

ㅤ不思議な感覚だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「プハァ!?」

「おい!?平気か!!」

 

ㅤ先程から感じた感覚は無くなり私は体を飛び上がるようにおこす。

ㅤするとつんつん頭の少年が心配していたように体を揺らす。

 

「あ、ああ……すまない助かった」

 

ㅤ私の名前は四条陽香。学園都市に八人しかいないレベル5能力者だ。能力は量子入力。

 

ㅤそして私の目の前にいる男は上条当麻さん。

ㅤ私の命の恩人で同時に最高のお友達だ。

 

「悪いね。また私は脳死してたのかな?」

 

ㅤ辺りを見ればそこは病院の一室でカエル顔の医者の顔が見える。

 

「驚いたよ。君の脳は完全に機能を停止していた、なのに彼が触れるだけで息を吹き返すんだからね」

「まあ私が気絶していた理由は膨大な演算による脳の機能不全になることですから。能力の方を打ち消してもらえば演算は必要なくなり機能は回復しますからね」

 

ㅤ私は能力を使いすぎると脳がオーバーヒートし、機能不全をおこしてしまう。 普通の能力者ならこういったことはまず起きないのだが、私は例外。そもそも量子世界はどの様な法則も先ず通じることがない全く未知の空間というものだろう。それらを視界に入れた量子を観測しそこにある入力を行うことで物質を生み出したり電気を発生させたり世界を断ち切るようにずらす事ができる非常に強力な能力なのだ。

 

「ただ量子の観測にほとんどの演算を持っていかれるのだけど」

「先輩なにか言いました?」

「あ、いや何も……」

 

ㅤただ私の能力は演算能力が全くもって足りていないわけで私が支配できる演算範囲は認識できる約300mに収まっているわけなのだ。しかも失敗すれば、オーバーヒートを起こし倒れてしまう。かなり生産性が悪く見える能力なのだが何故か私の能力はそう言った成長性を無視されているような気がする。本来ならならレベル 3でもよさそうなところなのだが何故かレベル5、しかも第2位に認定されているのだ。気になるところはあるが考えても仕方ないので、この思考はここまでにしよう。

 

ㅤ私はベットに寝転がっていたようで起き上がろうとした時、少し脚をふらつかせた。

 

「わわっと」

 

ㅤするとポスンと私の頭は我が後輩である上条当麻の胸元に入り込みもたれかかる。

 

ㅤブラフである!

 

ㅤもう一度言おうブラフである!

 



ㅤなぜ足をふらつかせたか、そんなの決まっているだろう。我が後輩におんぶ!もしくはお姫様抱っこで寮まで連れ買ってもらうためにきまっているだろう!

 

「わ!?せ、先輩!!」

 

ㅤくくく、あわめふためいて、これだから童貞、いや純新無垢と言った方がいいか。恋のひとつも知らん後輩の相手はやりやすい。

ㅤ私の目的は既成事実、男の弱点は責任だ。つまりこのまま我が後輩の家まで送ってもらってそこから私と我が後輩のバージンロードを歩ませてもらおうか!。残念だったな急成長した乳牛め!これから先貴様の入る余地は一切なくなるのだハーハッハッ。

 

「すまないなぁ、後輩よ。どうやら足がおぼつかなくてな。悪いが君の背中をタクシー替わりに学生寮まで送ってはくれないだろうか」

「なんというかすごくわざとらしいんですが…………」

「なに、私の学生寮と君の学生寮は隣同士だろ。そこまで送ってくれたらいい。鍵もここに…………おや、鍵はどうやら学校に忘れてしまったようだ。これはしかたないなぁ。とりあえず今日は君の家で泊めてもらってもかまわないかい?」

「絶対わざとですよね!?本当は足はちゃんとしてるんですよね!?」

「そんなに疑うかい?仕方ない。ここは冥土返し様である彼に足を見てもらおう」

「ふむ。随分と疲労が溜まっているように見えるね。どうやら熱中症の症状が見えるね。」

「ほら、だから仕方ないんだよ後輩」

「先輩?能力使いましたね」

「なんの事だかさっぱりだなぁ」

 

