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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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ハーケン会戦~大戦の”裏”の戦い・前篇~

 
前書き
更新がいつもよりかなり遅れて申し訳ありません! 

 
~メンフィル大使館~



「いっけー!!」

「!」

戦闘開始時シャーリィはジェダル目掛けてライフルを掃射し、ジェダルはシャーリィに銃口を向けられた瞬間側面に跳躍してシャーリィの先制攻撃を回避し

「吹き飛べ!!」

「っと!」

シャーリィのクラフト―――――ライフル掃射を回避したジェダルは竜の牙のように鋭い斬撃の衝撃波を放つクラフト―――――竜牙衝をシャーリィ目掛けて放ち、襲い掛かる衝撃波に気づいたシャーリィは側面に跳躍して回避した。

「まだだ――――――禍汲斬(ガルベリオ)!!」

シャーリィが攻撃を回避されたジェダルは一切動じずシャーリィが跳躍した場所目掛けて突撃して自身の身体に刻まれている紋様の戦意を高めてそのままシャーリィ目掛けて薙ぎ払いを放った!

「!わっ!?」

ジェダルが放った薙ぎ払いを自身の得物で迎え撃ったシャーリィだったがジェダルの”戦闘種族”と恐れられている”ロヴァリ族”の血を引いている事で怪力の持ち主であるジェダルの剛力武術は防ぐ事ができず防御態勢をそのまま薙ぎ払われた事で思わず態勢を崩した。

「そこだっ!」

「かふっ!?」

シャーリィが態勢を崩すとその隙を逃さないジェダルは蹴りをシャーリィの腹に叩き込んだ。怪力の持ち主であるジェダルが放った蹴りをまともに受けてしまったシャーリィは呻き声を上げると共に吹き飛ばされた。

「逃がさん――――――業禍汲斬(ギル=ガベリオ)!!」

「危なっ!?」

シャーリィを吹き飛ばしたジェダルは追撃に広範囲の斬撃波を放ち、襲い掛かる斬撃波に気づいたシャーリィは跳躍して回避した。



「アハハハッ!さすがあの猟兵王と一人でまともにやり合える人だね!ハァァァァァ―――――――ッ!!」

ジェダルの追撃を回避したシャーリィは好戦的な笑みを浮かべた後クラフト―――――ウォークライで闘気を溜め込み

「……………………」

シャーリィを警戒して迎撃の態勢を取っているジェダルは自身に刻まれているロヴァリ族の紋様によって時間が経つごとにどんどん身体能力や力が上昇し続けていた。

「アハハ、死んじゃえ――――ッ!!」

シャーリィはチェーンソーライフルの刃の部分で命をも刈り取るクラフト―――ブラッディストームでジェダルに襲い掛かり

「ハァァァァァァ…………禍汲斬(ガルベリオ)!!」

対するジェダルは正面からシャーリィのクラフトを迎え撃った。互いの攻撃がぶつかり合うと二人は鍔迫り合いの状態になり

「アハハ!イッケ―――――ッ!!」

ジェダルと鍔迫り合いの状態になったシャーリィは刃の部分を回転させてジェダルの得物ごとジェダルを切り裂こうとしたが

「嘘っ!?”ゼムリアストーン製”に強化してもらったテスタ=ロッサが止められるなんて……!?お兄さんの得物、一体何でできているの!?」

「知るか。――――――それよりも鍔迫り合いの状態でお喋りとは随分と余裕だな。オオオオォォォォォォ…………ッ!」

セティ達によってゼムリアストーンよりも更に強度な鉱石である”ヒヒイロカネ製”の武器に強化してもらったジェダルの得物には刃がたたず、回転していた刃は止められ、それに驚いたシャーリィの疑問に対して一言で切り捨てたジェダルは自身に宿るロヴァリ族の力を解放し始めた。するとジェダルがシャーリィを圧し始めると共にシャーリィの得物であるテスタ=ロッサの刃に罅が入り始めた。

「ヤバッ!?」

自身の得物に罅が入り始めている事に気づいたシャーリィは慌ててジェダルから離れた。

「喰らえっ!!」

「わあっ!?」

シャーリィが離れるとジェダルは懐から”氾濫の絵札”を取り出すと共に掲げた。するとシャーリィの頭上に発生した大量の水が勢いよくシャーリィに襲い掛かってシャーリィにダメージを与えると共に怯ませ

「エニグマ駆動―――――スパークル!!」

「わああああああああっ!?」

更にジェダルが小規模な雷を発生させるアーツを発動してシャーリィに放った。絵札の攻撃によって予め全身が濡れていたシャーリィは下位のアーツとはいえ、雷をその身に受けた事で感電した事によって思わず悲鳴を上げて怯み

「止めだっ!!」

そこにジェダルがクラフト―――――禍汲斬による止めの一撃を放った!

「!あぐっ!?く……っ!」

ジェダルが放った止めの一撃に気づいたシャーリィは後ろに跳躍して回避しようとしたが、全身が感電した影響で身体の動きが鈍っていた為回避行動が遅れた事によって完全には回避できず胸の部分を切り裂かれて出血し、体制を立て直す為にジェダルから距離を取った。



「昏き雷よ――――――焼き尽くせ!!」

「グラムキャノン照射!」

戦闘が始まるとアルベリヒとゲオルグはそれぞれの戦術殻に指示し、指示された戦術殻達は収束したレーザーをフルーレティ達に放ち

「ふふ……」

「っと!」

「!!」

襲い掛かるレーザーを見たフルーレティは転移術で、マリーニャとシュリは左右に散開して回避し

「逃がさないわよ――――――それっ!!」

「行きます――――――そこっ!!」

回避を終えたマリーニャは大量のナイフを広範囲に投げつける遠距離攻撃――――――乱れ投擲、シュリは広範囲に射撃を行うクラフト―――――殲滅撃ちをアルベリヒとゲオルグに放った。

「防いでくれ、ナグルファル!!」

「フン、無駄な事を!」

二人の広範囲攻撃に対してゲオルグとアルベリヒはそれぞれの戦術殻の結界で防いだ。

「フフ、これは防げるかな?」

「!しまった、後ろに――――――」

「背後に回った所でゾア=バロールの結界は破れまい!」

するとその時フルーレティが転移術で二人の背後に現れ、フルーレティの奇襲にゲオルグが驚いている中アルベリヒは嘲笑した。

「ハァァァァァァ…………それっ!!」

「そ、そんな……二体がかりの結界が……!あぐっ!?」

「何故だっ!?ガアッ!?」

フルーレティは力をため込んで渾身の一撃を放つクラフト―――――パワーウィップを放ち、フルーレティが放った鞭による渾身の一撃はナグルファルとゾア=バロールの二体がかりの結界を一瞬で破壊して二人にダメージを与えた。



