ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第72話
前書き
身勝手も我儘も相手に依存する技って点ではある意味同じだよなぁ…
身勝手の極意“兆”の状態となった悟空はジレンに向かっていく。
先程よりも最適化された動きでジレンとの距離を詰め、ジレンが繰り出した拳を屈んで避けると反撃の拳を繰り出すが、それよりも速くジレンの拳が直撃した。
しかし、直撃寸前に急所を逸らして気を集中することで防御には成功しており、多少ふらついた程度で再び突撃する。
「チッ!」
ジレンのラッシュを最小限の動きでかわし、回し蹴りも左腕で受け止める。
「凄い、あれが身勝手の極意なの!?防御が速すぎるよ」
「動きが不気味な程に最適化されているな、攻撃を受けても急所を逸らしつつ気を集中することでダメージを受けていない…」
悟林が悟空のあまりにも速すぎる防御に感嘆し、セルが今の悟空の異常な動きを冷静に分析する。
「身勝手の極意の精度がどんどん増している証拠ですね」
ウイスも悟空の身勝手の極意が“兆”を脱しようとしていることに気付いている。
「だが、ジレンは我儘の極意や100倍の界王拳でも倒せなかった相手だ。身勝手の極意でも倒せる保証はないぞ」
しかし、実際にジレンと闘ったベジータはジレンの底の知れない強さに不安を抱く。
「後はもうお父さんに任せるしかないよ。ジレンと闘えるのはお父さんだけなんだから」
第7宇宙のメンバーは悟空、悟飯、フリーザ、17号の4人が残っているが、この中でジレンと闘えるのが悟空しかいない。
残りの3人には悪いが、悟空が負ければ第7宇宙の敗北は確定となる。
「私ももっと早く100倍に挑戦してれば良かったよ」
「今更言っても仕方ないだろう。俺の我儘の極意もまだまだだ…頭に来るが、後はカカロットに任せるしかない」
後悔しても既に自分達は失格となってしまったので後は悟空を信じるしかない。
ジレンの猛攻をかわし続ける悟空。
「そうやって何時までも攻撃を避け続けるつもりか?逃げ回っている限りお前が勝つ可能性は未だ1%もないのだぞ」
「随分と口数が多いじゃねえかジレン。おめえらしくねえ」
即座にジレンの気合砲が放たれるが、それも悟空は笑みを浮かべたままかわした。
「…何時までそうやって涼しい顔をしているつもりだ」
「さあな…別に余裕ぶってる訳じゃねえさ。ただ今のオラには余計な感情は必要ねえってだけだ。」
連続で放たれる気合砲を避けながら身勝手の極意には余計な感情が不要なのだと気付いたのだ。
「…余計な感情?」
「ああ、今のオラの心は…パオズ山の清流みたいに穏やかだ。さっきまでのオラじゃなれねえわけだな。気付かねえうちに焦っていたオラじゃあ」
「はああああっ!!むんっ!!」
ジレンの気が更に膨れ上がるが、その圧力をまともに受けても悟空は全く動かない。
それは今の悟空の精神状態を現すかのようだ。
そしてジレンが勢いをつけて殴りかかるが、ジレンの圧倒的な気が刺激となったのか悟空の髪の色が銀色に変化した。
悟空はジレンすら対応出来ない動きで拳を腹に叩き込む。
「ごおっ…!!」
攻撃直後のほんの僅かな隙を突かれたジレンは血反吐を吐く。
「この気は…ウイスさんに似てる」
ベジータの我儘の極意が破壊神なら、悟空の今の気は天使であるウイスに酷似していた。
「ご…悟空の髪が銀髪!?」
神の気を感じ取れないクリリンは悟空の髪の色が変化したのは気付いたが、肝心の状態が分からない。
「ウイス、あれがそうなんだな」
「はい、間違いありません」
「だよな…神なら誰が見ても明らかだ」
「なるほど、あれが俺では極められない身勝手の極意の完成形と言うわけか」
「はい、あれが正真正銘…身勝手の極意です」
初めて大きなダメージを受けたジレンが地面に膝を着いた。
「ジレンが初めて膝を着いたか…恐らく奴は今度こそフルパワーで来るな」
セルが分析したようにジレンの気が更に膨れ上がって悟空に悟林達ですら目視が出来ない程のラッシュを繰り出す。
悟空は黙々とジレンの攻撃を捌いていく。
「これは凄いね…!あまりの激しさに武舞台全体が揺れてる…!」
しかし、ジレンの猛攻は長くは続かない。
