イベリス
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第四十五話 考えは変わるものその二
「一回政治家、野党の女の人で」
「そうした人が来たんだな」
「テレビで観る時と同じでね」
「関西弁の人か?」
「そう、そっちの人」
咲もその通りだと嫌そうな顔で答えた。
「その人が来てね」
「そうしてか」
「物凄く言ってきて店長さんが出られて」
速水がというのだ。
「占って何とかね」
「終わったんだな」
「ええ、ただああした人がよね」
「クレーマーなんだ」
「そうした人は」
「もうよね」
「話は聞いてもな」
それでもというのだ。
「入れたら駄目だ」
「そうなのね」
「聞いてもな」
それでもというのだ。
「お店の経営にな」
「影響が出るわね」
「自分勝手なこと言っているだけだからな」
その為にというのだ。
「入れたらな」
「駄目ね」
「もうクレーマーはな」
「言うだけよね」
「言いたい人もいるんだ」
それこそという言葉だった。
「ただな」
「言いたいだけ?」
「ああ、文句や批判を言ってな」
そうしてというのだ。
「自分を偉いと思いたい人がな」
「いるのね」
「だからな」
「あれこれ言うの」
「お店に対してもな」
「そうなのね」
「というかその人お前が働いてるお店にも来たか」
「一目でわかったわ」
それこそとだ、咲は答えた。
「あの人だってね」
「そうなんだな」
「有名人でしょ」
咲はそうだからと言った。
「あの人って」
「よくも悪くもな」
「むしろ悪い意味?」
「それでも有名人だろ。だからお父さんもわかった」
そうだというのだ。
「評判悪いしな」
「お父さんから見ても?」
「碌でもない組合と付き合いがあってな」
そうしてというのだ。
「過激派ともそうだしな」
「評判悪いのね」
「ああ、お父さんが見る限りな」
まさにというのだ。
「碌な人じゃない」
「そうなのね」
「それで咲のお店でもか」
「凄かったわ、店長さんが出られて」
速水自身がというのだ。
「何とか収まったの」
「そうだったんだな」
「あれこそ言って騒いでね」
そのうえでというのだ。
「店長さんが美形だからどうかと言ったりしたけど」
「店長さん乗らなかったな」
「けんもほろろだったわ」
そうした感じだったとだ、咲は答えた。
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