イベリス
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第四十六話 夏服を着てその六
「その災害から守ってくれる」
「そのことが大きいわよね」
「何といっても」
「戦後大地震がないことは嬉しいわ」
「出来ればこのままいって欲しいわ」
「ずっとね」
「震度も五位ならいいのよ」
咲はこれ位ならと言った。
「本当にね」
「それ位何ともないわね」
「正直言ってね」
「建物も耐震考えてるし」
「そうだからね」
「これが六なら怖くて」
そうなってというのだ。
「七になるとね」
「もう覚悟しないとね」
「その時は」
「東京もどうなるか」
「わかったものじゃないわ」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「流石に七はまずいわ」
「そうよね、けれど五位じゃね」
「何ともないわ」
「日本全体がそうだからね」
「それ位だとね」
「凌げるわ、地震が起こってもそれ位ならね」
それならばというのだ。
「正直言ってね」
「いいわね」
「それ位で済んで欲しいわ」
「東京で地震が起こっても」
「本当にね、地震が起こったら津波も来るし」
もう一つの災害の危険もあるというのだ。
「そっちもね」
「怖いのよね」
「東京って低地にあるからね」
「しかも海に面してるし」
「津波が起こったらそれも怖いわ」
「東京湾は千葉県と神奈川県の半島の中にあるけれど」
それでもというのだ。
「川が氾濫とかね」
「これ台風でもあるけれど」
「それも怖いしね」
「起こって欲しくないわ」
「それと噴火もね」
火山のそれもというのだ。
「起こって欲しくないわね」
「特に富士山ね」
「奇麗だけれどね」
「噴火はして欲しくないわ」
「大惨事間違いなしだからね」
「結局人間って小さいのよね」
咲は口をへの字にさせてこうも言った。
「災害の前には無力よね」
「本当に全くよね」
「災害の前には何の力もないわよ」
「本当に無力よ」
「何も出来ないわ」
「備えはしてもそれ以上のことが起こったら」
その時はというのだ。
「もうそれこそね」
「逃げるだけよね」
「避難するしかないわ」
「災害に立ち向かうなんて無理だから」
「どうしてもね」
「地震なんて起こったら」
咲はその時のことを心から恐怖を感じつつ言った。
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