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バファロー

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第二章

「かなり強いな」
「運動性能が桁外れだ」
「航続距離も長い」
「速度もある」
「武装もいい」
「日本があそこまでの戦闘機を出して来るとは」
「こっちにはバファローがあるが」
 ずんぐりとした機体のそれを見て言うのだった。
「どうだろうな」
「勝てるか、バファローで」
「かなり危うくないか」
「折角開発して使っているが」
「どうだろうな」
 多くの者は零戦の性能を観て危ういと感じた、そして実際に。
 バファローでは勝負にならなかった、零戦の前に次々とだった。
 為す術もなく撃墜されていった、それで開戦してすぐに海軍上層部は決めた。
「バファローは駄目だ」
「使えたものじゃない」
「零戦相手では話にもならない」
「折角実用化したが駄目だな」
「無駄に撃墜されてパイロットを失うだけだ」
「やはりワイルドキャットを軸に使おう」
 グラマンF4Fワイルドキャットをというのだ。
「そうしていこう」
「バファローは前線から引き揚げる」
「もう使わない」
 こう話してだった。
 アメリカ海軍そして海兵隊では使われなくなった、そのまま記憶から消えてしまう程であった。だが。
 機体は売られていた、同盟国のイギリスだけでなく枢軸国のフィンランドでも空軍で使われていたが。
 ニルス=カタヤイネンは バファローに乗りソ連軍との戦闘を終えて帰投してから同僚達に笑って話した。
「いい戦闘機だよな」
「ああ、本当にな」
「こんないい戦闘機ないよな」
「俺達がこれまで乗っていたのなんてな」
「もうこんなのじゃなくてな」
「もっと性能悪かったのにな」
 それがとだ、同僚達も話した。
「それがな」
「こんないいのに乗れるなんてな」
「嘘みたいだな」
「アメリカさんもいい戦闘機送ってくれたよ」
「今は敵同士だけれど感謝しないとな」
「全くだな」
 こう話していた、そしてだった。
 ここでだ、同僚の一人がカタヤイネンに話した。
「アメリカさんじゃこの戦闘機もう使ってないらしいぜ」
「そうなのか?」
「ああ、何でも全く駄目だってな」
 カタヤイネンにこう話した。
「どうにもならないってな」
「それでか」
「もう使ってないらしいな」
「そうなんだな」
「こんないい戦闘機なのにな」
「おかしな話だな」
 カタヤイネンは首を捻って述べた。
「俺達なんかな」
「こんないい戦闘機ないって思ってるのにな」
「それがか」
「ああ、あっちじゃな」 
 アメリカではというのだ。
「そうらしいな」
「じゃあアメリカさんはもっといい戦闘機使ってるのか」
「そうなるな」
「どんなのなんだ」
 カタヤイネンはまた首を捻った。
「一体」
「さあな、しかし俺達にとってはな」
「そうだよな」
「こんないい戦闘機ないな」
「本当にそうだな」
 そのバファローを見て思うのだった。 
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