オンラインゲームは程々に
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第一章
オンラインゲームは程々に
松岡俊彦の職業はサラリーマンである、だが今は世相が影響して在宅勤務が殆どになっている。
それでだ、今日もだった。
「さて、パソコンの電源入れるか」
「お仕事ね」
「今からな」
妻のさやかに話した、俊彦はすらりとした長身で黒髪は短めだがスポーツ刈りで奇麗にしていて大きな黒い目と濃い眉に引き締まった唇に長方形の顔を持っている。さやかは黒髪をおかっぱにしていてやや垂れ目の大きな目と細い短めの眉と薄い唇に丸顔である。背は一五〇位で中学生に見える様である。その彼女に共に朝食を食べてから言った。
「今日もな」
「頑張ってね」
「そうするな、しかし出勤しなくていいけれど」
リビングに置いた自分のノートパソコンの電源を入れつつぼやいた。
「何か張り合いがないな」
「会社でお仕事しないとっていうのね」
「ああ、八時から五時で終わりでな」
「お家でね」
「これまで出勤して帰ってだったのにな」
「自由な時間出来ていいでしょ、お家でだし」
「そうだけれどな、張り合いがないな」
こう言うのだった。
「どうも」
「それは仕方ないわよ」
「電車に乗ってる間の読書やスマホいじってが結構楽しみだったのにな」
近所のスーパーにパートに出る準備をしている妻に言った。
「ったく、そこがな」
「ぼやかないの。それならそれで時間潰せばいいでしょ」
「何かしてか」」
「電車に乗ってる時みたいに本読んだりスマートフォン弄ったりね」
「そうしてか」
「そうよ、じゃあ行って来るわね」
こう言ってだった。
さやかはパートに出た、俊彦は一人になるとオンラインでの書類仕事や会議を行っていった。それ自体は真面目にしてだった。
昼は妻が作り置きしておいてくれたものを食べた、だが一時からはじまるまで暇でどうしようかと思った。
出勤している時はこうした時も読書やスマートフォンだったがそれでもしようかと思っている時にだった。
パソコンを見てだ、ふと思ってあることをはじめたのだった。
妻は四時半にパートが終わり五時過ぎには家に帰ってきた、そして夫を見るとリビングに座ったままだったので彼に言った。
「お仕事まだあったの?」
「いや、さっき終わったよ」
夫は妻に画面と向かい合った状態で応えた。
「もうな」
「じゃあ何しているのよ」
「ゲームしてるんだよ、オンラインゲーム」
「それしてるの」
「お昼にはじめたんだよ」
「そうなの」
「暇だからな」
仕事をしていない間はというのだ。
「だからな、課金しないから安心しろよ」
「だといいけれどね」
「ああ、やっていくな」
こう言ってだった。
俊彦は晩ご飯までゲームをしてこの日は風呂に入って歯を磨いて十二時に寝るまでゲームに励んだ、それはこの日だけでなく。
朝起きて食事を摂って仕事の時間になるまでだった。
リビングのノートパソコンでゲームをして昼休みも仕事が終わってからもだった。
彼はゲームを続けた、それが十日程続いて時に妻は十二時に夫婦のベッドに来た夫に対して言った。
「ねえ、あなたゲームばかりじゃない」
「仕事はしてるよ」
「いや、お仕事してる時以外はでしょ」
妻は自分の横に来た夫に憮然として告げた。
「ご飯とお風呂と歯を磨いて」
「そうした時以外はか」
「ずっとゲームしてるじゃない」
「駄目か?課金してないし出会い系みたいに使ってもないけれどな」
「そういう問題じゃなくてずっとゲームしてたらね」
それこそというのだ。
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