ㅤ当然熱中症の症状もブラフ。量子入力により自分の量子を観測、及び入力しそういう状態の肉体にしただけである。

 

「そうかそうかー、我が後輩よおんぶじゃなくてお姫様だっこが良かったのか!そうかならしかたない」

 

ㅤそういいながら私は右手を上条当麻の左肩から右肩へ通すように伸ばし左手をその右手に掴み。飛び込んだ。つまりお姫様抱っこである。

 

「ちょ!?先輩!?恥ずかしくないんですか!!俺が世話になりっぱなしの恩人かいるのに!?」

「あ、冥土返しさん?このこと普通に言いふらして貰って構わないですよ。主に後輩の見舞いに何度も来てる金の長髪の蜂女には特に言いふらしてくださいねー!」

「わかったから降りてください先輩!」

「あ、ちょっと待って」

 

ㅤすると私はポッケから携帯を取り出すと少し距離を離しながら構える。

 

ㅤパシャ!

 

ㅤそんな音が鳴った後。私はすぐさまメール画面を開き、画像をつけ〖私お姫様ー〗とだけ付け送信。相手の名前は昨年はゼロ、今は100、すなわちレベル5第6位の食蜂操祈である。

ㅤ送信後、数秒でこんな文字が帰ってきた。

 

【動くな】

 

「あ、やばい」

「え?」

「さあ後輩よ。怖い怖いお姉さんキャラがここに来る前に私を抱えここから逃走するのだ!!」

「何をしたんですか先輩!?」

 

ㅤ私達はそこを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤその頃送られてきた画像に食蜂操祈は力いっぱい携帯を握り潰そうとした。

ㅤ貧弱すぎてヒビのひとつも入らないが。

 

「フフ、フフフフフ、上等よぉ……第二位だろうが知ったことではないわぁ」

 

ㅤめちゃくちゃブチ切れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてここら辺まで逃げれたら大丈夫かな?」

「先輩……人の目もあるので降りてくれませんかね」

「嫌だね。ここはまるでパラダイスだ」

「こっちはむしろ主に男からの殺気の視線がめっちゃ怖いんですけど!?やだ!!あの視線だけで私昇天しちゃいそう」

「おお、これが噂に聞いていたオネェ化か」

 

ㅤ私達は現在衆人観衆の目にあった。ここは交差点の上にある大きな歩道橋でそこに色んな店があったりする。

ㅤ外ではこういう場所は見かけないだろうが学園都市は何十年も技術が発展しているためこういう場所はよくある。

ㅤそんな所で私達はお姫様抱っこで運ばれているのだから。

 

ㅤまあそれが降りる理由にはならないが。

 

「それにしても先輩が補習なんて何でですか?先輩なら普通に補習なんか受けることなんてないですよね」

「おやぁ?そんなことも言わなければ分からないのかぁい」

 

ㅤ私はいやらしい笑みを浮かべながら指先を上条当麻の顔に、ヒタリ、と当てる。

 

「そういえば後輩が好きな女性のタイプはお姉さん系だったね。どうだい2つ年上の私を貰うというのは」

「か、上条当麻さんにそんな誘惑は通じませんことよ」

「陥落寸前じゃないか」

 

ㅤ私はニヤニヤ笑顔を浮かべる

 

「ていうか俺が言うお姉さんというのはこう、なんというか……年齢ではなくてですね。勉強を見てくれたり、家事が出来たり困ったことに相談に乗ってくれたりするようなそういったオーラを出している女性のことを指すので。

ㅤそれに先輩はム、いえ」

「おや?歯切れが悪いがどうしたのかい。はっきりいったらどうだい」

 

ㅤ何やら不満があるようなので聞き返すと。

 

「なんというかほら先輩はどっちかというと包囲力というのが致命的にかけているというか。加えて胸囲も……」

「は?」

 

ㅤ瞬間私は携帯を弄り先程メールを送った相手にもう一度送る。

 

【神さま仏さま食蜂様。

ㅤ貴方様はこの1年で立派な胸囲と包囲力を手に入れましたね。一体何人にもませたらそうなるのでしょうか】

 

ㅤ送信

ㅤ………

 

ㅤ受信

 

【喧嘩を売ってるのかしらァ?