ジレンの隙を突いた攻撃が吸い込まれるように決まり、腹に蹴りを叩き込んで悶絶させた直後に回し蹴りを叩き込んで吹き飛ばす。
クリリンは悟空がジレンに優勢となっていることに驚く。
あれだけ圧倒的だったジレンに対してだ。
「悟空が押してる…悟空が押してるぞ!!」
次の瞬間、ジレンの気功波が放たれたが、悟空はそれをかわし、射線上にいた悟飯もギリギリでかわした。
観客席も吹き飛ばされ、もう少しでピッコロ達に直撃するところであったが。
悟空はジレンの真上を取ってかめはめ波を直撃させた。
武舞台に穴ができ、ジレンの姿がないことから落ちたのではないかと思ったが、ジレンはまだ武舞台から落ちておらず脱落となっていない。
「相手の隙を突く攻撃など…真の強さではない!!」
武舞台に戻ってきたジレンは更に気を高めて先程よりも激しい連続攻撃をしてくる。
しかし、悟空はそれを防ぎつつカウンターを決めるが、ジレンはそれに耐えて再び攻撃を仕掛けてくる。
「これはちょっとまずいかもね」
「え!?何でだ悟林ちゃん!?」
「ええ、悟林さんの言う通り簡単には行きそうもないですね。やはりジレンの底力は計り知れません。カウンターも覚悟の上でスピードを更に上げてきました。」
「身勝手の極意は勝手に体が動くせいで自分の限界を超えて体を動かしてしまう。こうなると体に負担になる一方だ」
ベジータの言う通り、ジレンの猛攻を捌いていく度に今まで動かなかった悟空の表情に険しさが浮かんでくる。
「身勝手の極意を完成させたとは言え…それを使いこなすにはまだまだ修行不足でしたね」
体力も肉体の強度も、身勝手の精度もまだまだ修行不足だったと言うことだろう。
悟空は何度も攻撃を捌いてジレンに反撃するが、ジレンは手を緩めることなく反撃していく。
「こうなるともう持久戦だね、お父さんの身勝手が解けるのが先か、それともジレンの体力が尽きるのかが先か…厳しいね」
そして2人のスピードが更に上がってクリリン達は勿論、悟林やベジータ、セルでさえも目視が困難となった。
「あ、まずい」
ウイスの言葉通り、悟空は弾き飛ばされて悟飯に受け止められる。
悟空の身勝手の極意が解けてしまった。
「大丈夫ですか父さん!?」
「あ、ああ…すまねえ、どうやらオラも修行が足りなかったみてえだな」
「俺は正義に…師匠に全てを捧げた。負けなどは許されない、師匠が目指した完璧な正義に俺はなる」
「完璧な正義…?どういう意味です?今は違うと言うことですか?」
「もう間もなくなる。俺が勝利するからだ」
「…それがあなたの願いなんですか?」
悟飯はそれが超ドラゴンボールで叶えたい願いなのかと尋ねる。
「…違う。俺の願いは魔物に殺されてしまった我が師匠、ギッチン様の復活だ」
「…師匠を…あなたもかつて師匠を殺されたんですか?」
「…これ以上喋るつもりはない」
「…そうですか、でも僕達も負けるわけにはいきません。父さん、頼りになるか分かりませんが僕も一緒に闘います!」
潜在能力を解放した悟飯に悟空も頷いた。
「ああ、ジレンも相当疲れてるはずだ!行くぞ悟飯!!」
悟空も残った力を振り絞り、悟飯と共に突撃する。
「「だあああああっ!!」」
悟空と悟飯は即席ながら抜群のコンビネーションでジレンと互角に打ち合う。
身勝手の極意との打ち合いで疲弊したジレンは戦闘力で大きく劣る悟飯の攻撃でもダメージを受ける程に弱っていた。
「よ、よし!良いぞ!こっちの悟空の息子!!」
「頑張れー!お父さん!兄ちゃーんっ!!」
「何だ…やれば出来るじゃない悟飯」
「元々潜在能力はあるんだ。サボリ癖や平和ボケさえしなけりゃあ俺達を容易く追い抜ける程にな」
「ふん、少しはかつての気迫を取り戻したらしいな」
観客席にいる面子が悟飯の奮闘に笑みを浮かべる。
そして2人の拳がジレンの顔面に直撃して吹き飛ばす。
「何だよ悟飯、勘をようやく取り戻したくれえかなと思ってたけど全然強えじゃねえか!!」
「父さんや姉さん、ベジータさん、フリーザとセルが弱らせてくれたおかげですよ。このまま一気にジレンを落としましょう!!」
悟飯の攻撃が通用するのは身勝手の極意の悟空と100倍究極界王拳の悟林、我儘の極意“兆”のベジータ、そしてフリーザとセルの金縛りなど、ジレンの体力を消耗させてくれた面が大きい。
「よし!久しぶりにいっちょやるか悟飯!!」