「!狙い目はっけーん!北斗斬り!!」

「受けなさい、浄化の弾丸――――――神聖三点撃ち!!」

フルーレティの攻撃によって二人が怯むとマリーニャはゲオルグに斬りこみ、シュリは神聖属性の魔導銃弾でアルベリヒを攻撃した。

「ぐああああっ!?」

「ギャアアアアアアアアア――――――ッ!?」

マリーニャの斬りこみをその身に受けたゲオルグは斬られた部分から大量の血を出血し、シュリの銃弾を受けたアルベリヒは不死者であるその身に受けた弾丸は弱点である神聖属性が込められた魔導銃弾だった為悲鳴を上げた。

「ふふ、まだ終わらないよ?」

「ぐっ!?」

「ガッ!?」

二人の攻撃を受けて苦しんでいるゲオルグとアルベリヒにフルーレティはまさに言葉通り”死屍に鞭打つ”かのように、容赦なく二人に鞭による追撃を叩き込んだ。

想定外(イレギュラー)如きが調子に……乗るなぁっ!!」

「――――――!!」

フルーレティの攻撃から立ち直ったアルベリヒは戦術殻に指示をし、指示をされた戦術殻は両腕を伸縮させて攻撃するクラフト―――――這いよる銀腕でフルーレティに反撃したが

「その程度?」

「!?」

「な――――――ぐあっ!?」

フルーレティは伸縮してきた両腕を鞭の一振りで払うと共に戦術殻をアルベリヒの元へと吹き飛ばし

「カラドボルグ起動――――――これで終わりだっ!!」

「終わりはそっちだよ。」

更に戦術殻をドリルへと変形させた後そのドリルを構えて襲い掛かってきたゲオルグの攻撃を鞭でゲオルグの攻撃を受け止めた。

「―――――凍てつけ。」

「!?不味――――――」

ゲオルグの攻撃を受け止めたフルーレティはゲオルグの攻撃を受け止めている鞭を伝ってドリルへと変形している戦術殻に氷の魔力を流し込んだ。するとドリルは勢いよく凍結し始め、それを見たゲオルグは慌ててフルーレティから武器を退いて後ろに跳躍してフルーレティから距離を取ろうとしたが

「逃げても無駄。」

「うあっ!?」

フルーレティが発動した空間を歪ませ、切り裂く魔術―――――空間歪曲による追撃を受けて更に出血した。

「止めよ!見切れるかしら?―――――重ね陽炎!!」

「あぐっ!?そ、そんな……何故僕達地精が……何度も一方的にやられるなんて………」

そこにマリーニャが駆け抜ける突きの後、陽炎のように敵をすり抜け、再び突きを繰り出すクラフト―――――重ね陽炎をゲオルグに叩き込んでゲオルグを戦闘不能に追い込んだ。

「セリカ様、悪しき者を裁く浄化の光を今ここに――――――救世の聖輝!!」

「グギャアアアアアアアァァァァァァ――――――ッ!!お、おのれ………またしても……忌々しい想定外(イレギュラー)共がぁぁぁぁ……っ!」

一方シュリはフルーレティの攻撃で吹き飛ばされた戦術殻にぶつかった事で怯んでいるアルベリヒに洗練された浄化の光で敵を包み込む魔術を放ち、弱点である神聖属性の魔術をその身に受けたアルベリヒは悲鳴を上げた後浄化の光で全身を包まれた事で全身の至る所に火傷を負った状態で戦闘不能になり



「そこをどけっ!――――――ダイナストスパイク!!」

「「!!」」

ロカとメティサーナと対峙したレオニダスはマシンガントレットを伸長させて大爆発を起こして相手を吹き飛ばすクラフトを放ったが二人はそれぞれ散開して回避し

「―――――行けっ!!」

「ム……ッ!?鎧から砲撃だと……!?」

レオニダスの先制攻撃を回避したロカは反撃に魔導鎧による集中砲撃――――――魔導重砲撃をレオニダスに放ち、ロカの反撃を回避したレオニダスは魔導鎧という初めて見る攻撃手段に驚いた。

「メティの鎌でその邪悪な心を浄化されるがいい――――――ッ!」

そこにメティサーナが飛行による突撃で浄化の力を宿した一撃を放つクラフト―――――浄化シ清メル鎌撃でレオニダスに襲い掛かり

「オオオオォォォォォォ………マキシマムスピン!!」

「うわっ!?」

対するレオニダスは苛烈な回転攻撃を放つクラフトで対抗して襲い掛かってきたメティサーナの攻撃を防ぐと共にメティサーナの態勢を崩した。

「逃がさん……ッ!」

「させない――――――壊山槍!!」

「!!」

態勢を崩したメティサーナにレオニダスは更なる追撃をしようとしたが、そこにロカが側面から槍技を繰り出し、ロカの奇襲に気づいたレオニダスはメティサーナへの追撃を止めてロカの攻撃を自身の得物で受け止めた。



「真空の刃よ、全てを切り裂け――――――真空刃!!」

「ぐ……っ!?」

レオニダスがロカの攻撃を受け止めるとメティサーナは巨大なかまいたちを発生させる魔術を発動してレオニダスにダメージを与え

「薙ぎ払う――――――セイッ!!」

「ぬう……っ!?」

更にロカが薙ぎ払いを放つクラフト―――――豪薙ぎ払いで追撃して更なるダメージを与えた。

「空を切り裂く――――――斬!!」

「!!」

そしてメティサーナが更なる追撃として天にも届くほどの衝撃波の刃を放つクラフト―――――空ヲ切リ裂ク鎌斬で攻撃したがレオニダスは側面に跳躍して回避した。

「逃がさないわ――――――行けっ!!」

「くっ……戦場の叫び(ウォークライ)を使う隙すらも見せないとは、厄介な……!」

ロカは側面に跳躍したレオニダスに休む暇を与えないかのように魔導鎧による広範囲への連続砲撃――――――魔導全弾砲撃で攻撃し、レオニダスは次々と襲い掛かる砲弾を回避しながら自身にとっての強化技である戦場の叫び(ウォークライ)を使う隙が無い事に焦りを感じていた。



「全て粉々にする――――――ハァァァァァァ…………ッ!!」

ロカの砲撃が終わると空高くへと飛翔したメティサーナはどんな硬き装甲をも易々と砕く斬撃を放つクラフト―――――全テ砕ク鎌撃でレオニダスに襲い掛かり

「何度やっても無駄な事だ……!オオオオォォォォォォ………マキシマムスピン!!」

空から襲い掛かってきたメティサーナに対してレオニダスは再び苛烈な回転攻撃を放つクラフトで対抗してメティサーナの攻撃を防ぐと共にメティサーナの態勢を崩そうとしたがメティサーナの大鎌がレオニダスのマシンガントレットにぶつかった瞬間レオニダスのマシンガントレットは真っ二つに割れて破壊されてしまった!

「馬鹿な……っ!?ゼムリアストーン製の武装をそんな細腕で破壊するだと……!?」

自身の得物が破壊された事にレオニダスが信じられない表情で声を上げたその時!