ㅤそれはそうと私は大きくなる運命にあったからよぉ。勝手に人を痴女にしないで貰えるかしらぁ

 

Ps動くなって言ったわよね】

 

【ありえない。

ㅤあれだけちっぱかったあなたの胸が大きくなるなんてありえない。はっ!?まさかの胸の大きくなる研究をしているところを襲ったとか!?くっこうなれば量子入力で私も胸を作るしか!包囲力は後で勉強!!。

 

Psお姫様抱っこだったから一切動いていないよ】

 

ㅤ送信

 

ㅤ受信

 

ㅤ受信は無視し、私は胸を製造を始める。

ㅤみるみるうちに合わなくなるブラジャー元々はAだったが今ではDとなる。当然ながら私のブラジャーはその胸囲から離れるようにホックがズレ、外れる。

ㅤだが現在お姫様抱っこ中なので外れたブラジャーはお腹部分止まる。

ㅤとはいえさすがに私もこの状況には戸惑いがあった。さすがに衆人観衆の中好きな相手の前でブラジャーが外れて恥ずかしくないのはただのMだ。

 

ㅤそんな訳でブラジャーが服の隙間から落ちないように下ろしてもらい。

 

「す、すまない。衝動的に作ってしまったDのせいでブラジャーが落ちてしまったのだ。ホックをつけて貰えないだろうか」

「先輩何してるんですか」

 

ㅤ上条当麻から少し呆れ目の視線を向けられ、さすがに赤面する私。ホックをつけ直してもらい今度こそ2人で寮に帰ろうとした時、それは起きた。

 

「ニャ!?」

 

ㅤ電気の波を観測してしまったことにより猫っぽい奇声を上げる

ㅤこ、この状況AIM拡散力場は電撃使い。それにこの総量はレベル5クラス。そんな限定的な人は一人しかいない。

 

「見つけたわよあんた!!」

「あ、ビリビリ」

「ああ、なるほど貴女ですか」

 

ㅤそこには茶の短髪少女。レベル5第4位の超電磁砲で有名であの御坂美琴がいた。

 

「あんた誰?」

「む、いきなり割って入ってそれですか。後輩のくせして敬語のひとつもなしですか」

「敬語ってあんた私と変わらなそうな見た目してるけど」

「背が小さいのは気にしてるから言わないで。それでも超電磁砲で有名なあなたがなんでここに。まさか操祈ちゃんが送ってきたという刺客というのは!?」

「先輩、その操祈さんって方に何をしたんですか」

「NTR」

「ハア!?」

「何してるんですか先輩!?」

「それにほぼ近いし事。私だって乙女ささすがに私の初めてをそう簡単にはやらないさ」

 

ㅤはははっ、と笑う私の横では呆れている2人を横に内容を元に戻す。

 

「それでも美琴ちゃんはなんでここに来たんだい」

 

ㅤそう言うと御坂美琴は思いだいたように手を叩く。

 

「そうそう。あんた今日こそ決着をつけてやるわよ!」

「……またかよ」

「後輩よ一体何をしたんだい……レベル5にでも喧嘩を売ったのかい?」

「そんなことしませんよ!」

「とにかく!今日は逃がさないわよ!以前はずっとにげまくってくれちゃって!」

「つってもいくら攻撃してきても俺には効かないんだから不毛なだけじゃねぇか」

「そーよ、1発も食らってないんだもん。という事は引き分けってことでしょ」

「あーそうですか。じゃあお前の勝ちでいいよ」

「……ふざけんなぁぁぁ!!!」

 

ㅤ衝動的に御坂美琴は電気を放ちあたりの電化製品を壊す。さすがに私のまで壊されるのは面倒なので量子入力で電気にベクトルを入力し回避する。

 

「どーよこれでひねくれた頭のネジ入れ替えられた?」

「ふざっけんな!お前が前どデカい雷落としたせいでうちの冷蔵庫とか電化製品全滅だぞ!」

 

ㅤそうなのか。しかしそれはいいことを聞いた。

 

「おや後輩は今電化製品がこわれているのか。ならば仕方ない今夜はうちのを貸してやろうではないか。私は事前に察知して回避しているので風呂も暖かいご飯も食べれるのだが、どうだろうか」

