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イベリス

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第四十七話 思わせぶりな態度その二

「非常に」
「何かとありますよね」
「京都も多いですが」
「あそこは歴史もあって」
「権力闘争の中心地でもあったので」
 平安時代の頃である、兎角そうした話にはこと欠かない街であった。
「それで、です」
「そのせいで、ですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「あの街にはそうしたお話が多いです、ですが」
「東京もですね」
「この街は魔都でもあります」
 咲に微笑んで話した。
「まさに何かとです」
「そうしたお話が多いですか」
「怪異の」
 それのというのだ。
「多くです」
「魔を退ける人もですか」
「若しかしたら」
 咲の目を整った右目で見ながら話した。
「小山さんの傍にもです」
「いるかも逸れませんか」
「この街はあらゆるものが同居していますので」
「あらゆるものが」
「人も他の生きものも魔も」
 まさにあらゆるものがというのだ。
「そうした街、まさに世界一の魔都なので」
「世界一なんですか」
「はい」
 その通りだというのだ。
「この街は。世界一の大都市とも言われますが」
「世界一の魔都ですか」
「繁栄と退廃がこれ以上はないまでに美しく融合した」
 そうしたというのだ。
「魔都なのですから」
「繁栄と退廃がですか」
「その二つがです」
 まさにというのだ。
「共にありです」
「融合してるんですか」
「それもこれ以上はないまでに美しく」
「それが東京ですか」
「ここまでその二つが美しく融合している街はありません、それ故に魔もです」
「東京にいるんですか」
「外から鬼門や裏鬼門の守りを抜けて入る場合もあれば」
 北東そして南東にあたる。
「何とかそうして」
「結界があっても抜けますか」
「そうした場合もあります」
「絶対じゃないんですね、結界も」
「ですから幾重にもです」
「結界を張ってるんですか」
「そうです、そして内からもです」
 東京のというのだ。
「魔は生まれてです」
「何かするんですね」
「そうした場合もあります」
「そうですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「魔を退ける人達もです」
「おられますか」
「若しかすると小山さんの傍にも」
 速水はまた咲にこう話した。
「そうかも知れませんね」
「まさかと思いますが」
「そのまさかがあるのが世の中ですから」
「それで、ですか」
「若しかするとですよ」 
 咲に思わせぶりな笑顔で話した。 
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