「これで決めるわ!響け、集え!全てを滅する刃と化せ!」

Sクラフトを発動したロカが無数の斬撃と突きをレオニダスに叩き込み――――――

「ロストフォン――――――ドライブ!!」

「うおおおおおおお……っ!?ぐっ……まだ倒れる訳には……っ!」

止めに槍に込めた霊力を解き放ち、ロカのSクラフトを受けて思わず地面に跪きかけたレオニダスは気力で耐えて体制を立て直す為にロカ達から距離を取った。



「よっこいしょっと…………!そらああああっ!!」

「「!!」」

セリカとサティアと対峙したルトガーは先制攻撃にクラフト―――――ブラストストームを放ったが二人は軽やかな動きで襲い掛かる無数の銃弾を回避し

「舞い散れ、星の光よ―――――星嵐!!」

「おっと!危ないねぇ……!」

攻撃を回避し終えたサティアは星の光を宿した螺旋撃を放つクラフト―――――星嵐をルトガーに放ち、サティアの反撃に気づいたルトガーは攻撃が命中する瞬間後ろに跳躍して回避した。

「沙綾――――――身妖舞!!」

「ぐっ!?ったく、なんて速さだ……しかもあの速さで無数の斬撃を放つとか、さすがはあの”劫焔”をも圧倒した”化物”だぜ……」

しかし神速で放たれるセリカの高速剣はルトガーも見切る事はできず、”セリカが攻撃の動作を始めた瞬間既にセリカは攻撃を終えており、ルトガーが気づくと無数の斬撃がルトガーに刻まれ”、セリカの攻撃を受けた部分から血を出血させているルトガーは苦笑しながらセリカの圧倒的強さに感心していた。

「炸裂せよ、浄化の光――――――爆裂光弾!!」

「っとぉっ!”不死者”の身体でそいつを受ける訳にはいかないのは今までの戦いで十分思い知らされたから、そう簡単には喰らわないぜ……っ!ハアッ!こいつはお返しだ――――――」

そこに炸裂する光の霊力の球体を降り注がせるサティアの魔術―――――爆裂光弾がルトガーに放たれると、ルトガーは側面に跳躍して回避した後得物に雷を宿してクラフト―――――ラグナドライバーでサティアに反撃を叩き込もうとしたが

「雷光――――――滅鋼斬!!」

「何っ!?うお……っ!?」

ルトガーのように自身の得物である魔剣に雷を宿したセリカが跳躍してルトガーのクラフトを受け止めた後そのまま勢いに任せてルトガーを吹っ飛ばし

「六の型―――――星空斬!!」

「ガアッ!?」

吹っ飛ばされたルトガーにサティアは星の光を宿した斬撃波を叩き込み

「雷光――――――紅燐剣!!」

「ぐあああああ……っ!?」

更に地面に着地したセリカが間髪入れず逃げ場がない無数の雷の斬撃波を放ってルトガーに更なるダメージを与えた。



「ハア……ハア……まさかこの俺がここまで一方的にやられるとはねぇ……さすがはあの”火焔魔人”をも圧倒した”化物”共だぜ。だが、レオや既に逝ったゼノもそうだが、フィーの為にもそう簡単には倒れる訳にはいかないぜ……!オオオオォォォォォォ――――――ッ!!」

セリカ達から距離を取ったルトガーは息を切らせながらセリカ達の圧倒的な強さに苦笑したがすぐに気を取り直して猟兵専用の強化技である戦場の叫び(ウォークライ)――――――タイタスレイジで全身に莫大な闘気を収束し

「さてと――――――いっちょ、やるか!そらそらぁっ!!」

「「!!」」

Sクラフトを発動したルトガーはセリカとサティア目掛けて広範囲の銃撃で攻撃し、対する二人は左右に散開して回避した。

「まだまだぁっ!!」

地上での銃撃を終えた後空高くへと跳躍したルトガーが再び銃撃を放つと上空から銃撃が落下するようにセリカとサティアに襲い掛かったが回避を続ける二人には命中しなかった。

「こいつで終わりだ、ギルガメス――――――ブレイカーッ!!」

そして得物に莫大な闘気と雷を収束したルトガーがセリカ目掛けて空から得物を振り下ろしたその時

「雷光滅鋼斬――――――双牙!!」

セリカがまだ抜いていなかったもう一つの得物である神剣を抜いて二刀流の状態になった後魔剣と神剣にそれぞれ雷の魔力を宿した後自身目掛けて襲い掛かってくるルトガーに向かって跳躍して自身の顔の前に雷を宿した魔剣と神剣をクロスさせた後、ルトガーに接近するとクロスさせた魔剣と神剣をルトガーの得物目掛けて振り下ろした。するとルトガーの得物とセリカの魔剣と神剣がぶつかり合った瞬間空中で凄まじい衝撃波が発生した後ルトガーのSクラフトに打ち勝ったセリカの魔剣と神剣がルトガーの得物を真っ二つに斬った!

「何……ッ!?」

自身のSクラフトが無効化される所か、得物まで真っ二つにされたルトガーは驚いた様子で地面に着地した。

「合わせろ、サティア!」

「ええ、任せて、セリカ!」

「しま――――――」

「「一つ!」」

一瞬で互いに視線を交わして頷いたセリカとサティアがルトガーを挟み撃ちにした後二人はそれぞれ初撃に神速の速さで放つクラフト―――――セリカは沙綾身妖舞、サティアは疾風で攻撃を叩き込み

「「二つ!」」

二撃目に二人は一閃技を放つクラフト―――――セリカは沙綾円舞剣、サティアはを無月一刀を叩き込んだ後ルトガーから距離を取り

「「三つ!!」」

三撃目に二人は遠距離技を放つクラフト―――――セリカは沙綾紅燐剣、サティアは星空斬を叩き込み

「「止め!飛葉無双十文字!!」」

止めに二人はルトガーを中心にクロスする形でそれぞれのSクラフト――――――セリカは飛燕姫神恍舞、サティアは無想覇斬を叩き込んだ。するとルトガーを中心に無数の斬撃波が発生した後最後に大爆発を起こした!

