八条学園騒動記
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第六百五十一話 サウナの話その十四
「あの博士には困ったものよ」
「そうだよね」
「不思議と嫌われてないけれどね」
「僕達も嫌いじゃないし」
「妙に憎めないからね」
「一般市民に危害加えないからね」
カトリは博士が嫌われていない理由を述べた。
「だからよね」
「警官が攻撃してもスルーだしね」
「これからも街の治安を守れとか言ってね」
「バリアーで防ぐだけで」
「一切反撃しないで損害与えないからね」
「それで殺すのはならず者ばかりだから」
そうした世に害を為す者達のみだというのだ。
「だからね」
「憎まれてないんだよね」
「妙に筋が通ってるから」
「そうなのよね」
これがというのだ。
「あの博士は」
「名前の通り破天荒さんでね」
ジョンは博士の名前、天本破天荒というその名前から話した。尚この名前も二百億年前からのものである。
「無茶苦茶でね」
「法律とかルール完全に無視するけれど」
ジョルジュも言う。
「殺人も生体実験も大量破壊兵器の開発と製造も兵器」
「まさに歩く迷惑」
「無法そのものでも」
「殺すのは外道だけ」
「そんな人だからね」
「一般市民は絶対に巻き込まないから」
「それで嫌われてるかっていうと」
カトリもまた言った。
「そうじゃないのよね」
「これがね」
「妙に愛されてるところもあるし」
「専門のサイトもあるし」
「人気もあるね」
「そうなのよね、迷惑で危険で見たら逃げるけれど」
そうした相手だがというのだ。
「離れて見る分には面白いのよね」
「そして楽しい」
「そうした人だね」
「ええ、少なくともシャバキさんよりはね」
箸が転がっても人類滅亡と喚き散らすこの人物よりはというのだ。
「ずっといいわね」
「ああ、あの人ね」
「今も精神病院の地下深くに隔離されてるね」
二人も言われて彼のことを思い出した。
「それでもいつも電波を受信していて」
「始終人類滅亡を喚いているね」
「あの人はもう狂気だから」
その域に達しているというのだ。
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