ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第74話
前書き
銀河パトロールって囚人に舐められ過ぎじゃないか…?
取り敢えずモロを倒すまで臨時の銀河パトロール隊員となった3人。
しかし直後にマカレニ兄弟と言うのが強盗事件を起こしたらしく、現場に急行することになるが、メルスが積み荷のブルーオーラムと言う様々な機械の動力源となるエネルギー資源を奪還し、逃げた宇宙船を悟林が撃墜しつつもブルーオーラムを悟空に任せてマカレニ兄弟とやらを3人一緒に半殺しにした。
「お、おい…こいつら死んでないよな?」
「殺すのは駄目なんでしょ?ボコボコにする程度にしといたから安心して、これでもう悪さは出来ないよ」
「た、確かに悪さはもう出来ないだろうが…もう少し穏便に…」
「なーに言ってるの。そんなんだからこんな小悪党共に舐められるんでしょうが」
虫の息のマカレニ兄弟の状態を見たジャコはやはりサイヤ人は恐ろしいと再認識した。
「取り敢えず治療はしましょうか…」
放置していると死んでしまうのは明白なので治療を施すことになった。
そして治療後に檻に放り込まれるマカレニ兄弟。
「ち、畜生…何でこんな恐ろしい奴が銀河パトロールに…」
「恐ろしい奴とは失礼だねえ、お前達みたいな悪党でもちゃーんと殺さないであげたんだから…お礼の1つくらい言えないの?」
「何が礼だ!あんな真似、地獄の鬼でもしないよ!」
「そりゃそうでしょうとも(あの人達は地獄の管理をしてるだけで基本的に善良だからねえ)…まあ、次にふざけた真似をしたらこんな優しいお仕置きじゃ済まないからね」
眼力による気合砲でマカレニ兄弟の顔すれすれを狙うと恐怖に満ちた表情で悟林を見つめる。
「おい、あいつも捕まえた方が良くないか…?」
「彼女は協力者ですから…ですが、悟林さん。今後から力による制圧はモロのような凶悪犯以外には出来るだけ控えてもらえませんか?」
「ん?ああ、組織の掟みたいな感じ?銀河パトロールって大変だね、こんな悪党にも優しくしないといけないなんて…まあ、私もやり過ぎたかなって思ったから次から気を付けるよ。ごめんメルスさん」
メルスに言われて悟林もやり過ぎなのは自覚していたのか素直にメルスに謝罪した。
「おい、俺とメルス隊員との扱いの差は何だ?」
「人徳の差だろう」
ジャコの呟きにベジータが即答する。
まだ少ししかメルスのことを知らないが、色々と情けないジャコと誠実そうなメルスを比べること自体おかしい。
「ところで貴様、本当はもっとあっさり解決出来たんじゃないのか?力を隠しているな?俺の目は誤魔化せんぞ」
悟林が宇宙船を撃墜しなくても宇宙船が遠くへ飛べないように細工をしており、列車を先に止めたのは車掌達を救うため、どのタイミングで宇宙船に細工をしていたのかベジータですら分からなかった。
「まさか!宇宙船ごと捕まえたかったので多少泳がせたところはありますが力を隠しているわけでは…」
「本当はお前1人でもモロとか言う奴を捕まえることは出来るんじゃないのか?」
「とんでもない、確かに私は銀河パトロールではナンバーワンかもしれませんが、モロは次元が違います」
「ちっ…さらっと自慢を入れてきたな…」
「あいつの力には上限がないんです…」
「上限がない…つまり強くなるのに限界がないってこと?」
「…はい、ですから早い段階で捕らえないととんでもないことに…」
「あっ」
その時、この宇宙船に通知が来たので確認のためにメルスが操縦席の方に向かう。
「どこからの通知ですか?」
「通知?」
「別のとこからの連絡だと分かればいいよ」
通知についての簡単な説明をすると、パイロットが通知を読み上げる。
「偵察に出ていたクサヤ部隊がモロの居場所を掴んだようです!」
「それってどこなの?」
「KT40区間を航行中…思ったより遠くまでは行っていませんね…」
メルスが読み上げた場所だが、悟林と悟空には良く分からない場所だ。