「うおおおおおおお……ッ!?ハハ……まさかここまで”力の差”があるとはな………」

セリカとサティアが放った”飛燕剣”と”八葉一刀流”の合体奥義にして未来人であるサティアにとっては妹夫婦であるリィンとアイドスのコンビクラフト――――――”飛葉双覇剣”、リィンとリィンの姉弟子にして後にリィンの伴侶の一人となるシズナのコンビクラフト―――――”黒葉無想十文字”を参考にして編み出されたコンビクラフト―――――飛葉無双十文字を受けたルトガーは全身から大量の血を出血させた後セリカとサティアの圧倒的な強さに苦笑しながら地面に跪いた。



「黒き焔よ……!ハアッ!セイッ!」

ハイシェラと対峙したイシュメルガは得物である大剣に黒き焔を宿してハイシェラに斬りかかり

「甘いだの!」

対するハイシェラは自身の得物――――――『創世の神剣』でイシュメルガが繰り出す斬撃を次々と受け流し

「滅せよ!!」

「紅燐舞華斬!!」

イシュメルガがクラフト―――――黒焔撃の最後の一撃を繰り出すとハイシェラは打撃重視の一閃技で対抗した。すると互いの技がぶつかり合った瞬間、ハイシェラとイシュメルガを中心に凄まじい衝撃波が発生した後互いはそれぞれ衝撃によって後退させられた。

「ほう、今のを相殺するとは”最強の騎神”の名は伊達ではないようだの?」

「フフ、まさか生身でイシュメルガとまともにやり合える存在がいるとはな……――――――フンッ!!」

ハイシェラがイシュメルガの力に感心している中イシュメルガの(ケルン)の中にいるオズボーン宰相はハイシェラの強さに苦笑した後イシュメルガを操縦してハイシェラに鋭い斬撃を繰り出した。

「遅いだの――――――フンッ!!」

「ぐ……っ!?」

イシュメルガが繰り出した鋭い斬撃に対してハイシェラはクラフト―――――朧で回避した後イシュメルガの背後から鋭い斬撃を叩き込んだ。

「まだだのっ!」

「ガッ!?」

続けてハイシェラは両脚を連続で蹴り上げる脚技――――――烈風脚で追撃し

「消し飛べぇっ!!」

「!!」

更にイシュメルガから距離を取って片手から収束した極太の純粋魔力の束――――――レイ=ルーンをイシュメルガ目掛けて放ち、ハイシェラの片手から放たれた魔力レーザーに気づいたイシュメルガは機体を側面に傾けて回避した。



「果てるがいい――――――業滅刃!!」

「それは我のセリフだの!――――――ルン=アウエラ!!」

跳躍して自身目掛けて襲い掛かるイシュメルガに対してハイシェラは両手に収束した膨大な魔力をイシュメルガに放って超越爆発を起こした。

「オオオオォォォォォォ――――――ッ!!」

超越爆発を正面から受けたイシュメルガは決して無視できないダメージを負いつつも、ハイシェラへの攻撃を中断せず、イシュメルガが地面に攻撃を叩き込むと凄まじい衝撃波がハイシェラを襲ってハイシェラにダメージを与えた!

「ムッ!?ハハハハハハッ!この我に傷を作るとは……!よいぞっ!!」

ダメージを負ったハイシェラは驚いた後好戦的な笑みを浮かべて笑い

「そういえば貴様の息子は未来のアストライアやアネラスと同じ”八葉”の剣士だっただの。この我に傷を作った褒美に、貴様の息子の剣術を存分に味わうがいいだの――――――紅葉切り!!」

「グッ!?」

反撃を開始したハイシェラは抜刀してすれ違いざまに相手を斬りつける八葉一刀流の”四の型”――――――紅葉切りでイシュメルガにダメージを与えると共にイシュメルガの背後へと駆け抜け

「ハアアアァァァ……!螺旋撃!!」

「ガアッ!?」

続けて自身の回転を利用して渦巻く炎を生み出す強烈な一撃を打ち込む”一の型”――――――螺旋撃をイシュメルガに叩き込んでイシュメルガにダメージを与えると共に怯ませ

「無想――――――覇斬!!」

「ぐああああああ……っ!?」

更に業火を纏い一瞬の居合いで無数の斬撃を浴びせる七の型―――――無想覇斬を叩き込んでイシュメルガを瀕死寸前の状態へと追い込んだ。



「クク……まさか短時間でイシュメルガをここまで追い詰める程の想定外(イレギュラー)が存在しているとはな。だが、私の首は想定外(イレギュラー)にやる訳にはいかぬ……!オオオオォォォォォォ――――――ッ!!」

ハイシェラの圧倒的な強さに苦笑したオズボーン宰相はすぐに気を取り直してイシュメルガを操縦してイシュメルガ自身に莫大なエネルギーを収束し

「フハハハハハッ!あれ程ダメージを受けてもなお、それ程のエネルギーを残していたとはよいぞ!ならば、我も貴様の健闘に応えてやろうだの!ハアアアアアアァァァァァァァ――――――ッ!!」

イシュメルガの様子を見て好戦的な笑みを浮かべて笑ったハイシェラも全身に莫大なエネルギーを収束した。

「黒啼獅子王斬――――――ッ!!」

「地竜猛襲脚――――――ッ!!」

力を溜め終えたイシュメルガがハイシェラ目掛けて巨大な黒獅子の姿をした斬撃波を放つとハイシェラは全身に凄まじいエネルギーを纏って巨大な竜の姿となって自身に襲い掛かってくる巨大な黒獅子目掛けて突撃した。互いの奥義がぶつかり合ったその瞬間、巨大な竜の闘気は巨大な黒獅子の斬撃波を呑み込んでそのままイシュメルガに襲い掛かった!

「な――――――」

「これで終わりだのっ!!」

「ぬ……おおおおおおおお……っ!?」

自身の奥義が呑み込まれた事にオズボーン宰相が絶句している中イシュメルガに襲い掛かったハイシェラの凄まじい一撃をイシュメルガは自身の得物で受け止めた。するとハイシェラの攻撃を受け止め続けているイシュメルガの得物は凄まじい勢いの速さで亀裂が入り始めた。

「!!」

自身の得物に亀裂が入り始めた事にオズボーン宰相が驚いたその時

「オオオオォォォォォォ――――――ッ!!」

「ぐ……があああああああああぁぁぁぁ――――――ッ!?」

巨大な竜の姿をしたハイシェラがイシュメルガの得物を木端微塵に破壊すると共にイシュメルガに強烈な一撃を叩き込むと共に吹っ飛ばした!

「ぐっ……まさか……これ程とは……」

吹っ飛ばされた後立ち上がろうとしたイシュメルガだったがハイシェラの奥義を受けた事で機体のダメージが深刻な状態まで追いやられた為、地面に跪き、更に(ケルン)の中にいるオズボーン宰相は騎神が受けた深刻なダメージのフィードバックによって気を失った!それぞれの戦闘が終わると、猟兵達もパント達やリリエム達によって全滅していた!



