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モンスターハンター 寒冷群島の紅き鬼狩り

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第三話 毒妖鳥を求めて

彼女の推しモンスター「プケプケ」を勝手に狩猟してしまったドラコ。せめて一体倒したいというフィオドーラの我儘という依頼を受け、水没林に行くことに。

「あれ、なんでこうなったんだっけ.....」

ドラコは、拠点のワーニェ村に戻るはずが、なぜか水没林に来ていた。

「よ~し!プケプケに遭いに行きましょ~!」

「おー」

同行者であるヒルバーボウIを持ち、プケプケシリーズを身にまとった小柄な少女が天真爛漫な笑顔を向けていた。

彼女の名前はフィオドーラ。北方の貴族令嬢だった彼女は、毒妖鳥プケプケの持つ独特な愛嬌に魅入られて以来、装備のすべてをプケプケ系統で揃えるという愛着ぶりを発揮していた。

同期の間でも「プケプケ」はある意味NGワードで、一言でも発すればフィオドーラがすっ飛んできてプケプケの魅力について延々と語られる」とされていた。

なおドラコも被害者の一人であり、ヤツマに厳しい一言を放ったディノと争いになったときにフィオドーラが駆り出され、二人まとめてプケプケトークの餌食になったという。

後に「喧嘩両成敗」ならぬ「喧嘩両プケプケ」なる言葉が訓練所で流行ることになったとかなってないとか。



そしてなぜこのフィオドーラと水没林に来ることになったのか。それは、百竜夜行から砦を守り抜いて宴を行った後、解散した時に。

「さて、俺も帰りますか。村長やイヴ(受付嬢)も待ってるだろうし」

お土産を持って帰ろうとしたドラコの前にフィオドーラが立ちはだかった。

「待ってください!!」

「どうしたフィオドーラ...」


「責任、取ってください!」

「!?」

突然言われたことに驚くドラコにフィオドーラはさらに続ける。

「わたし、ウツシさんから『プケプケ来るよ』って手紙が来たから、わざわざ新大陸からここまで来たんです!それなのにドラコさんたちが狩ったせいでプケプケに会えなかったじゃないですか!」

頬を膨らませ怒っているフィオドーラ。彼女を怒らせた原因はただ一つ、『プケプケに会えなかった』からである。その怒りは現れたジンオウガにぶつけたのだが、まだ怒りは収まっていない様子だ。


「ごめんて...プケプケ素材渡したじゃん...」

「そーいう問題じゃありません!ドラコさん、プケプケ狩りに行きましょう!せめて1プケは狩らないと帰れません!」

「なあ、あんときはゴウとカエデもいたぜ?アイツらには声かけなかったのかよ」

「ゴウさんとカエデさんは誘おうとする前に帰られました...」

あの二人は宴の席でもあまり機嫌のよろしくなかったフィオドーラを見ていろいろ察したようだ。

肉と団子に夢中だったドラコは気づいていなかったらしい。

「しゃーねえ、少し付き合ってやるか」



・・・

水没林を探索している二人。ドラコは途中で環境生物エンエンクを拾った。

そしてようやくプケプケを見つけたのだが...

「そんな...」

「なんてこった...」

2人が目にしたのは...。なんとプケプケを完膚なきまでに叩きのめしている牙獣種のモンスターだった。

「ひどいです...!プケプケが...」

飛び出そうとするフィオドーラの腕をつかみ、それ以上行かないようにさせるドラコ。

「なにするんですかぁドラコさん!」

「ダメだ。アイツは金獅子ラージャン...俺達新人が勝てる相手じゃねえ」

そのモンスターは大型のサルのような姿で、頭には大きな二本角が生えている。しかも背中が金色になっていた。獅子のようなたてがみも持っている。ラージャンが「金獅子」と呼ばれる所以である。