「はい!」
悟空は悟飯と組んで闘うのは久しぶりのような気がした。
ブウとの闘いの時も一緒に闘ったが、援護が精々だったのでこう言う風に隣で一緒に闘うのはベジータが初めて地球に来た時以来だろう。
悟空と悟飯の親子のコンビネーションにジレンは受け身に転じる。
しかし、ジレンも簡単には負けない。
悟飯の蹴りと悟空の拳を受け止めると気合で2人を吹き飛ばした。
「何人で掛かってこようが、俺の力を超えることは有り得ない!!はああああっ!!」
更に気を高めるジレンに悟空も悟飯も驚く。
「こいつ…まだこんな力を…!」
「どんなに体力を削ってもまだ力を出せるなんて…」
「俺に限界など存在しない」
気を高め続けるジレンに悟空と悟飯はかめはめ波の体勢を取る。
「行くぞ悟飯!今のおめえの持てる力を出し切れ!!」
「はい!!」
「「かー…めー…はー…めー…波ぁーーーーっ!!!」」
ジレンに向かって放たれた親子かめはめ波。
迫る気功波に対してジレンは無言で飛び込み、爆煙に武舞台が包まれるが、煙が晴れるとまだ余力を残したジレンが悟飯に手を翳していた。
「そ、そんな…!」
ジレンが至近距離で気弾を悟飯に当て、場外へ吹き飛ばす。
「悟飯ーーーーっ!!」
場外に落とされ、観客席に移された悟飯。
「すみません…」
「ふん、お前にしては良くやった。褒めてやる、悟空の息子」
謝罪する悟飯に対してビルスは責めることはなかった。
悟飯の戦闘力を考えれば寧ろあれは大健闘と言えるからだ。
悟空は何とかジレンに反撃しようと殴りかかるが、ジレンに掴み取られ、力比べとなるが、体力を先程のかめはめ波に注ぎ込んでしまった悟空は力が出ない。
後少しで落とされそうになった時、ジレンの背後の破片に立っているフリーザがジレンに放つための気弾を作り出していた。
「孫悟空さん、そのままジレンを捕まえておいて下さいよ!!」
フリーザの考えを察した悟空がジレンを羽交い締めにする。
「き…貴様…!」
「良いぞフリーザ!やれー!!」
「孫悟空さん!孫悟林さん!勝ったら私とセルさんを生き返らせると言う願い…叶えてもらいますよ!」
「いくらでも叶えたげるから行けぇーーーーっ!!!」
「きえええええ!!!」
ジレンに向かって特大の気弾が放たれるが、ジレンは悟空に羽交い締めされながらも受け止める。
「えっ」
「ぬあああ!!」
気弾が武舞台を削るが、ジレンは気合を入れて気弾を上空に打ち上げた。
しかし、フリーザはそれすら読んでおり、ゴールデンフリーザに変身するとジレンに突撃して悟空とジレンを自分も含めて場外に。
悟空は慌てて武舞台を見ると浮かんでいる破片に立っている17号を発見した。
「や、やったぞ!勝った!!」
「ステージに残るのが人造人間なのが気に入りませんでしたがね。まあ、私は無闇に闘うだけのあなた達とは違うんですよ」
17号が残ったことで第7宇宙が勝利し、第11宇宙が消滅した。
そして超ドラゴンボールで17号が叶えた願いは意外にも消滅した宇宙の復活であり、そしてフリーザはファインプレーをしたことと、ついでに参加報酬としてセルと共にウイスの力で生き返った。
悟林は地球に戻ると早速ドラゴンボールを集めて18号に倍の4億ゼニー、17号には50億のクルーザーと16号専用のメンテナンス施設。
フリーザとセルが復活してしまって余った願いはベジータとブルマの娘であるブラに宇宙一のベビーベッドを与えることにした。
そして生き返ったフリーザとセルはフリーザ軍へと合流するのであった。
一方、平和になった地球で相変わらず修行をしていた悟空達。
「そう言えばお父さんは身勝手の極意はどうしたの?」
「あれから全然なれねえんだよ。ベジータのおっかねえ顔になる奴と同じだ」
「我儘の極意だ馬鹿が!今度は俺が先に技を極めてやる!」
「同感、100倍の界王拳も力不足のようだし基本パワーを上げてもっともっと強くならないと!100倍を超えてやるぞーーーーっ!!!」
「「負けるかーーーっ!!」」
誰もいない無人の荒野で3人の雄叫びが響き渡るのであった。
後書き
100倍界王拳を目指すと言いましたが…正直足りない気がしてきた。
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