「馬鹿なああああああぁぁぁぁぁぁぁ………ッ!?イシュメルガ様が……”獅子心帝”が駆る”最強の騎神”が生身の人如きに屈するだと……ッ!?」

「あ、ありえない……!他の騎神ならまだしも、機甲兵どころか生身で”黒の騎神”――――――それも起動者(ライザー)は獅子心帝の生まれ変わりであるオズボーン宰相が駆る”黒の騎神”を圧倒した挙句”地精”が彼の為に作り上げた特製の剣まで破壊したなんて……!」

それぞれの戦闘が終了した頃にちょうどイシュメルガがハイシェラとの戦闘によって戦闘不能状態に陥っており、それを見たアルベリヒとゲオルグは信じられない表情で声を上げた。

「うわ~……クロスベルの西ゼムリア通商会議でパパとやりあった時も相当手を抜かれていたんだね~。」

「おいおい……あのシグムント相手に手加減して圧倒した上、生身で”黒の騎神”すらも圧倒するとか、化物過ぎだろ…………ぐっ……」

「団長……!?」

シャーリィは表情を引き攣らせながら呟き、シャーリィの話を聞いたルトガーは疲れた表情で呟いた後セリカ達との戦いによる傷で呻き、その様子に気づいたレオニダスは血相を変えてルトガーに駆け寄り、ルトガーを守るように戦闘の構えをしてセリカ達と対峙した。



「猟兵達の殲滅も無事に完了したか。――――――予定通りの流れだな。」

「な………」

「”予定通り”だと……!?まさか貴様らの”真の目的”は俺達の制圧ではなく――――――」

「星座とニーズヘッグの連中――――――要するに”黒の工房に雇われている猟兵達の殲滅”がそっちの真の目的だったのかよ?」

戦況を確認して答えたパントの話を聞いたアルベリヒは驚きのあまり絶句し、ある事に気づいたレオニダスは厳しい表情で声を上げ、ルトガーは真剣な表情でパントを睨んで問いかけた。

「その通り。”アルスター”の件のような猟兵達による暗躍や破壊工作が一番厄介だからね。――――――手持ちの猟兵は団長、隊長クラスを除いて全て失い、更には拠点も本拠地を含めて全て失った君達”黒の工房”にはもはや暗躍する力すら残されていまい。」

「ハハ……リィン君達に地精(ぼくたち)の拠点を全て潰させた事といい、連合が”裏の協力者達”の抹殺を積極的に狙っていたのも、今までの歴史の裏で暗躍していた地精(ぼくたち)を叩き潰す事で僕達による暗躍を封じて、戦争をそちらの有利に進める為だったのか……」

「おのれぇぇぇぇぇ――――――ッ!この私が、想定外(イレギュラー)如きの掌の上で踊っていたというのか……ッ!」

パントの話を聞いたゲオルグは疲れた表情で肩を落とし、アルベリヒは怒りの表情を浮かべて声を上げた。



オノレ…………ッ!イレギュラー共ガアアアアァァァァァァ……ッ!ソノ圧倒的ナ力……ヨコセ……ヨコセ……吾ノモノダ……!総テ……!



するとその時イシュメルガから怨念がこもった声が聞こえた後、ハイシェラを中心に黒い瘴気が発生した!

「ほう……?」

「”瘴気”……!?それに今の凄まじい”邪気”が込められた声は一体……!?」

「多分……いえ、間違いなく”全ての元凶”――――――”黒の騎神イシュメルガ”でしょうね。」

「ハイシェラを中心に瘴気が発生した上、先程の”ヨコセ”という言葉……―――――まさかっ!?」

ハイシェラが興味ありげな表情を浮かべて自身の周囲に発生している瘴気を見回している中厳しい表情で声を上げたシュリの疑問にサティアが答え、ある事に気づいたロカは厳しい表情を浮かべ

「ハイシェラを取り込んで自分の力にするつもりか。」

「ちょっ、それって滅茶苦茶不味いじゃないですか!?すぐに阻止しないと――――――」

ロカに続くように答えたセリカの推測を聞いたマリーニャは焦りの表情を浮かべて声を上げたが

「必要ない。ハイシェラが……”神殺し(おれ)の盟友”が”呪い如きに屈する等絶対にありえない”。」

セリカが制止の答えを口にした。



ヨコセ……ヨコセ……吾ノモノダ……ソノ魂ノ総テ……



「我が貴様の物だと?――――――笑止!我を好きにできるのは、我の永遠の好敵手たるセリカのみ!他人に寄生することしかできぬ至宝の残骸如きが我を喰らう事ができる訳がないだの!」

全身を黒い瘴気に纏われたハイシェラは不敵な笑みを浮かべて答えた。



ナ………



「クク、この我を喰らおうとするからには、当然”この我に喰らわれる覚悟はあるのだの?”オオオオォォォォォォ――――――ッ!!」

瘴気の声が全身に凄まじい”負”の魔力を受けたにも関わらず平気な様子のハイシェラに驚きのあまり絶句している中何とハイシェラは”自身に纏っている瘴気を自らの肉体へと吸収し始めた!”



ウ……ウアアアアアアアアアアア………ッ!?



「イ、イシュメルガ様!?一体どうなされたのですか……!?」

「ま、まさか……ありえない……ッ!”呪いを吸収して、自身の糧にしようとしているなんて”……!」

悲鳴のように聞こえて来た瘴気の声の様子にアルベリヒが困惑している中、察しがついたゲオルグは信じられない表情でハイシェラを見つめた。

「我を喰らうつもりなら、その魂に刻み付けるがいい!我が名はハイシェラ!”地の魔神”にして”世界の禁忌”と恐れられ、あらゆる神や勢力からその命を狙われているセリカの盟友也!セリカと我の為に、貴様の力、我に寄越すがいい!!」

一方瘴気を吸収し続けているハイシェラは堂々とした様子で宣言した。



イ、イヤダイヤダイヤダ!喰ワレタクナイ喰ワレタクナイ!200年待ッタ我ガ願イ、コンナ所デ潰エサセテナルモノカ――――――ッ!!



ハイシェラに吸収され続けている瘴気の声は恐怖が混じった様子で答えるとハイシェラを纏っていた黒い瘴気は霧散し、更にイシュメルガは”精霊の道”を発動した。

「イシュメルガ様!?一体どちらに向かわれるおつもりですか……!?」

「くっ……まさか、”呪いをも喰らって、恐怖させる存在”がいるなんて、あまりにも想定外(イレギュラー)過ぎる……!」

「俺達も退くぞ、レオ、”血染め”!!」

了解(ヤー)!!」

「ハア、またこっちの”負け”か。多分”次がシャーリィ達の最後”だろうから、せめて最後くらいはリーシャやランディ兄達を連れてきてね~。」

精霊の道を発動したイシュメルガの様子を見たアルベリヒは慌てた様子でイシュメルガに駆け寄り、アルベリヒに続くようにゲオルグもイシュメルガに近づき、レオニダスはルトガーの指示を聞くと閃光弾をその場に叩きつけてルトガーと共にイシュメルガの元へと撤退し、シャーリィも二人に続くようにイシュメルガの元へと撤退すると精霊の道を発動したイシュメルガはアルベリヒ達と共にその場から転位によって消え去った。