「ドラコさんはゴシャハギに勝てるのでしょう?ラージャンにも勝てるはずですよ!」

「バカ言うな...俺が倒してるのは下位個体...上位にはまだ上がってねえ。それにラージャンはそんじょそこらのモンスターとは格が違う...。ゴシャハギの数倍は強いぞアイツは。下手したら二人とも殺されちまう。プケプケはあきらめよう」

「うう...わかりました...」

その時、ラージャンが二人に気づいてしまった。

「不味いな...フィオドーラ、お前だけでも逃げろ。そしてギルドに報告するんだ」

「ええ!?ドラコさんは?」

「俺はあいつをできるだけキャンプから遠ざける。このエンエンクを使ってな。大丈夫、戦わねえよ。」



そして二人は一旦別れ、ドラコはラージャンの前にわざと躍り出てエンエンクのフェロモンを付与した。


「ガアアアア...!!!」

「さあ、俺についてきな!」

ガルクに乗りラージャンを誘導しながら逃げていく。




だいぶ引きはがせたと感じたドラコだったが、後ろを向いた後に前を向くと何と目の前にラージャンが!


「うわ!?」

「ガアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!!」

ラージャンは極太の「気光ブレス」を放ってきた。

「ぐわあああ!?」

「きゃうん!?」

なすすべなく吹き飛ばされるドラコとガルク。そんな一人と一匹にとどめを刺すべくラージャンが迫る。

何とか立ち上がり、記念すべき10体目のゴシャハギの素材で作ったチャージアックス「ゴシャガシャ」の盾を構え防御の姿勢をとるが、一撃で破壊されてしまった。


(同期の中で最初の殉職者になるのか...俺は....くそ、ディノより先に死ぬなんてな)

ドラコは内心あきらめかけていた。その時。



「やめなさーいっ!」

プケプケに乗ったフィオドーラが駆けつけてきた。驚くラージャンに舌攻撃を食らわせた。


「フィオドーラ!?」

「ギルドに連絡は済ませてきました!でもドラコさんを見捨てるわけにはいきません!」

「フィオドーラ.....」

「さあ、プケプケの背中に乗って!行きますよっ!」

プケプケを操りラージャンにぶつけて二体の動きを封じた隙に逃走、ラージャンの追跡を何とか免れ、2人はキャンプ前に辿り着いた。




「ありがとな、フィオドーラ」

「いいえ...もともと私の我儘でしたし...付き合ってくれてありがとうございました」

2人はギルドの調査団を待つことにした。

「見事なプケプケ捌きだったなぁ」


「ふへへ....プケプケに乗っちゃったぁ~♪」

「なんか凄い顔になってんぞ!?」

「にへへ...プケプケぇ~♪」


そして調査団に事情を説明し、二人はカムラの里へ。ゴコクにも報告する。


「報告感謝するでゲコ。あとはこちらで調査を進めるゲコ」

「まさかラージャンに遭遇するなんて思わなかったす」

「百竜夜行の影響は少なからず出ているかもしれないでゲコな」

「ですね」

「おかげでプケプケに乗れたので結果オーライです!」

最後まで変わらずプケプケ愛を貫くフィオドーラであった。


フィオドーラと別れ帰路につくドラコ。ふと、自分の装備を眺めた。ひどくボロボロである。

「...装備がボロボロになっちまったなぁ...村に戻ったら新調するかー....」


ワーニェ村にたどり着いた。ドラコの拠点にして故郷である。

「ドラコ、帰ったか」

「お帰りなさい、ドラコくん」


村長と受付嬢であるイヴがドラコを出迎えた。

「ただいま!!」



 
 

 
後書き
百竜夜行から数ヶ月後、ドラコは
かつて試験の時に組んだ仲間と共に連続狩猟に挑む。
ドラコ達の前には、彼等に因縁のあるモンスターたちが立ちはだかる

次回 モンスターハンター ~寒冷群島の紅い鬼狩り~
『第四話 久しぶりのパーティー 前編』 
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