 

ㅤそう提案すると上条はまるで神でも見るようにからだ。震えさせ、ははぁー、と土下座のポーズをし崇めるようにする。

ㅤしかしそうしているのも束の間、学園都市の警備ロボがぴーぴーと鳴らしながら迫り来た。

 

「とりあえず逃げようか」

「ソウデスネ」

「なんでこんなことになるのよー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ2人は学生寮まで帰ってきていた。

 

「なんとか逃げ切れたようですね」

「そうみたいだね」

「と言うか先輩やっぱり鍵あるじゃないですか!」

「そりゃ複製したから」

「え?この人自分がマスターキーだと公言したんですけど!?」

「とりあえず後輩の家に行って今日の衣服とか取りに行こうか」

「いや俺一人で行きますけど」

「何を言っているのさ!君は私の部屋で寝ようとしているのだぞ。乙女の部屋を見るつもりなのに自分の部屋は見せないというのか。それは随分と薄情だねぇ」

 

ㅤそう言うと上条当麻は黙るしかなかった。

ㅤちなみに嘘である。本当はこの女は思いっきり上条当麻の部屋を見たいだけである。あわよくばその匂いを堪能するつもりである。

ㅤそんな魂胆を思い浮かべながら私達はエレベーターを上がってゆく。

ㅤ途中の階でなにか不思議な感覚に襲われたが、その階を通り過ぎると次第と離れていく。多分どこかのだれかが私の範囲内で暗算内で能力でも扱っていたのだろう。

ㅤ私の暗算は領域は約半径3m。その範囲なら、何かしらの異変が起きた時自動的に観測のみを行う。

ㅤさっきはエレベーター越しにだれが能力を使っていたのだろう。

 

 二人はエレベーターを降りるとそのまま間端の部屋まで歩く。するとそこには縦長の丸い掃除機が並んでいた。

 

「後輩!!119!!」

 

ㅤそしてそれを取り囲むように白い修道服の少女が真っ赤に染まりながら倒れていた。

 

「インデックス!?くそ、いったい誰にやられたんだよ!」

 

ㅤそう言いながらも携帯の番号に数字を押し呼ぼうとする。

ㅤしかしそれを遮るように後ろから声がする。

 

「ん?僕達魔術師だけど」

 

ㅤそこには顔にバーコードの刺青でも入れた長身の男がそこにいた。

 

「てめぇが、こんなことをしたってのか!!」

「正確には僕ではなく神裂がなんだけど。それに神裂自身絶対傷つかないと知っていたから攻撃したんだけど、ああ、彼女の衣服法王級の霊装でね。どんな攻撃にだって絶対的防御の能力を秘めていたはずなんだけど」

 

ㅤそう言うと上条は自分の右手を見る。

ㅤそんなことを関係せず彼は言い続ける。

 

「それになんでだろうね。こんな逃げ場のない場所に逃げ込むなんて。発信機用のフードもないわけだし、どこかで落としたのかな?」

 

ㅤそう言うと上条は全てが繋がった気がした。

ㅤ魔術師追われていること。

ㅤここに戻ってきたこと。

ㅤ上条の部屋にフードがあること。

ㅤ彼女の善性。

 

「ばっかやろう。なんで逃げてる奴が周りのことなんか気にできるんだよ」

 

ㅤ彼女の優しさに心を苦しめる上条、しかしそれに敵は待ってくれない。

 

「さぁどいてくれないか。僕達はそれを回収しなくちゃいけないんだ。正直な所君たちに構っている暇はない訳だし、そ・れ・に・時・間・も・な・い・」

 

ㅤその言い方に頭にきたのか上条は声をふるわせる。

 

「てめぇは、何様だ!!こいつにお前らにとってどんな価値があるかなんて知らねぇ!!こいつが世界にどれほどの影響を与えるのかも知らねぇ!!でもお前らにだって、善人と悪人との区別くらいつくんだろ!!なんでか弱い少女なんか追いかけるんだよ!!!!」

 

ㅤ彼はそれに対し舌打ちだけすると、一拍おき。

 

「ステイル=マグヌス、と名乗りたいところだが【Fortis931】と、名乗ろうか」

 