「なんだ、”喰らい合い”は始まったばかりだというのに、その程度で逃げるとは張り合いがないだの。」

「ア、アハハ……まさか逆に相手を取り込もうとするなんて、ハイシェラ様の”規格外”さは相変わらずね。」

「―――――だから、言っただろう。心配無用だと。」

イシュメルガ達が撤退するとハイシェラはつまらなそうな表情で答え、冷や汗をかいて苦笑しているマリーニャにセリカは静かな表情で指摘した。

「フウ、大使館の防衛は無事成功しましたね、パント様。」

「ああ、あそこまで痛めつければ、これに懲りて大使館を奇襲するような事はあるまい。――――――そもそも、この”大戦”が終われば彼らは”大使館に構っているような余裕すらもないがね。”」

一方イシュメルガ達の撤退を見届けて安堵の溜息を吐いたルイーズの言葉にパントは頷いて答えた。

「あのー、結局敵の上層部クラスは誰一人討ち取る事はできなかったのですけど、よかったのですか?」

するとその時ある事が気になっていたリリカはパント達に訊ね

「問題ない。……というか”鉄血宰相”と”黒のアルベリヒ”に関しては”ここで討ち取ったら厄介な状況になりかねないからね。――――――彼らは”然るべき場所で消えてもらう予定さ。”その時が来れば、今回のように君達にもまた声をかけさせてもらうよ。」

リリカの疑問に対してパントは苦笑しながら答えた。



~同時刻・ブライト家~



「セプトブラスト!!」

「「ドラゴンラッシュ!!」」

「ぐあっ!?」

「ガッ!?」

「つ、強すぎる………ぐふっ……」

「こ、これが……”空の女神”の”力”……か……」

「こ、こんな……圧倒的な力……幾ら宰相閣下……でも……」

一方その頃大半の猟兵達や情報局の局員達はエステル達との戦闘で既に気を失っており、まだ残っていた猟兵達や局員達もエイドスのSクラフトやエステルとミントのコンビクラフトを受けてそれぞれ気絶した。



「いっちょ上がりっと!さ~てと、後寝ていないのはあんた達だけのようね、ギルバートにかかし(スケアクロウ)さん!」

「二人とも既に僕達との戦闘で戦闘不能状態……戦闘前にエステルも言っていたように、僕達は連合と違って”殺害”ではなく、”捕縛”に留め、捕縛後の貴方達の身柄はメンフィル・クロスベル連合軍やヴァイスラント新生軍ではなく、王国軍に引き渡しますので、二人とも大人しく降伏してください。」

一息ついたエステルは自分達との戦闘でそれぞれ既に満身創痍の状態に陥っているギルバートとレクター少佐を睨み、ヨシュアは二人に降伏を促した。

「ハッ……連合軍や新生軍に俺達を引き渡せば連中が俺達を処刑すると考えて、王国軍に引き渡すって事か……お優しいこった。」

「お、王国軍に引き渡された僕達はどうなるんだ!?」

レクター少佐は得物である細剣を支えにして地面に跪いて皮肉な笑みを浮かべてエステル達を見つめている中、ギルバートは表情を青褪めさせてエステル達に訊ねた。

「アランドール少佐を含めたエレボニア帝国の情報局の局員達は”捕虜”として扱われ、”エレボニア帝国の敗戦後エレボニアの新政府やアルノール皇家の交渉次第”にはなりますが、恐らく”アランドール少佐達の身柄は最終的にはエレボニアの新政府やアルノール皇家に引き渡され、その後の処遇は彼らが決めるでしょう。”ですが結社の猟兵達は……」

「リベールの拘置所に入れられて今までの罪を償う事になるだろうね~。結社は”国際犯罪組織”扱いされているし。」

「しかもギルバートは”脱走罪”も犯しているから、配下の猟兵達よりも罪は重くなるから、当然拘置期間も配下の猟兵達より伸びるだろうね。」

「あっ!そういえばあんた、3年前のダルモア元市長の件で逮捕された後ジョゼット達のようにクーデターのどさくさに紛れて脱走したんだったわね。しかも”異変”の解決に貢献した事で”恩赦”が出たジョゼット達と違って、結社に入って余計に罪を犯しているし。」

「ギクッ!」

ギルバートの疑問に対して答えたフェミリンスに続くようにミントは苦笑しながら、ヨシュアは静かな表情で答え、ヨシュアの話を聞いてある事を思い出したエステルはジト目でギルバートを睨み、睨まれたギルバートは図星を指されたかのよな表情を浮かべた。

「既に逮捕されていながら、”脱走”までしていたんですか……確か僕達の時代でも”脱走罪”は結構重い罪だったと記憶していますが……」

「ハハ、時代に関係なく、”脱走罪”は重いと思うよ。僕も何度か捕まって脱走した時も、指名手配までされたからね。」

「笑いごとじゃありませんよ、アドルさん……一体何があって、”何度も捕まって脱走する事”になったんですか……」

「え、えっと、アドルさんやドギから聞いた話になりますけど、どれも”冤罪”やアドルさんを陥れるようなものばかりで、アドルさんの無実が判明した後はアドルさんの罪は”脱走罪”も含めて帳消しになったそうですよ。」

エステル達の話を聞いて冷や汗をかいて表情を引き攣らせて呟いたナユタに苦笑しながら指摘したアドルの話を聞いたフィーナは冷や汗をかいた後疲れた表情で溜息を吐き、エレナは困った表情でフィーナにある事実を伝えた。



「ぼ、僕達だけ拘置所で罪を償うって……!ふざけるな!そんなの不公平じゃないか!」

「いや、不公平も何も、兄さんがそんな厚かましい事を言える立場やないやろ。」

「王国で罪を償うのが嫌のようでしたら、”せめてもの情け”にアルテリアに連行してあげても構いませんが。」

「リース……アルテリアで罪を償う方がリベールで罪を償うよりも厳しい内容になる事をわかっていて言っているわよね。」

「まあ、貴方の言っている事もわからなくはないけど、貴方達と彼らは”立場”もそうだけど、”犯した罪”も違うから仕方ないのじゃないかしら。」

「あんなろくでもない男のいう事を真に受けて答えてあげる必要なんてないの、クレハ様!」

文句を言うギルバートに対してケビンは呆れた表情で答え、ジト目でギルバートを見つめて呟いたリースにルフィナは苦笑しながら答え、困った表情で答えたクレハに指摘したノイはギルバートを睨んだ。

「えっと……とりあえず戦闘も終わった事だし、結界は解いておきますね。」

一方状況を見守っていたエイドスは結界を解除した。

「!今だ!来い――――――Gアパッシュ!!」

「へ。」

「”幻影城”突入時に呼んだ飛行人形兵器か……!」

するとその時ギルバートがその場である物を呼び出し、ギルバートの行動にエステルが呆けている中逸早くギルバートの行動に気づいたヨシュアは警戒の表情で双剣を構えた。すると機械音が聞こえ、音を聞いたエステル達が見上げると乗り込んで操縦する事も可能なギルバート専用の飛行人形兵器――――――Gアパッシュが現れたが

「ちょっ、これって完全に私のせいですよね!?――――――仕方ありません。帳尻合わせの為にも……―――――ニーベルン・ヴァレスティ!!」

Gアパッシュの登場に慌てたエイドスがその場で跳躍して空中で自身の背中に虹色に輝く双翼を顕現させた後異空間から現れた神槍をギルバート目掛けて向かうGアパッシュに放った!するとGアパッシュがギルバートの目の前に到着したタイミングでエイドスが放った神槍がGアパッシュに命中した。

「へ――――――」

「あ。」

自身の目の前に到着したGアパッシュにエイドスが放った神槍が命中する瞬間を目にしたギルバートは呆けた声を出し、同じようにエイドスも呆けた声を出したその時神槍は止めの聖なる魔力の大爆発を起こし、更にGアパッシュも大爆発を起こしてギルバートを空高くへと吹っ飛ばした!

