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おっちょこちょいのかよちゃん

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194 忘れていた恋人

 
前書き
《前回》
 急に現れたゴジラの襲撃を受けるかよ子達。次郎長の案で別れて攻める事になる。法印大五郎の法力や大野の草の石やかつて杉山の物だった雷の石の力、関東綱五郎の拳銃、のり子の人形の念力、そしてかよ子の剣の能力でゴジラを何とか撃破した。その直後にかよ子達に聞こえたのは戦争主義の世界の長・レーニンの声だった!! 

 
 かよ子は声の主が戦争を正義とする世界の長だと気付いた。
「レーニン!何の用なの!?」
[貴様達が和光晴生の出した映画の生物を倒した時には貴様らも強くなっているとこちらも実感した。まあ、奴の能力で少しは時間稼ぎと足止めになった事は間違いないか]
「和光晴生!?赤軍の人間か!」
 椎名は思い出した。
[流石は警察。赤軍の人間の名前を網羅している訳だな。だが、倒されたその分、目的地から遠ざかって貰おう]
 その時、倒した筈のゴジラが再生した。
「え?」
「ぐおおお!!」
 ゴジラが地面を叩く。凄まじい地響きが起きた。
「皆、羽根に戻れ!」
 次郎長が促し、全員羽根に戻った。ゴジラの尻尾が羽根を打ち飛ばす。
「あ、ああ〜!!」
 かよ子達は遠距離へと飛ばされた。

 和光は紂王の屋敷を出ていた。そこの屋敷の馬を借りて本部に戻る途中にあった。
(まさかあの藤木って奴があの『少女(ガキ)』と会っていたとはな・・・。しかも、見え張りやがって・・・)

 和光は紂王の屋敷で少年の夏休みの記憶に驚いていた。
「あれは、杯の持ち主のガキじゃねえか!」
 和光は東アジア反日武装戦線と同盟を組むために東京へ出向いていた時に杯の所持者を狙いに来た事があった。その時の少女が少年の夏休みの記憶では清水にいたのだった。
(そうか、だからあの時日高が行っても見つからずにあの高校生にギタギタにされたって訳だな・・・)
 少年の夏休みの記憶が続く。一緒に缶蹴り鬼を楽しんだ記憶、アイスを食べた記憶、そして夜に花火を楽しんだ記憶・・・。
『僕が命を懸けてりえちゃんを守ってみせるよ!』
「もういいか、外すよ」
 和光は少年の頭についている帽子を外した。
「お前、『あの子』にも鼻を伸ばしてたんだな」
「で、でも、その子は東京に住んでるし、それにもう会えないと思います・・・」
「いいや、嫁が欲しいんだろ?今すぐにでも会わせてやるよ」
「え?」
「その子に会わせてやるっつったんだ。楽しみにしてろよ」
 和光は道具を片付けて部屋を出た。そして紂王や妲己に挨拶する。
「あのガキにピッタリの嫁が見つかったよ。連れてきてやるから待ってろ」
「本当かね?」
「ああ、俺達にとっても都合のいい相手だからな」

 和光は先程の行為を振り返り終わると共にトランシーバーを取り出した。
「こちら和光。いま紂王の屋敷から出て帰る所」
『何かいい情報でもあったのか?』
「ああ、あのガキの記憶を探ってみたが、いい嫁が見つかった」
『そんな事はあの妲己や紂王に任せればいい話であろうが』
「まあ、待ってくださいって。これが以外と我々に関係のある良いネタなんだよ。あのガキは杯を持つガキと会った事があるんだ。そのガキを嫁にさせてやるって事よ。つまりだな」
 和光はしめたとニヤリと微笑む。
「杯を分捕る時にゃ持ち主のガキは殺さずに生け捕りにした方がいいって事だ。その方が面白え」
『杯の持ち主を、か?』
 その時、相手の声が変わった。
『やっぱり、藤木か?』
「はい?」
『失礼。取り込んだ少年が時たま出てくるのだ』
「そうか、ところで俺が出したゴジラが杖の持ち主達を足止めしているはずですが、上手く行ってますか?」
『今確認した所、怪物は倒されたが、私の力で一時的に復活させて目的地から遠ざけた。杖の奪取は失敗したがな』
「そうか、まあ、また何度でも出してやるよ」
『それより、貴様に与えた映写機なるものの作り具合は良いものらしいな』
「はい、山田義昭とあの雷の山を乗っ取ったお陰よ」
『なら、今私が取り込んでいる少年の記憶も見てみたいものだ』
「あいよ、今、そっちに戻らあ」

