おっちょこちょいのかよちゃん
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201 赤軍本部へと繋がる道
前書き
《前回》
戦争を正義とする世界の本部へと行く為に海を渡った剣奪還班はブランデー・ナンと作戦を決める。マリエルが本部の建物内に侵入して異世界の剣の置いてある場所に三河口を連行し、ゆり、光江、政美、濃藤、湘木の五人で本部周囲の赤軍の人間と交戦、そして奏子、北勢田、鯉沢の三人は赤軍の本部へと導く道を探し、異能の能力を発揮する機械の工房へ乗りこむ役を担う。そして剣争奪戦の本格的な戦いが始まった!!
平和を正義とする世界の本部。イマヌエルはフローレンスが出向いた戦争主義の人間と領土攻撃反撃の安藤りえ達が戦闘現場から急に離れた距離へ移動した事で驚いていた。
「こちらイマヌエル、フローレンス、煮雪あり君、煮雪悠一君、聞こえるか!?」
イマヌエルは通信を試みたが応答がない。
「ウチの子は大丈夫なのかしら!?」
りえの母が非常に心配になった。娘と連絡が取れなくなっている事もあると焦るのも仕方がないとかよ子の母、まき子や三人の娘を戦わせている奈美子は思っていた。
「しかし、わからん、連絡が来ない・・・」
「こちら、フローレンス、です・・・」
「フローレンス!無事か!?」
『はい、私や煮雪悠一さんや煮雪ありさん、藤沢鈴音ちゃんや溝口みゆきちゃんや鎌山健次郎君、立家隆太君、ほか同行しているシャクシャインや項羽、劉邦などは無事です!しかし・・・、安藤りえちゃんの姿がありません!』
「安藤りえ君の姿が見えない・・・?まさか!」
イマヌエルは最悪の結果が脳裏によぎった。杯は奪われ、所有者は殺害されたと。
(剣に続いて杯まで敵の手中に収まると更に劣勢になってしまうぞ・・・!!)
湘木は二人の赤軍へと接近していた。
「お前はあの高校生の仲間か?」
奥平が聞いた。
「だとしたら何だ?」
「死んでもらおうか!」
奥平が手榴弾を投げた。対して湘木が斧を振るう。大水を出して手榴弾を押し流す。そして手榴弾は爆発し、奥平と西川は波に呑まれた。
「うご、うご・・・」
「安心しろ、殺しはしねえよ」
奥平と西川は遠くへと押し流されていった。
「よし、他の皆の援護に行くか」
湘木はその場を離れた。
赤軍の政治委員である足立と吉村は建物内部の警護に入る。
「忌々しい連中が来やがって!」
「剣だけは守らないとね。捕まえて殺すか私達がやられたみたいに監禁させてやりたいわね」
二人は平和を主義とする世界の人間に監禁された事があった為か、敵への牙をかなり剥き出しにしていた。
マリエルは濃藤の助力もあって戦争主義の世界の本部の内部に侵入に成功した。
「ここからは面倒な事に巻き込まれるのは避けられないわね」
マリエルは見聞の能力があるとはいえ、今のままでは敵に囲まれる事もおかしくないと判断した。そしてその見聞の能力が今、働く。予知夢の如く先が読めた。二人の男女が剣を渡すまいと警護をしている様子が一瞬映像のようにマリエルの目に映った。それだけではない。赤軍だの東京で連続企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線の面々が増兵として本部に集まっていく様子さえも見えた。
「マリエル、こちらの行動が読まれたらお終いだ。こちらも諜報係や援軍を増やした方が良い」
「ええ!」
マリエルは本を開いた。二人の妖精が現れた。
「私はシルヴィー」
「僕、ブルーノ」
「シルヴィー、ブルーノ、これから私はマザー・グースと一緒に剣のある場所を探すわ。この建物の中を見回して敵が何処にいるか察知して」
「ええ、良いわよ」
「うん、僕達、空、飛べるし、暗示も掛けてやる!」
「あんたの出鱈目な暗示は信じてないけどね。瞬間移動して何かあったら知らせるわ」
シルヴィーとブルーノは屋内を巡回した。そしてマリエルはまた本から別の人物達を出した。身長15センチ程の小人の兵が何百と現れた。
「『ガリバー旅行記』に出てくるリリパット王国の小人の兵団ね。この建物内の警護をしている人を見たら戦ってくれるかしら?その時間稼ぎとして私は剣のある場所を探すわ」
「了解!」
兵士達は敬礼をして周囲を周った。
「マザー・グース、急ぎましょう」
「そうだね」
マリエルはマザー・グースの鵞鳥に乗って剣が保管されている場所を探した。
