八条学園騒動記
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第六百五十四話 マッコリにしてもその六
「それなりに産業があってだ」
「資源もだ」
「あるな」
「だからだ」
それでというのだ。
「それなりに豊かでな」
「産業も資源もあってな」
「奪うものがあると言えば」
それならというのだ。
「ある」
「そうだな」
「だが当時はな」
李氏朝鮮末期の頃はというのだ。
「高麗人参はあったが」
「今もあるな」
「その人参はね」
二人で洪童に応えた。
「韓国名物だね」
「漢方薬にもなっているな」
「そうだね」
「それは昔からあったな」
「ほぼそれだけで何しろ塩も針も桶もも水車も染められた服もなかった」
言うまでもなく当時の日本や清には全てあった。
「自分で造ったという意味でな」
「それではな」
「産業はなかった」
「そう言ってよかったな」
「当時の韓国は」
「そんなところから奪うものがあったか」
果たしてというのだ。
「考えてみればいいことだ」
「なかったな」
「そうだね」
「農業技術も未熟でだ」
それでというのだ。
「灌漑もまともにしていなくてな」
「只でさえ土地が瘦せている」
「しかも寒いのに」
「おまけにジャガイモもなかった」
この作物もというのだ、サツマイモもである。サツマイモは日本や清で食べられていて特に清ではそうだった。
「他の大事な作物もな」
「何ていうか政治が酷過ぎて」
ロミオは両班のことを聞いたうえで述べた。
「それでだね」
「そうだ、本当にな」
「必要な政治が何もされてなかったんだね」
「政争と搾取と拷問ばかりでな」
「無茶苦茶酷過ぎるね」
「だからエウロパ貴族よりも酷かったと言ったんだ」
洪童の見たところである。
「俺もな」
「そういうことだね」
「あまりにも酷くてだ」
その政治がだ。
「本当に奪うものすらだ」
「なかったんだね」
「だから日本が来てもな」
「何も奪ってないね」
「むしろ多額の予算と技術と人材を投入し」
そうしてというのだ。
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