友達を見捨てない犬

　犬の怪我は骨盤骨折だった、それは完治するとのことだったが。
「フィラリアにも感染していまして」
「そちらの治療もですね」
「必要です」
　獣医はウォルダンに話した。
「ですから暫くです」
「入院は必要ですね」
「そうです、それで白黒の子も診ましたが」
「あの子はどうでしたか？」
「健康です、安心して下さい」
「そうですか」
「はい、白い子は雌で白黒の子は雄です」
　獣医は性別も話した、それから白犬はベティ＝ホワイト白黒の犬はアレンと名付けられてそうしてだった。
　治療を受け里親を募集することになったが。
「アレンはずっとですね」
「もうベティ＝ホワイトの傍を片時も離れないです」　
　スタッフはウォルダンに話した。
「それこそ」
「そうなんですね」
「その絆はです」　
　これはというのだ。
「かなりのものです」
「そうですか、ではです」
　ウォルダンはスタッフにここまで聞いて話した。
「ベティ＝ホワイトが完治しましたら」
「あの娘の里親も探しています」
「二匹一緒にです」
「引き取ってもらいますか」
「はい、そして」
　そのうえでというのだ。
「一緒にいられる様にしましょう」
「ずっと一緒にいるからですね」
「ベティ＝ホワイトが怪我をした時も離れなかったんですから」
　二匹にはじめて会った時のことも話した。
「ですから」
「その絆に応えて」
「はい」
　是非にと言うのだった。
「二匹一緒に里親に迎えてもらいましょう」
「離れ離れにしたら可哀想ですね」
「どうでしょうか」
「いいお考えです、そうしましょう」
　スタッフも応えてだった。
　ベティ＝ホワイトが完治すると彼女はアレンと共に心ある家族に二匹一緒に迎えられた、こうして二匹は幸せになった。
　この話をＳＮＳで知ったブラジルセアラー州イグアトゥのある病院で働いている看護士マリーナ＝アスンソン小柄でふっくらとした黒髪と黒い目の日に焼けた彼女は友人に自宅で自分の家にいる二匹のやや大型の犬達白い毛で所々に黒やダークグレーの模様特に頭の部分に多い彼等を紹介しつつそれで話した。
「アメリカにもそんなお話があるってね」
「貴女も思ったのね」
「ええ、事故に遭ってね」
　野良犬がというのだ。
「一緒にいる子がずっと寄り添うなんてね」
「アメリカにもあるのね」
「この子達もそうだしね」
「そのお話は前に聞いたわね」
「大変だったのよ」
　アスンソンは友人に笑って話した。
「あの時は」
「皆その時は忙しくて」
「この子達のところに中々行けなくてね」
「緊急のことが沢山入っていてよね」
「車に轢かれても命に別状ないなら」
　それならというのだ。
「後回しになって」
「それで事故があった次の日によね」
「そうだったのよ」
「ようやく行ったら」
「この娘、カスターニャが倒れていてね」
　雄と雌がいる、雌の首輪にはピンクのリボンがあり雄の方には黒の蝶ネクタイがありそれでわかる様になっている。