北勢田、奏子、鯉沢は赤軍本部へと通じる道を捜す。奏子の羽衣で移動しつつ、鯉沢や北勢田の見聞の能力でその道を探る。
「道らしき道があらへん、どうなっとんじゃけんなあ?」
鯉沢はイラつき始めていた。
「でも近づいている筈だ。この近辺にある事は間違いねえよ」
だが、二人は違和感を感じていた。その違和感が地面にあった。
「徳林さん、羽衣から降ろしてくれ」
「ええ」
三人は羽衣から降りた。
「この地面が怪しいな!」
「うちも同じやこの地面の下が怪しいのう!」
「つまり・・・、赤軍の本部へと通じる道は地下道って事!?」
「よし、試させてもろうたる!」
鯉沢は銃を出して発砲した。原子光線が地面を粉砕し、溶かす。その穴を三人は除くとトンネルのような道があった。
「ここか!行くぞ!」
「うん!」
三人はまた羽衣に乗って地下道へ降下した。
「追っては来てねえよな?」
「ああ」
そして三人は道を進むと、そこに黒い穴があった。
「もしかして、ここか・・・?」
「ああ、一番不気味な感触がするけんのう」
「行くわよ!」
三人は黒い穴を通過しようとした。その時、鯉沢が後ろを振り向いた。
「おい、後ろ来とるで!」
「何!?」
「お前ら、そこで何してる!?」
赤軍の構成員が一名、追手として現れた。
「あいつは、赤軍の一人、山田義昭だ!」
「行かせるかよ!」
機械から威圧の能力を発動した。奏子は羽衣で防ごうとする。しかし、効果がなく、三人は気絶しそうになる。
「あいつ・・・。機械を沢山仕込んでるな・・・!!」
北勢田は矛を山田に向けた。北勢田の電脳の矛が山田の持つ機械から電力を奪い取った。気絶しかけた奏子と鯉沢が再び起き上がる。
「死にたくなかったら逃げな!」
鯉沢は銃を発射した。原子光線を山田に向ける。地下道の周囲が崩れ落ちる。
「俺は機械なしでも戦えるぜ!」
山田はそのまま機械を投げる。機械が手榴弾のように爆発した。奏子は羽衣や武装の能力を駆使して自分達へのダメージを防いだ。
「おい、トク、まともに戦っちゃ時間のムダじゃ、先に進ませい!」
「うん!」
三人は黒い穴の先へと進む。
「待て!お前ら!」
「お前は俺が相手してやる」
後ろから別の男子高校生が現れた。異能の能力を発動させる機械の源となった男だった。
「お前か・・・!恨みを晴らしに来たのか!だが、テメエと遊んでる暇はねえんだ!」
山田は三河口に機械投げつけた。三河口はそれを迎撃し、機械は空中で爆発し、三河口に当たらなかった。
「まだまだあるぜ!」
山田は3個同時に機械を投げた。今度は三河口に当たった。胴体と腕がバラバラになる。
「ふ、くたばったか・・・」
山田は先へ進んで北勢田達を追いかけた。しかし、バラバラにされたその三河口は実は北勢田が電脳の矛出した偽物だった。
濃藤は東アジア反日武装戦線の女と相対していた。
「日高敏彦を倒したくらいで安心しない事ね」
濃藤は厄介な事になったと思った。
「このアサカワ様が成敗させるわ」
アサカワと名乗った女は瓶の蓋を空けた。濃藤は運命の剣を向けた。
(この瓶の中身がどんな物か知らんが成敗させないと!)
濃藤は試みるが、瓶の中身から煙が出てきた。
「この瓶の薬品にそんな物は効かないわよ!」
アサカワの出した薬品が濃藤の剣を無視して濃藤を攻撃する。濃藤は武装の能力を発動させて防御する。だが、これでは持久戦となってしまう。その時、更に後ろから電撃がアサカワを襲った。
「キャアア!な、何よ!?」
「お前は俺が相手する」
三河口がアサカワを攻撃していたのだった。
(北勢田が出したミカワの偽物か!)
濃藤はしめたと思い、痺れて動けなくなったアサカワに剣を向けた。アサカワは気絶する。
「ありがとうな」
「ここは俺が警備する」
濃藤は偽の三河口と共に行動する事になった。
(マリエル、ミカワ、無事でいてくれよ・・・!)
北勢田、奏子、鯉沢は黒い穴の中を抜けた。そしてその出口を出ると・・・。
「ここが本部じゃな!」
「ああ、間違いねえ」
その建物はレバノン国内にある赤軍の本部だった。
後書き
次回は・・・
「機械の工房へ」
鯉沢、北勢田、奏子は赤軍の本部に到着し、異能の能力を発揮する機械を製造している工房の攻撃を始める。そして戦争主義の世界の本部区域の戦いも激しさを増す中、それぞれの目的を達成できるのか・・・・!?
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