「それってどっちなんだ?」
「方向的にはあっちだな」
ジャコがKT40区間の方向を指差すと、悟空が早速その方向を向いて瞬間移動をする時のように指を額に当てた。
「よし…ちょっと探ってみっか…」
「何をやってるんだ?」
気の探知能力を持たないジャコには悟空が何をしているのか分からないようだ。
「気の探知だよ」
「方向さえ分かれば気が掴めるかもしれんからな」
「………」
しかし、途中で悟空の顔色が変わる。
「どうしたのお父さん?」
「モロの気を見つけたのか?どれ…」
モロの気を感知したと気付いたベジータは早速自分もモロの気を探ろうとしたが悟空が止める。
「止めろベジータ!こっちが気を探っているのを向こうは気付いてる!」
「何っ!?どういうことだ!?」
悟空の探知時間からしてここからは相当に離れているので、向こうがこちらの探知に気付くことは普通なら有り得ない。
「良く分かんねえ…こんな感覚初めてだ…」
「そんなことが出来る奴がいるなんてね。お父さん、モロって奴はどんなだったの?気の大きさとか分かる?」
「気は大したことねえが、今まで感じたことのねえ恐ろしい気だ…とんでもない数の人間が…悲鳴を上げているような…」
「げげげ…何と恐ろしい表現をするんだ…」
悟空のモロの気の表現にジャコは顔を引き攣らせる。
「モロは星などの生命エネルギーを吸収してそれを自らの力に変えているんです。ですから奴のエナジーは殺された生命の集合体なのです」
「何だそれは…」
「桁違いに寿命が長いのもそのためなんです」
「どれだけの数がやられたの?」
「惑星単位なので…それはもう信じられないほどの数です」
星とそこに住む生命エネルギーを吸収し続けて1000万年もの時を生き続ける程の寿命を得た。
つまりこれから再び吸収することで寿命が更に延びてしまい、手がつけられなくなることだろう。
「…とんでもねえ奴だな…」
悟空もモロの危険性を知り、思わず呟いてしまう。
「…モロは一体どこに向かっているんだ?あの辺りに生命がいる星は何もないはず…何が目的なんだ?」
「…?何の生命がない星でも今のモロには足しになるからじゃないの?」
ジャコの疑問に悟林は少しでも足しにしたいから適当な星を狙っているのではないかと聞くのだが、メルスが否定する。
「いえ、モロがその気になれば僅かな時間でエネルギーを吸収出来ますからその可能性は低いでしょう…」
「…いや、オラ…あっちの方行ったことあんぞ」
「え?何時?お父さんが宇宙なんて行ったっけ?」
「確か…デンデを迎えに行った時だ」
「へ?神様?あ、もしかしてセルの時に!?ということは近くにナメック星があるの?」
つまりモロはナメック星人が移住した新ナメック星に向かっていると言うことなのだろう。
「ちょっと待て、ナメック星は爆発して消滅し、原住民も絶滅したのではないのか?」
どうやら銀河パトロールではナメック星人は星の爆発の際に絶滅したことになっていたようだ。
「いや、ナメック星のドラゴンボールで星が爆発する前に一時地球に避難させられていたんだ。」
ベジータの言うように嘗ての悟空とフリーザとの闘いで、2人を除いた者達は地球に移動されたのだ。
「でもよベジータ、あいつらは誰にもバレねえように住んでたはずなんだけどな…」
「ああ、ナメック星人は戦闘力が高い種族だが、宇宙では余程のことがない限りは気付かれん。フリーザ軍にもあの時まで察知されなかったようにな」
「…やはり、魔力が戻って生命のいる星の探知が可能になっているのかもしれませんね…しかし、ナメック星人が生きて居たとして…モロの目的は…」
「ナメック星人は何でも願いが叶う玉を持っているって話だぜ」
マカレニ兄弟のパスターの言葉に全員か振り返る。
「願いが叶う玉?ドラゴンボールのことか!?」
「ちょっとジャコさん!!」
余計なことを言うジャコを悟林が止めようとしてもジャコはそのままパスターに聞く。
「おい!何でお前がドラゴンボールのことを知っているんだ!?」