「あ~れ~!どうして最後はいつもこうなるんだよ~!例え結社が滅びようと、僕は何度だって咲き直してみせるからな!ネバーギブア――――――ップ!!」

そしてギルバートは空の彼方へと消え去り、その様子を見ていたエステル達はそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「ハハ、あの調子やと、また何らかの形で元気な様子で邂逅することになるかもしれんな。」

「まあ、十中八九”敵”として邂逅する事になると思うけど。あの手のタイプは懲りないし。」

「フフ、昔から鋭かったけど、私が知っている時以上に鋭くなったわね、貴女の観察眼は。」

我に返ったケビンは苦笑し、静かな表情ある推測をしたリースの話を聞いたルフィナは微笑んだ。

「って、何逃がしちゃってんのよ、エイドス~!」

「え、え~と、この場合”逃がしちゃう”って言うのかな~?」

「す、すいません……!彼が呼んだ人形兵器を無力化するだけだったんですが……でも、皆さんの話だとギルバートさんは”三下キャラ”なんですから、不幸中の幸いにも少なくても今回の戦争に関しては何の支障にもならないから、そんなに怒らなくてもいいじゃないですから。」

「そういう問題じゃないわよ、エイドス……」

一方エステルはエイドスを睨んで注意し、ミントは苦笑し、エステルに注意されたエイドスは謝罪した後苦笑しながら答え、エイドスの答えにフィーナは呆れた表情で溜息を吐いた。



「まあ、ギルバートの件は一旦置くとして……まずはアランドール少佐の拘束だけ先にすませ――――――!」

そして気を取り直したヨシュアがレクター少佐へと視線を向けたその時、レクター少佐は懐から短剣を取り出して自身の首筋へと向けていた!

「ちょっ、何で自殺しようとしているのよ!?」

「……まさか、任務失敗と配下達が捕縛された事の”鉄血宰相”に対する”謝罪”の為に”自害”をするつもりですか?」

「オッサンは関係ねぇよ……全て出し切って敗れたら”最初からこうすると決めていたんだよ。”……できれば、放蕩皇子やⅦ組の連中もそうだがシュバルツァーにせめてクレアだけは助けてやってくれと伝えてくれ。」

レクター少佐の行動を見たエステルは慌てた様子で声を上げ、フェミリンスはレクター少佐に訊ね、フェミリンスの推測を否定したレクター少佐は寂しげな笑みを浮かべてエステル達に自身の遺言を伝えた後短剣で自身の首を刺そうとし

「くっ、間に合わな――――――」

それを見たアドルが唇を噛みしめて呟いたその時!

「ピューイ!」

「え………」

何とその場に突如白隼が現れると白隼は高速で突撃してレクター少佐の手から短剣を叩き落とし、短剣を叩き落とされたレクター少佐は呆けた。



「あの白い鳥ってもしかして……”隼”……?」

「それも”白隼”という事はまさか――――――」

「”ジーク”なの~~!?」

レクター少佐の短剣を叩き落した後近くの木の枝に着地した白隼の様子を見たクレハが呆けている中白隼の正体に気づいたエレナは驚きの表情を浮かべ、ノイは信じられない表情で白隼に訊ね

「ピュイ♪」

白隼――――――ジークはノイの言葉に嬉しそうな様子で答えた。

「ジークがいるって事はも、もしかして……!」

「はい、その”もしかして”です。」

ジークを目にしたエステルがある人物が近くにいる事を察して驚きの表情である事を呟きかけたその時、女性の声が聞こえた後旅装を身に纏っているクローディア王太女が王国親衛隊員達と共にその場に姿を現した。



「クローゼさん!」

「どうして君がここに……」

クローディア王太女の登場にミントは嬉しそうな表情で声を上げ、ヨシュアは困惑の表情でクローディア王太女を見つめて訊ねた。

「連合やカシウスさんが”大戦”の間にオズボーン宰相やレクター先輩達が”ブライト家”と”メンフィル大使館”を襲撃する可能性があると推測し、それを知らされたエステルさん達やセリカさん達がその襲撃への反撃(カウンター)の為にそれぞれ迎撃態勢を取っているという話を聞いた時に”大戦”が起こる少し前に会ったジェニスに通っていた頃の卒業した先輩の一人―――――ルーシー先輩の私への頼みをふと思い浮かんだのです。”追い詰められたレクターが早まった真似をしようとした時は私の代わりに止めて欲しい”と。」

「な………」

クローディア王太女の話を聞いたレクター少佐は絶句し

「それでそのタイミングでルーシー先輩の頼みを思い浮かんだ事は虫の知らせと思い、急ぎこちらに来たのです。”ブライト家”と”メンフィル大使館”………やはりレクター先輩の担当は”ブライト家”だったようですね。」

「クク……まさかルーシーもそうだが、クローゼにまで”そこまで読まれちまう”とはな。」

クローディア王太女に視線を向けられたレクター少佐は苦笑しながらクローディア王太女を見つめた。

「……先輩。先輩の事情もそうですが、”黄昏”が発動した後の先輩の状況もリウイ陛下達メンフィル帝国からの情報提供で知りました。先輩の父君が”教授”と”帝国の呪い”によって”ハーメルの惨劇”、そして”百日戦役”を引き起こした事……”黄昏”を発動させる為に先輩が妹のように可愛がっていた先輩と同じ鉄血の子供達(アイアンブリード)の一人にしてⅦ組の一員でもあった方を失ってしまった事……そして先輩がその方の死を無駄にしない為にも、オズボーン宰相達の計画を成就させようとしていた事も。」

「ハッ……そこまで把握されちまうとか、メンフィルの諜報関係者の諜報力は冗談抜きでどうなってんだよ……特に一番最後の情報はⅦ組の連中しか知らなかったはずだぜ。」

静かな表情で語るクローディア王太女の話を聞いたレクター少佐は苦笑しながら呟いた。



「今回の戦争――――――いえ、”百日戦役”や”黄昏”の件で先輩が抱える事になってしまったもの……私にはその全てを理解する事はできません。でも……これだけはわかります。”先輩自身の責任を取る為に先輩が自ら死を選ぶ事は誰も望んでいません。”私やルーシー先輩、レオ先輩にジル達……そして失ってしまった先輩の妹――――――ミリアムさんという方も。」

