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探偵ストレイドッグス

作者:スズ
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第5話 萩原研二

ここは、とある爆弾発見場所である。




多くの警察関係者に見守られながら1グループが爆弾処理に取り掛かっていた。



「・・・・あぁ順調だ。今、爆弾のタイマーが止まっているからな。やっぱ防護服はアッツいなぁ」



そうして、防護服を脱ぐのは萩原健二、爆弾処理班Wエースの片割れだ


<油断するんじゃねぇよ>



「はは、わかってるって」




爆弾装置のタイマーが止まったことを良いことに防護服を脱いで一服をしている機動隊が約一名いた。
しかし、この時の油断が命取りとなることはまだ誰も知らない。


____________________________________

あれから4年後、骸はスラム街にいたところ組織の目に留まり無事(?)組織に入り込むことに成功していた。
そして既にコードネーム(=グラン)をもらって活動しており、骸はいわゆる組織の始末屋としての地位を確立している最年少幹部らしい。


そして、翼はというと現在13歳。こちらも情報収集では右に出る者はいないぐらい成長していた。そして、現場に出ることも増えてきていた。


そして、今回は森鴎外の病院偵察の付き人として与謝野晶子と共に参加していた。今はその帰りである。

「ーーーーーで、ーーーーだろう」

「ーーーー、ーーーっーーーーー」

与謝野と鴎外が医学的な話をしているその後ろで翼は携帯で速報を見ていた。


「おや?翼君。何をしているのかね」

「爆弾解除の速報が流れてるんだ。」
「ってそれこの近辺じゃない?」

確かに流れている地名はこのあたりのものだった。

野次馬をするわけではないが少し、速度を上げて走る。近くまで来ておいて見て見ぬふりはできない。警察を信用していないわけではないが万が一爆弾が爆発したらたとえ防護服を着ていたとしても無傷とはいかない。特に医者である与謝野と鴎外にはその思いが強かった。

マンションまで残り200m付近で突如翼が反応した。

「っ爆発する!!」
「少しでも威力抑えられないかい!?」
「っ!!<リフレクター>」

少しでも威力を弱くするために光の壁を爆弾の近くに張り付ける。

そして


ドカーーーーン


派手な音を立ててマンションのその階は吹き飛んだ。


____________________________________

目の前で派手に爆弾が爆発した瞬間を目撃した松田は一瞬にして目の前が真っ暗になった。

だが、すぐに同僚に叱咤され萩原を探す。そしてそれはすぐに見つかった。

「萩原!!しっかりしろ萩原!!はぎわらぁぁぁぁあ」

早く、救急車を呼べ!!そう、同僚が叫んでいるのを遠くのほうに聞きながら瞬時に悟ってしまった。
萩は、救急車が来たとしても病院まではもたない。助からないと

その時だった。

「ちょっといいかな。」
「・・・・・え?」
「その人助けるんでしょう?」
「っえ、でもこの状態は?」
「でも、まだ生きている。どんなに弱っていてもまだ命がある限り助けてることをあきらめないのが医者だよ。」

「医者・・・・なんですか?」

「そうとも」



そして、立ち上がった人はほかの人にも聞こえるようにこう告げた

「横浜総合医療センター医院長の森鴎外だ。今すぐに処置を行う。大丈夫だ。絶対に助けるよ。」

今から私は重症者の処置にあたるから、軽傷や自力で動くことができるものはここにいる与謝野医師の指示に従ってほしい。よろしく頼む。

その声掛けにパニックになっていた警官たちはいっせいに動き出した。ところどころざわつきがあるのも自分と同じ心境だからだ。

森鴎外、医療系のニュースでよく耳にする名前だ。医学の権化といわれるトップ医師。横浜総合医療センターで医院長を務め、4年前からは横浜にある総合探偵事務所で副所長を兼務している凄腕だ。