「前に俺が銀河刑務所にいた時…同じ囚人仲間に元フリーザ軍の脱走兵ってのがいてな。そいつから聞いたんだ。嘗てフリーザがその玉を探しにナメック星に行ったことがあった…ってな…」
「チッ…またフリーザ軍の生き残りか…余計なことを喋りやがって」
「俺は金にならねえ物には興味ねえし、そんな話信じちゃいなかったが…今のお前の反応から察するにどうやら本当だったみたいだな」
「しまった…!」
「馬鹿だねえ、ザコさん」
冷たい目でジャコを見る悟林。
何で相手に情報を与えるような真似をするのか。
「そいつはその玉を一緒に探してくれる腕の利く協力者を探してたからな…当然銀河刑務所で一番の力を持つモロにも話しただろうよ」
「むむむむ…何と言うことを…!」
「つまりナメック星のドラゴンボールがモロの狙いってことだね。それにしても何の願いを叶えるつもりだろうね」
「俺だったら真っ先に願うのは銀河パトロールをぶっ潰してくれ…だな」
「その程度の願いなら別に大したことないから除外だね。こんな小悪党にさえ舐められてるんだからあっても無くても変わらないよ…多分、力の回復辺りじゃないかな?昔はかなり強かったらしいし」
「おい!銀河パトロールは宇宙の平和を守っている重要な組織だぞ!!」
「その重要な組織様がこんな小悪党の更正すら満足に出来ないんだから、あっても無くても変わらないんじゃないの?自称エリートのザコさん?」
「だからジャコだ!!」
「はっはっはっ!間抜けな銀河パトロールにはお似合いの名前じゃないか」
「「はっはっはっ!!」」
「黙れ悪党!お前らなんか一生刑務所から出られないようにしてやるからな!!」
キレたジャコは八つ当たり気味にマカレニ兄弟の檻のシャッターを下ろした。
「とにかく、モロの狙いが何にせよ非常に不味いことになりました…」
「このままじゃ、ナメック星にモロ達が着いちゃうよ。」
「確かにな」
「ブウが起きるのを待ってる時間は無さそうだな」
このままではナメック星がモロによって酷いことになるのは確実だ。
「どっちみちオラの存在は向こうにバレてる…行くしかないな」
「お父さんの瞬間移動だね、先に行ってて。私はブウを起こしてから加勢しに行くよ」
「良いのか、貴様の活躍が無くなるぞ」
「良いよ、戻る前に2人にやられるならそれだけの奴だってことだし」
悟空とベジータが瞬間移動でナメック星に向かってしまった。
「行ってしまったな」
「何と言うことだ…!今モロに会ってしまうのは危険すぎる…!」
「危険?どう言うことなのメルスさん?お父さんとベジータさんならどうにでも出来そうな相手だよ?」
焦っているメルスに悟林が尋ねる。
正直悟空とベジータが最初から本気で闘えば難なく勝てる相手だ。
多少遊んでも簡単に覆せるような実力差ではない。
「悟林さん、モロの厄介な力は戦闘力の差だけで埋められる物ではありません。潜在パワーが突出しているあなたがここに残っていてくれて幸いです。一度本部に戻って魔人ブウさんを連れてきましょう」
「そんなに焦らなくても、どうやらベジータさんの気からしてゴッドになったようだし…」
「戻りながらお話します。モロの厄介な力を…モロには星のエネルギーを吸収する力があるのはお話しましたよね?」
「うん」
「モロはただ単に星や生命のエネルギーを吸収するだけでなく、残っている記録を見る限り…星全体から奪ったエネルギーをそのまま攻撃に利用することも出来たようなんです。それに星のエネルギー吸収に関しても闘いを介する必要がないのです…」
「…っ!そうか!モロの吸収には星だけじゃなくてそこに住む人や動物や植物のエネルギーも含まれる!つまり、攻撃を受けなくてもお父さん達は弱っていくんだね!?」
つまり悟空が使う元気玉の効果を無制限で使える怪物と言うことだ。
「はい、闘いながら相手のエネルギーを奪う…と言う闘い方が可能なんです。悟空さん達が今どのような戦闘をしているか分かりませんが…闘いを挑むにはあまりにも無知過ぎました…」
