東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.
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共存編
早苗:僕らのクラブのリーダーは…。
(西)「なにこのミッ(自主規制。強いていうなら“夢の国の主”)みたいな耳!ばり可愛いっちゃけど!」
(西)が魔法の森で出会い頭にぶつかったのはネズミのような風貌をした少女だった。
その姿を見た彼女はある種のトランス状態に入ったようでさっきからずっと「可愛い」を連呼している。
ネズミ少女「恥ずかしいから“可愛い”と何度も言わないでくれ!……ん?」
しばらく恥ずかしがっていたネズミの少女が何かに気づいた。
ネズミ少女「いま、(夢の国の主)と言わなかったか?」
(西)「言ったけど?」
ネズミ少女「なんとぉ⁉︎ これは畏れ多い!」ガバッ
ネズミの少女は地面に頭を打ちつけそうな勢いでひれ伏した。
(西)「え?…え?」
ナズーリン
「畏れ多くも教祖様のお名前を口にされるとは…さぞやんごとなきお方なのでありましょう。私はダウザーの“ナズーリン”と申す者です。先ほどからの無礼の数々、何とぞお許し下さいませ!」
(西)「教祖様?」
ナズーリン
「はい、(主)様は我らネズミ界のスーパースターにございます。世界広しといえども、あの方ほど有名なネズミはもはや片手で数えるほどにしかおりますまいて…。ところで、あなた様のお名前は何といわれるのですか?」
(西)「西村早苗。堅苦しい感じがするけんタメ口でよかよ」
ナズーリン「西村様はもしや、守矢神社へ戻られる途中なのではありませんか?」
(西)「やけんタメ口でーーー」
「いいって」と言いかけて止めた。『別にこのままでも面白いからいいや』と思ったからである。
ナズーリン「西村様?」
(西)「ああ、うん。守矢神社に戻る途中やったんよ」
ナズーリン「左様でしたか。もし西村様がよろしければ、先ほどのお詫びも兼ねて不肖、このナズーリンが守矢神社までお送りしますがいかがいたしましょう?」
(西)「よかと?…ならよろしゅう頼むばい」
ナズーリン「お任せあれ!」
(西)がそう言うとナズーリンは深々と頭を下げた。
ー
ーー
ーーー
ナズーリンの案内で守矢神社へ向かう途中、色々な話しをした。
ナズーリン「西村様は教祖様とお知り合いなのですか?」
(西)「うーん…まあ、知り合いっちゃ知り合いやね」
ナズーリン「では教祖様とお話しされたことがあるのですか⁉︎」
(西)「いや、話しはできんやろ…。(主)はキャラクターなんやけん」
ナズーリン「きゃ、キャラクター⁉︎」
(西)「うん。(主)も(その妃)も(仲間のアヒル)もみんなそうたい」
ナズーリン「そう…ですか……」
ナズーリンが俯いてしまった。
(西)「ああ…いや!“特別な存在”っていうのは確かかもしれんね。街の至るところに(主)の肖像画があるし、日本はおろか、世界で(主)を知らん人はおらんもん」
ナズーリン「そうでしょうそうでしょう!教祖様はすごいお方なのですから‼︎」
(西)が慌ててフォローするとナズーリンはまた得意げになって胸を張った。
西(面白い妖怪やね…。)
ー
ーー
ーーー
妖怪の山が近くなってきたとき、道端に誰か佇んでいるのを(西)が見つけた。
(西)「ナズーリン、“ご主人”ってあの人やない?」
ナズーリン「ん?」
それは金髪と黒髪が混じった少女だった。
派手な虎柄の腰巻をしており、手には鉾らしきものを持っている。
ナズーリン「はぁ…」
ナズーリンは大きなため息をついて少女に近づいていった。
ナズーリン「ご主人、ご主人。どうしたんだい?……ご主人?」
ナズーリンの主人らしきその少女は放心状態で無反応である。
ナズーリン「えいっ!」カプッ
ご主人?「あ痛っ⁉︎」
ナズーリンがご主人の耳を噛むと彼女が我に返った。
ご主人?「ナ、ナズーリン⁉︎」
ナズーリン「やあご主人、ずいぶん放心状態だったじゃないか。どうしたんだい?」
ご主人?「ああ、どうしましょう。誰にも言わないでほしいんですが実はまた宝塔を失くしてしまったんです!これで637002710回目ですよ…」
ナズーリン「宝塔ならご主人の部屋の前さ。出かけるときに“ここへ置いておくよ”と声をかけたじゃないか」
ご主人?「あれ、そうでしたっけ?」
ナズーリンは呆れ気味に首を横に振った。
ナズーリン「しっかりしてくれご主人。これではどちらが主人なのか私も分からなくなってくるよ……ああ、西村様。先ほどお話しした私の主人・寅丸星でございます」
(西)「やっぱり……。私は外界人の西村早苗です。ナズーリンが“西村様”って言いようけど気にせんで下さいね」
寅丸星「?」
ナズーリンが星に『一緒にご主人を探して下さったんだ』と素早く耳打ちする。
星「それはそれはありがとうございました。私は毘沙門天の化身にして僧侶の寅丸星と申します。よろしくお願いしますね」
ナズーリン「私は西村様を守矢神社にお送りする途中なんだけど、ご主人も来るかい?」
星「そうだったんですね。私もお伴しましょう」
(西)「よかとですか?ありがとうございます!」
星「いえいえ」
ーーー星も加わり、三人で守矢神社へ急いだ。
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