マダム=ケレマン
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第三章
「今もね」
「昔はもっと酷かったですが」
「それも遥かに」
「今も尚言われていますね」
「二十一世紀になっても」
「困ったことよ、もっとね」
ケレマンは使い魔達にこうも言った。
「私のことも魔女のことも知って欲しいものよ」
「はい、誤解が多過ぎます」
「それも非常に」
「この事態は何とかしなければならないですね」
「これからも」
「私も努力するわ、それじゃあね」
話すだけ話して多少気が晴れて表情を明るくさせて述べた。
「今日の晩ご飯だけれど」
「何にされますか」
「今宵は」
「どうされますか」
「ジャガイモとトマトを豚肉と炒めて」
そうしてというのだ。
「玉蜀黍と南瓜でスープを作るわ」
「そうされますか」
「それではですね」
「これよりですね」
「作るわ、あと主食はパンよ」
こちらの話もした。
「それよ」
「わかりました、それでは」
「お手伝いさせて頂きます」
「そうさせて頂きます」
使い魔としてこう口々に言ってだった。
ケレマンは彼等の手伝いを受けて調理をした、そのうえで家族と彼等と共に食事を楽しんだのだが。
街に出て表の名前ではなくケレマンとして出ると。
「おいマダム=ケレマン名前知ってるぞ」
「早くお宝寄越せ」
「俺達今金ないんだよ」
「だからさっさと出せ」
「出す訳ないでしょうが」
ケレマンは自分に近寄ってきた不良達にだった。
魔女の箒で一撃を浴びせた、そうしてからこう言った。
「お菓子ならやるわよ」
「お菓子?ケーキなら貰ってやるよ」
「俺はビスケットだ」
「俺はアイスだ」
「ほら、食べなさい」
また不良達に一撃を浴びせた、そうしてからまた言った。
「お宝はないけれどね」
「話と違うじゃねえな」
「名前答えられないと食うんだろ」
「それで答えたらお宝じゃねえのか」
「それは噂よ、噂は噂よ」
それに過ぎないというのだ。
「事実は違うってこと覚えておきなさい」
「そうかよ、じゃあケーキ食うか」
「ビスケット食うか」
「アイスでもな」
「さっさと食べて何処かに行きなさい」
魔女は不良達にそれぞれ菓子を与えた、そのうえで彼等を追い払ってだった。
箒に乗って飛び去った、魔女は魔女だが噂と真実は違っていることをもっと世に知らしめようと思いながら。
マダム=ケレマン 完
2022・1・18
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