ㅤそれに対して上条は疑問を浮べるがステイルは笑いながら答える。

 

「殺し名だ」

 

ㅤ瞬間そこには先程の気楽な雰囲気は感じられなかった。裏の世界で暗躍する四条やあらゆる戦場を駆け巡った上条だからこそ気付けた。

 

ㅤ2人はゾクッとやばい感覚に襲われる。

 

「炎よ」

 

ㅤそれは正しく剣だった。オレンジのラインか轟となり上条と四条を斬る、いや3000度の炎が溶かすべく迫り来る。

 

「巨人に苦痛の贈り物を!」

「入力」

 

ㅤそれに対して私はただ一言つぶやくだけ。

ㅤしかしその前に私の前で炎が消えた。

 

「幻想殺し」

「平気ですか先輩」

「まあね。まあ君が動かなくても私が動いたが。

ㅤさて私はこの子の治療に回る正直自体は一刻を争う、冥土返しに運んでいる時間はないのでね。君はこの子が完治するまで時間を稼いでくれ」

「分かった。幸いあいつが放ってくれた炎のおかげで煙がすごいし奇襲でもかけてくる」

 

ㅤそう言うと彼は去る。

 

「さてと治療を行うけど、ごめんね。私が行うのは治療じゃなくて復元だから……ほんとごめん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ入力開始

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤ瞬間世界が黒く染まる。

ㅤそれはまるで無重力の空間に漂うような感覚に襲われる。量子の観測、その方法で治療を行うためにはまず正常な量子を観測しなければならない。量子に時間のルールは通用しない過去から未来へとは断言はできない、私は自分を起点としそこから波を作り出すことであらゆる量子の状態を観測ができる。

ㅤ今回は過去の彼女の量子状態の観測を始める。

 

ㅤ時間にして数分。しかし私にとってはとても長い時間に感じられた。

 

ㅤ過去の肉体の観測、一部観測拒否を確認それ以外は観測完了

 

ㅤ続いて量子を変換、完了

 

ㅤ世界は元に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハックシュン!」

「先輩!インデックスは!!」

 

ㅤ次の瞬間には愛しき彼の顔があった。

 

「大丈夫だよ。傷は完治したよ。で、私が無事ってことはぶっ飛ばしたのかい」

「ああ、そこでのびてるよ」

「ならまず発信機のついているフードとやらをどこか別のところにでもしまっておこうか。それと衣服を持ってきたまえよ後輩。私の部屋で今回は寝泊まりさせてやろうではないか。ほんのちょっとなら私を触れるくらいしても構わないぞ」

「そ、そんな誘惑には上条さんは乗りませんわよ!」

 

ㅤ結構積極的ではないか、と言う言葉を飲み込み彼女は白いシスター姿の女の子をおんぶで抱える。

 

「私はなるべく早くこの男から離れたいから先に向かわせてもらうよ後輩。はぁこいつが来たおかげで後輩の部屋の散策が出来なかったではないか」

「先輩何を言ってるんですかと言うか先輩。できれば胸元を隠して頂くと嬉しいのですが」

 

ㅤ上条は顔を赤くしながら背けるが、四条はその意図を理解出来ず?を頭にうかべたが、上条は衣服の方に指先を向け。私もその目線の先を見た。

 

ㅤズブズブに濡れた服、学生服は前だけ開いており白いシャツの先が濡れて透けていた。

 

「!?すまない後輩!!とりあえずわたしは今すぐ寮に戻る!」

 

ㅤ四条は顔を真っ赤にし慌てながらそそくさと家に帰った。

 

「やっぱり先輩はどちらかと言うと背伸びする後輩寄りでは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーーーー!!恥ッズ!はーーーー!!恥ッズ」

 

ㅤ現在家に帰ってから彼女はとりあえず衣服を脱ぎ捨てシスターと一緒に風呂で体を拭いていた。流石にずぶ濡れのまま布団に寝かせるわけも行かず私は彼女の体を洗う。

 

「それにしてもなんでこの子に私の観測が通じなかったんだろう」

 

