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倒れていた妻

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第一章

                倒れていた妻
 西十三は同期の風修治と一緒に夜道を歩きつつ笑顔で話していた。
「ほなこれからな」
「おめえの家でだすな」
「そや、飲みなおそうか」
 細長い顔で丸眼鏡に黒く短い髪の毛である、痩せた一七〇程の背の身体にスーツが不思議な位似合っている。
「そうしよか」
「そうだすか、ならわすもだす」
 風は笑って応えた、明るい顔立ちで眉は太く黒髪は癖がある。一七八程の背でがっしりとした体格である。彼もスーツである。
「ビールをしこたま買ってだす」
「そうしてやな」
「一緒に飲むだすよ」
「明日は休みや」
 西は笑って話した。
「それやとな」
「今夜はだすな」
「徹底的に飲んでや」 
 そうしてというのだ。
「ええわ」
「二日酔いになっても困らないだす」
「そやからな、かみさんにはもうメールで言ってるし」
 西はこうも言った。
「そやからな」
「安心してだすな」
「家で飲もうな、おつまみはな」
 西はこちらの話もした。
「ちゃんとや」
「奥さんがだすな」
「作ってくれるってな」
 その様にというのだ。
「返事してくれたし」
「それならだすな」
「お酒買うてな」
「今日は西のお家でだすな」
「飲もうな」
「わかっただすよ」
 夜道で陽気に話してだった。 
 二人でコンビニに寄って酒を買って西が妻と二人で暮らしているマンションの部屋に入った、だが。
 出迎えがなくだ、西は玄関で風に言った。
「あれっ、これは」
「奥さんがだすか」
「いつもわいが家に帰ったらな」
 その時はというのだ。
「迎えてくれるさかいな」
「それがないからだすか」
「おかしいな、奥さんどないしたんや」
「ちょ、ちょっと」
 リビングの方から妻の声がした、それでだった。
 風は西に眉を顰めさせて言った。
「ここはだすよ」
「そやな、リビングの方に行ってな」
「様子を確かめるだす」
「奥さんどうしたんや」
 西はリビングの方から声がした妻に問うた。
「一体」
「ちょっと来て、お医者さん呼んで」
「!?まずはそっちに行くわ」
 西はただならぬものを察してだった。
 そうして靴を脱いで風と共にリビングの方に向かった、すると。
 リビングの中で西の妻の任子が倒れていた、白いセーターにクリーム色のスラックスを穿いた癖のある肩までの茶色の髪の大きな目の二十代後半の女性であるが。
 腹を抱えて苦しんでいた、西はその妻に問うた。
「お腹痛いんやな」
「そうなの、凄く」
「ほなすぐにお医者さん呼ぶわ」
「そうしてくれる?」
「車動かせらよかったけどな」
「二人共もう飲んでるだす」
 風が困った顔で言った。
「そうしているだすからな」
「それでな」
「そうだす、車は運転できないだす」
「そやからな」
「救急車だすな」
「それを呼ぶで」
 こう言ってすぐにだった。
 西は自分のスマートフォンから一一九番をしてだった。
 救急車に来てもらい妻を病院に入れてもらった、無論飲むどころではなく風は家に帰ってだった。西は妻が心配になり病院に向かったが。
 医師に言われてだ、怪訝な顔で言った。 
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