 少年は自身の記憶を振り返った。夏休みに会ったあの少女は東京に住んでいる。もう会えないと思っていたが、本当にあの人は連れて来てくれるのだろうか。
(もし会えるのなら・・・)
 少年は胸の鼓動が激しくなるのを感じた。その時、自分の部屋に誰かが入って来た。
「茂様、どうされましたか?」
 屋敷の遊び相手の女性が二名現れた。
「いや、何でもないよ・・・」
 少年は己の思考を読み取られまいと誤魔化した。
「悩みがあるのではないですか?あの男の人が来てから」
「それに誰をお嫁にしようか迷い続けてるって紂王様から聞きましたよ〜」
「う・・・」
 少年はもしかしたら早く決めて欲しくてウズウズしているのかと推測した。
「でも、大丈夫ですよ。たとえ私達を選ばなかったとしても私達はずっと茂様のお友達ですよ〜」
「私も茂様の幸せを祝福させていただきます!」
「ありがとう・・・」
 少年はホッとした。やはりこの世界は最高だ、と思うのであった。

 領土攻撃班の上市明日香と髙田あやはそこの住人、ラクシュミーと共に東側の領土の侵攻および奪還に動いていた。
「ここも我々の領土だった地。攻め込むぞ!」
「はい!」
 ところがそこの領土に住む者が攻撃にかかる。
「貴様らが来る事は解っていた。ここで死ね!」
 敵は何千人もいた。大量の矢が雨のように振りかざされた。上市の手袋で結界が張られて何とか防いだ。
「誰やねん、あれは!?」
「あれはロシアの革命を起こした民衆共だ!多勢に無勢すぎる!」
 しかし、だからといって逃げても勝ち目はない。
「ええい!」
 髙田が龍を召喚する。龍が火を噴くが、矢で火がかき消されるというありえない事態が起きた。
(逆転の余地はあるのか・・・!?)
 ラクシュミーにも不安が募る。高田の出した龍が民衆を噛み砕こうとする。数人を食殺した程度だった。その時だった。空から民衆に向けて球状の物体が幾つか降って来た。その物体は大きく爆発した。
「ワー!」
「キャー!!」
 三人は何事かと思った。別の集団が来ていた。
「そこの皆様、大丈夫でしたか?」
 西洋風の女性がいた。そして護符を持つ成人女性が一名、他に中学生の女子が一名、そして小学校高学年くらいの女子に小学生くらいの眼鏡の男子、中学生男子、そして戦国武将のような人物がいた。
「今のは私の護符で出した大砲によるものよ」
「貴女は、護符の所有者!?」
「手助けしたるぜ!」
 中学生男子がボールを蹴った。ボールは火花を散らして民衆を襲う。
「あの民衆達にもあの厄介な道具が提供されている。しかも数が多いからさらに厄介だ!」
 ラクシュミーが解説する。
「よし!ならばその機械を壊せばいいのね!」
 護符を持つ女性が護符を出す。
「羽柴さりさん、私も手助けします!」
「私もだ!」
 西洋風の女性が剣を空に向け、戦国武将のような男は槍を地に刺した。
「今よ、機械は壊せたはずだわ!」
「よし!皆の者、やるぞ!」
 中学生の女子がボールのような物を出して陰から民衆に黒い槍で攻撃した。そして眼鏡の男子も神通力などを使用して攻撃する。
「よし、後は私達の攻撃だ!」
 ラクシュミーの軍は剣で光線を放つ。上市の手袋からも青い炎が現れて民衆を薙ぎ払い、髙田の剣から出た竜も多くの民衆を食殺した。
「うわー!」
「ギャー!」
 民衆はやられた。そして倒された。
「やったか・・・」
 上市達は護符の所有者に礼を言う。
「あの、おおきに」
「いいよ、先に進みなよ。ここは私達がいるから」
「はい!」
「よし、行こうで!」
 領土攻撃班の者達は先に進んだ。
「こちら領土攻撃班、髙田あや!一つの街を取り返したで!」
 髙田は通信機で本部に連絡するのだった。

 さり達は奪還した街を見る。
「でもさっきの戦いで廃墟になっちゃったわね」
「大丈夫です。復興できますよ。貴女の護符の能力(ちから)でね」
「あ、うん」
 さりは護符を出した。破壊された建物が別の建物に変貌していく。
「す、凄い、これは・・・」
「ここは我々日本の者が住んでいた地区だった。そこにあの革命なる者を起こした者が侵攻してきたのだろうな」
「そうだったのね」
「ここの屋敷を借りて少し休むといいでしょう」
「ええ」
 さり達は街の屋敷を宿宿借りしながら平和主義の世界の領土を守護する事にした。 
 

 
後書き
次回は・・・
「飛ばされた場所で」
 ゴジラの攻撃でかよ子達藤木救出班は目的地から大いに遠ざけられてしまった。飛ばされた場所は何処(いずこ)か、イマヌエルとの連絡で確認する。一方、とある屋敷では一人の少年がある事を楽しみにしていた・・・・!!
 
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