ㅤ私の能力はもしも十全に使えるようではればはっきり言って最強を通り越して支配者側に回る能力なれる。ただ私が自身を卑下するのは能力への演算が足りないからだ。それだけさえなければ私はひとつの神話どころか宇宙全体を1から作り直し自分だけの世界なんてものも作れてしまう。理論上最強。そうあくまでも理論上だ。そんなこと私の演算の幅が際限なく増えたりしない限り出来ないし私の知らない法則がこの世界にあったらまず不可能だろう。私自身全てを知ったと言語不遜を語るつもりは無い。それにあの魔術師と名乗った能力者、本当にあれを演算していてもよかったのかわからない。今だからこそ、なにか不思議と悪寒を感じる。あれは何か変だった。

 

「後であそこに戻って過去の観測でも行うかな?」

 

ㅤ口に出してみるがやっぱりやめておこう。なにか嫌な感じが拭いきれない。

 

ㅤ彼女の髪を綺麗にとかし、乾かしたら四条は風呂から出て更衣室で着替えようとするが。

 

「しまったな、濡れていたから先に風呂場に来てしまってたか。仕方ない取りに行くか」

 

ㅤシスターをここに置き私は衣服を取りに行こうとして外に出る。その時ちょうど玄関の扉が開かれた。

ㅤこのタイミングで来る人はもはや一人しかいないだろう。

ㅤつまり彼だ。

 

ㅤつんつん頭の少年がそこにいた。

 

ㅤ当然私は裸のまま外に出たのが悪いのだが。この嬉しくなるような感じとそれ以上に愛しき人に見られる羞恥心が異常なまでに高まり私は即座に更衣室に隠れる。

ㅤデカい悲鳴を叫びながら。

 

 

 

 

「ひぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

ㅤこの後後輩に衣服を取ってもらいに行った。当然冷静になった後でなので計算高く私の下着なども取りに行ってもらった。タダで転ばないのが彼女である。ただまぁ普通に考えたら下着を取りに行ってもらうという恥ずかしい思いをしたのはまた別のお話。転んだ後に足を捻るのは彼女はよくやることだ。

 

 

 

ㅤ7月20日は終わる

 

 

 

 

ㅤ7月21日は始まった

 

 

「う………ん………」

 

ㅤその声とともに彼女は起きた。

 

ㅤシスターはパーソナルカラーの白を変えないように白のパーカー服を着せている。私はぎゃくに黒のパーカー服とスカートを組み合わせたような格好だ。

 

「おや起きたかい。」

「貴方は」

 

ㅤそう言いながら彼女は起きようとしたがそれを片手で押えた。

 

「まだ起きなくていい。私がしたのは治療と言うより元に戻したというのが正しいからね。量子世界の法則で治した事が現実にどう及ぼすか分からないからまだ寝ているといい。病院が開いたら医者のところへ連れて行ってあげるから」

「そうだあの人のところにフードが!!」

 

ㅤ思い出したように彼女は起き上がるがそこに彼が来た。

 

「おっインデックス、起きたのか。いやぁ先輩が色々と不安になるようなことを言うから心配してたんだ」

「仕方ないだろう。量子の法則は私は全てわかっているがそれが現実に対してどう及ぼすかわかりきってはいないんだ。」

 

ㅤ仕切り直すように私はコホン、と言い仕切り直す。

 

「私の名前は四条陽香。彼の先輩だ」

「私の名前はインデックスって言うんだよ」

「さて一応聞きたいんだけどいいのかな?君は一体誰に追いかけられていたんだ?」

「ちょっ!?先輩、それは」

「遅かろうが早かろうが同じことだよ後輩。安全な時ほど話をしておいた方がいいよ心の整理は私たちは待って上げれるけど相手はそうじゃないからね」

 

ㅤ私は言った後に。即座に答えてくる。

 

「魔術師だよ。当麻には説明したと思うけど、なんで助けようとしたの。貴方は嫌だったみたいなのに」

「そりゃ一緒に地獄の底に行くのは嫌さ。でもだからって1人で地獄の底にまで歩こうとしてる女の子を見棄てられるから別問題だろ」

「まぁそれなりに悩んでたみたいだけどね」

「ぅ………」

 

ㅤそう言うと上条は顔を暗くした。

 

「それで魔術師って言うのは何かな?」

 

ㅤそして私は魔術の内容を知った。

 
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