「!!」

クローディア王太女の話を聞いたレクター少佐は目を見開いた。

「”黄昏”を乗り越え、そしてメンフィル・クロスベル連合との戦争を終えたエレボニアには恐らくかつてない苦難の未来が待ち受けているでしょう。そんなエレボニアにとって先輩の力は間違いなく必要になります。――――――本当に責任を感じていらっしゃっているのでしたら、”自ら命を絶つ事で償いから逃げるのではなく、生きて償って下さい”。私やルーシー先輩達はそれを心から願っていますし……恐らくですが天国で先輩達を見守っているミリアムさんという方もそれを望んでいると思いますよ。」

「……………………」

クローディア王太女の指摘に対して何も答えず、ミリアムを思い浮かべて辛そうな表情で黙り込んでいた。

「あ、あの~。横から口を挟んで悪いけど、ちょっといい?」

「エステルさん?」

するとその時エステルが気まずそうな表情で二人に声をかけ、エステルに声をかけられたクローディア王太女は不思議そうな表情でエステルを見つめた。

「クローゼの話に出て来た”ミリアムちゃん”って言う名前の女の子…………生き返っているわよ。」

「え…………」

「……………………ハ?」

気まずそうな表情を浮かべて答えたエステルの答えを聞いたクローディア王太女は呆け、レクター少佐は一瞬石化したかのように固まった後呆けた声を出した。



「……当事者であるアランドール少佐でしたら既にご存じと思いますが、”紅き翼”がセドリック皇太子殿下の救出の為に”黒の工房”の本拠地を見つけて襲撃した訳ですが……彼らの目的は皇太子殿下の救出だけでなく、”黒の工房の本拠地のどこかに保存されているミリアム・オライオンのスペアボディの確保”の為でもあったんです。」

「な………」

ヨシュアの話を聞いたレクター少佐は絶句し

「本来でしたら死者を蘇生……ましてや、死亡してから日数も相当経っている状況で蘇生をする事は”神ですら不可能”の所業ですが……アランドール少佐も知っているように”白兎”は”普通の人間ではなく、人造人間(ホムンクルス)”である事に加えて白兎自身が”剣”になった事で”白兎自身の魂も剣という形で残っていたとの事。”紅き(かれら)から聞いた話になりますが、紅き(かれら)は”剣に白兎の魂が残っていて、白兎に適応する肉体さえ用意できれば白兎の蘇生は可能”という一縷(いちる)の望みにかけました。そして”魔女”の長やメンフィルの協力もあり、その結果”白兎の蘇生に成功した”との事ですわ。」

「というかオルディスの守備を担当していたアランドール少佐と同じ鉄血の子供達(アイアンブリード)のリーヴェルト少佐もミリアムちゃんの生存を確認しているけど……リーヴェルト少佐からミリアムちゃんの件は聞いていなかったの?」

フェミリンスはヨシュアの説明を捕捉し、ミントは苦笑しながらレクター少佐に訊ねた。

「……お前達()なら知っていると思うが、情報局はメンフィルの諜報関係者達による旧共和国に潜伏していた局員達の大量暗殺に加えて戦争が本格的に始まってからも、局員達が次々と暗殺され続けた事やクロスベルに潜伏していた連中も全員逮捕された事によって相当な人員不足に陥っていて俺はその補填の為に休む暇すらなく動き回っていたからな……クレアと話したのは黒の工房の本拠地の防衛が失敗した時が最後で、それ以降は連合の侵略も本格的になった事で互いに会って話す暇なんてなかったんだよ。」

「なるほどね……連合による猛攻で白兎の蘇生を知る事ができた”氷の乙女(アイスメイデン)”は貴方に”白兎の蘇生”を知らせる事はできなかったのね……」

「要するに”不幸な偶然”が重なったという事ですね。――――――あ、先に言っておきますけど”空の女神(わたし)による運命の悪戯”等とか言わないで下さいよ!」

「いや、誰もそこまで言っていないから。というか今のエイドスの言葉で、クローゼが作った説得の空気が完全にぶち壊しじゃない。」

「君もエイドスの事は言えないけどね、エステル……」

レクター少佐の話を聞いたルフィナは複雑そうな表情で推測し、納得した様子で呟いた後真剣な表情を浮かべて指摘したエイドスの発言にその場にいる全員が冷や汗をかいて脱力している中エステルはジト目でエイドスに指摘し、ヨシュアは疲れた表情でエステルに指摘した。



「ア、アハハ………――――――どうやら、”生きて償いをしなければならない理由”がまた一つ増えたみたいですね、レクター先輩?」

一方エステル達のやり取りを苦笑しながら見守っていたクローディア王太女はレクター少佐に視線を向けて問いかけた。

「ったく、ようやく……楽になれると思ったのに……生き恥を晒した上、仕事三昧にさせるとか……お前といい、ルーシーといい、学院の時以上の容赦の無さじゃねぇか……」

「フフ、私達に黙って勝手に学院を退学した事もそうですが、”黄昏”を引き起こしたからといって私達との”絆”も勝手に”終わったものだと諦めた”挙句、最後は自ら命を絶って私達を悲しませようとした事に対する”罰”も兼ねているのですから、そのくらいは当たり前です。それと当然ですが、同窓会にも参加してもらいますよ?」

「ハハ……ホント、容赦ねぇな……クレアの件を放蕩皇子やシュバルツァー達に伝える件……頼んだぜ……遊撃士……………」

クローディア王太女の言葉に苦笑したレクター少佐はエステルを見つめて自身の望みを伝えた後気絶して地面に倒れた。



「今はゆっくりと休んでいてください、レクター先輩……」

レクター少佐が気絶するとクローディア王太女は静かな表情でレクター少佐を見つめ

「……どうやら今まで耐えて来た超過勤務による疲労や精神面の疲労が一気に押し寄せた事で気を失ったようやな。エステルちゃん、かかし(スケアクロウ)の依頼はどないする……って、聞くだけ野暮やな。」

「うん、勿論引き受けるわ!」

レクター少佐の状態を分析したケビンはある事をエステルに訊ねかけたがすぐにエステルの答えを察すると苦笑し、エステルは力強く頷いてケビンの予想通りの答えを口にした――――――

 
 

 
後書き


皆さんの予想通り、セリカ達による圧倒的勝利ですww閃の軌跡のアニメは実は私は最初、どうせ原作の流れをやると思って期待していなかったのですが、まさかのノーザンブリア篇でオリジナル主人公(しかもエステル以来の軌跡シリーズの女主人公)との事ですから、今では結構楽しみに待っていますw凄い先の話になりますが、ひょっとしたらノーザンブリア篇の主人公やその仲間達をメンフィルの属領となったノーザンブリア独立の為にリィン達メンフィル側に協力するみたいな形で黎篇で登場、活躍させるかもしれませんww 
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