そんな大先生がなぜここにと思ったりしているがその間にも処置がつづいていた。

「とはいえ、危険なのには変わりないか・・・とりあえずやけどだな。翼君」

「うん<レーゼ>」

翼君と呼ばれた少年が手をかざすと緑色の光が萩原の体を包み込む。そうすると赤みが徐々に消えていくのが分かった。あれが、初めて見る異能という力なのだろうか。

更に、少年はどこからかビニール袋のようなものを取り出し鴎外先生に渡した、そして、それはみるみるうちに膨らんでいきその中に萩原の体を入れた。何を今からするのだろうか。
眺めているとジーとみられているのが分かった。その視線は先程の少年のものだった。自分が気づいたことに気づいたのか少年はこちらにやってきた。

「お兄さん。あのお兄さんのお友達?」
「あぁ、親友だ」
「そっかー」

会話が途切れてしまった。

「なぁ、聞いていいか?」
「なあに?」
「あれ、何しているんだ?」
「?あれは無菌室といってね、持ち運び式の手術台なんだ。やけどのほうは自分が治したし爆発前に能力でカバーしたから大丈夫だったんだけど、熱を持ったガラスの破片が刺さっているほうが問題みたいでね病院に運ぶ前にある程度除去作業をしているんだ」

今手術しているのか?というかこの少年はやけどを治すだけでなく爆発前にもカバーをしてくれていたのか。もしそれがなければ防護服を着ていない萩原は即死だったかもしれない、その状態だといくらトップ医師といえどもどうしようもなかっただろう。

「少年。ありがとう。」

「うん、自己紹介してなかった。」

はい!と渡された名刺には【株式会社DMO】と書かれていた。名前は広瀬翼。というらしい。


もう自分はすることはないというこの少年と共に待つこと数分。先ほどの取り乱しようはどこにもなくまだ危険な状態なのは変わりないのに漠然と既に大丈夫だという認識を持っていた。

そこにもう一人の女医が戻ってきた。

「あ、与謝野さん。そっちはもう大丈夫?」
「あぁ、他は多少の打撲ややけどの軽傷で済みそうだ。手当は済んだし、救急車も到着しそうだからもうやることはない。あとは待つだけだな。」

「おや、与謝野君の方も終わったんだね。」

翼と女医が話していると萩原を治療していた森が話に加わった。

「萩原は大丈夫なんですか?」
「あぁ、詳しい検査はさすがに病院に行ってからではできないがもう大丈夫だろう。警察にも知り合いはいるが爆弾処理班にはいなかったから認識があっているかわからないが爆弾を処理する際は防護服を着て作業するものだと思っていたのだが・・・・・」

「・・・・・頭の痛い話です。」


ほら見ろ萩原!!警察の痴態さらしやがって!!呑気に寝てやがる萩原に悪態をついてみる。

「・・・・・まぁ、そちらのことに口は挟まないがね」


そこから、救急車が到着し、重症の萩原を優先に、そしてけがをした隊員を乗せ病院に向かっていった。




_____________________________________________


結局萩原の処分は、始末書と厳重注意、謹慎処分に落ち着いた。萩原のしでかしたことを考えれば軽すぎる処分だが今までの実績が認められたのだろう。かなりの温情処分だ。

その萩原は謹慎処分を終え既に現場復帰していた。あの後他の医者や多少の医療知識があるものに聞いたことだが、萩原のけがでは本来警察には復帰できたとしても手先の器用さは失われることが多く爆弾処理班には復帰できないレベルの大けがだったらしい。それでも通常よりも早く復帰できたのは鴎外先生や病院関係者のおかげだ。といっても萩原自身思うとこがあったのか再度爆弾講習の受講、後輩の育成を受け持つことになり現場と内勤半々になっていた。それでも元気に出動していることに変わりない。あの時多数の命を救ってくれた彼らには感謝しかない。そして、この時に紡いだ縁は後に多大なる事件と再会が待ち構えていることは誰も知らないことである。


また、このことがきっかけで非番時に伊達を含めた3人でDMOに出入りすることになること、異能力者との出会いにより後天性能力者となることはまだ知らない。





 
 

 
後書き
萩原救済編

口調がおかしいのはご愛敬で


一応松田語りとなっております。 
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