「………」
慌ててナメック星の方角の気を探知するとモロと闘っているベジータの気が急激に減っている。
悟空の気も同様に急激な減り方をしている。
「悟林さん、悟空さん達を見捨てるような形になってしまい、申し訳ありません」
悟空達と知り合いらしいナメック星人達を見捨てるような形になってしまったことにメルスは謝罪する。
「気にしないで、メルスさんの説明を良く聞かなかった私達に非があるんだから…それにもし、お父さん達やナメック星人の人達が死んでも最悪地球のドラゴンボールで復活させる。今はモロを倒すのが最優先…ブウがいれば何とかなるんでしょう?」
「恐らく」
地球のドラゴンボールを使うのはモロを倒してからだ。
モロが暴れている最中に復活させてもモロの餌になるだけなので懸命に堪える。
「ところで、メルスさん。私の潜在パワーってそんなにあるの?」
「ええ、少なくてもあなただけでモロの肉体が全快するくらいには…」
「なるほど…これはあまり私は前に出れないか…悔しいなぁ…!」
闘いたいのに闘えないと言うのは常に最前線で闘ってきた悟林にはとても辛い物であった。
取り敢えず悟林はメルス達と共に銀河パトロール本部に戻り、戻る途中でブウが目を覚ましたと通知が来ていた。
宇宙船から降りると他の隊員が迎えてくれた。
「お帰りなさいメルス隊員」
「ご苦労様でした」
「魔人ブウさんが目を覚ましたと聞きました。確かですか?」
「はい、つい先程起きたようです」
ブウが起きたことをメルスが確認するが、どうやら本当に起きているようだと安堵する。
「今はどちらに?」
「確か食堂にいると…」
「メルス隊員こちらです!今、魔人ブウさんが恐ろしい量の食事を…!」
「すぐに行きましょう」
ブウは食堂におり、慌ててやって来た隊員から恐ろしい量の食事を摂っていることを報せられる。
「メルスさん、ブウはサイヤ人並みに食べるからたくさん用意した方が良いよ」
「そうですか、ありがとうございます。イリコ隊員、何時でもナメック星に出発出来るように宇宙船の整備をお願いします」
「了解!」
メルスがブウの元に向かい、今まで宇宙船のパイロットを務めていたイリコは早速宇宙船の整備の準備に向かう。
「おい、お前ら!船内にマカレニ兄弟が収監されてる。運び出して銀河刑務所に送り届けといてくれ」
「何だジャコ、見ないと思ったらメルス隊員と一緒だったのか」
「さっきお前宛に連絡が入っていたぞ」
「ん?連絡?ママかな?俺が送ったバースデーカードが届いたのかも」
自分宛の連絡先が分からないジャコは取り敢えず可能性が高い自分の母親かと思っていた。
「いや、ママではない。確か地球の…タイツって女からだ」
「タイツ?」
「その人って確かブルマさんのお姉さん…だよね…」
「ああ、嫌な予感がするぞ…」
「私が代わろうか?」
「すまん、頼む…ブルマと関わるとろくなことがない…」
「まあ、そうだね。あの人って私達と比べて貧弱なのに好奇心で厄介事に関わろうとするとこがあるからね…2人の母親になったのに何時まで若い気でいるんだろ…はあ、憂鬱だ…」
フリーザが最初に地球に襲来しようとした時と言い、人造人間の時と言い、危険な場所に好奇心で首を突っ込むところがあるのだ。
母親になってしばらくして落ち着いたかと思ったら復活したフリーザの襲来にまで首を突っ込むのだから死んでも治らない性格なのだろう。
「…なるほど、お前もブルマに苦労させられたクチか…」
「まあね」
「…出発前にミルク飲まないか?あいつへの愚痴とチーズを肴に」
「ミルクとチーズ?まあ、嫌いじゃないから良いけど…そうだねジャコさん」
ブルマに苦労させられた者同士、何となくだが気持ちが通じ合った気がする。
後書き
闘いたくても闘えない状況は最前線で闘い抜いた悟林にはとても厳しい物があると思います。
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