ドリトル先生とめでたい幽霊
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第九幕その四
「織田作さんだけでなくね」
「大阪の人達にですね」
「縁がある人がね」
「出ますか」
「そうだよ、では次はそこに行こうね」
目洗い神社にとです、こうお話してでした。
先生は皆と一緒に今度はその神社に行きました、すると先生はその神社緑も豊かなその場所で言うのでした。
「ここは坂田三吉さんに縁があるんだ」
「ああ、あの将棋の」
「将棋の人だね」
「生まれてずっと大阪にいた」
「あの人だね」
「そうだよ、この人は一時目が悪くてね」
それでというのです。
「この神社にお参りしてね」
「目が治ったんだね」
「そうなんだね」
「それでその坂田さんもだね」
「織田作さんの作品に縁があるんだ」
「この人も織田作さんは書いていたんだ」
坂田三吉さんもというのです。
「聴雨って作品でね」
「ううん、大阪の将棋の人だから」
「それで織田作さんも書いたんだね」
「本当にそこは織田作さんだね」
「織田作さんならではだね」
「そうだね、織田作さんはね」
この人はというのです。
「まさに生粋の大阪人でね」
「それでだよね」
「大阪の人も書いていたから」
「坂田三吉さんも書いていて」
「それでなんだ」
「そうだよ、書いているんだ」
そうだというのです。
「そこにも織田作さんの大阪への愛情が出ているね」
「大阪の人達へのね」
「何ていうか心の底からの大阪人で」
「大阪が大好きだったから」
「大阪を書いていったんだね」
「だから坂田三吉さんもでね」
それでというのです。
「書かれていてその将棋もだよ」
「書いていたんだ」
「坂田三吉さんの将棋を」
「そうだったんだ」
「そうだよ、ただね」
こうも言う先生でした。
「その作品は坂田三吉さんが負けたんだ」
「そうした勝負だったんだ」
「それでその勝負を書いたんだ」
「それはまた意外ね」
「勝つ場面だって思っていたら」
「そう、けれどね」
それでもというのです。
「その時の手が伝説の手だったんだ」
「一体どんな手だったんですか?」
トミーはそのことを尋ねました、今皆で神社の中を歩いてその中を見て回っていますがその中でのことです。
「それで」
「九四の歩だったんだ」
「九四ですか」
「つまり香車の道だね」
「普通は最初は飛車や角行の道ですね」
トミーは将棋の知識から言いました。
「そうですよね」
「けれどそれをね」
「坂田三吉さんはですか」
「香車の道からだったんだ」
「それは凄いですね」
「そう、そしてね」
その手を打ってというのです。
「負けたんだ」
「そしてその勝負をですか」
「書いたんだ、その勝負を書いたのがね」
「織田作さんなんですね」
「そうなんだ」
こう言うのでした。
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