ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第67話
前書き
フリーザ&セル
18号と17号との交渉を終えた悟林は悟空と合流した。
「お、悟林。18号と17号は?」
「お父さんこそ、フリーザとセルは?」
「閻魔のおっちゃんに頼んで会わせてもらえるようにして貰ったぞ!オラがフリーザの相手をすっからおめえはセルを頼む」
「分かった」
瞬間移動で閻魔大王の元に移動し、悟空はフリーザ、悟林はセルの元に向かう。
フリーザの地獄ではギニュー特戦隊がフリーザのために妖精達も含めた花弁舞う奇跡のアルティメットファイティングポーズを編み出しており、それを見せつけられて怒りが爆発寸前のフリーザがミノムシのように吊るされていた。
因みに奇跡のアルティメットファイティングポーズの完成度と美しさは凄まじく、センスが同類の悟飯が見れば感嘆と感動のあまりに腰を抜かす程のレベルである。
「よう、フリーザ」
「き、貴様は孫悟空!?フリーザ様に何の用だ!!」
ギニューがフリーザを守るように立ちはだかるが、悟空は構わず小型の気円斬でフリーザを木から降ろした。
「おめえに用があって来たんだ。地獄って言うからどんなところかと思って来てみたら…随分と楽しそうなとこじゃねえか」
「私には…これ以上の地獄はありません…ところで用とは何でしょう」
「…24時間だけだが…ここから出たくねえか?」
「……何か企んでいますね」
悟空とフリーザの交渉が始まり、そしてセルの地獄ではセルは何もない無の空間を漂っていた。
「ひゃあーここ何もないね。正に地獄って感じ。でも退屈が嫌いそうなセルには最悪の場所だね」
「これはこれは…懐かしい声だ…何の用だ孫悟林?」
「久しぶりだねえ、セル。交渉をしに来たよ」
「ほう…」
悟林の言葉にセルは笑みを浮かべ、悟林は地獄に来た理由である全宇宙格闘試合についてセルに話した。
「全宇宙の強者が集まる“力の大会”…なるほど、興味深いな…」
「でしょ?お前の中にあるサイヤ人の細胞が反応してるんじゃない?こんな所にいて退屈でしょ?派手に暴れられるチャンスだよ?まあ、大会中は殺しは厳禁だけど」
「なるほど、殺しを禁止したセルゲームのバトルロイヤル版と言ったところか、厄介さに磨きがかかったな孫悟林。この私の弱い所を的確に突いてくる」
「まあ、私もサイヤ人だからね…何ならセル…ドラゴンボールで復活させてやっても構わないよ?何をしたか知らないけど…潜在パワーが生前とは比べ物にならないくらいに強くなっている……気になるね」
「ふん、私はどこぞの誰かのように動きは封じられていないのでね。力は奪われたがこの何もない空間の中でトレーニングを重ね、そして私の中の細胞の秘められた力を少しずつ引き出していったのだ。それによって…はあああああっ!!」
フルパワーを発揮したセルはかつてブウと闘った時の潜在能力を解放した時の悟林と同レベルかそれ以上にまで跳ね上がった。
「へえ、こいつは予想以上だ…」
後はきっかけさえあれば神のレベルにまで至るのではないかと思えるほどにセルのレベルは高まっていたのだ。
「どうだ…これがより完璧となった私だ」
「やっぱりただ者じゃないね、こんな何もない場所でここまで強くなるなんて…でもね…闘いのレベルはそんなもんじゃないよ!!はあああああっ!!」
超サイヤ人ゴッドに変身した悟林の気にセルは目を見開いた。
「その気は…!」
「神の気を感じられるのなら大したもんだよ。これが超サイヤ人ゴッド、戦闘力を神の次元にまで引き上げる変身さ。闘いのレベルはここまで発展してるの」
「…なるほど、どうやら闘いのレベルは私の想像以上に進んでいたようだ…面白い…ならば、その力の大会とやらに参加してより私を進化させるとしよう。私がその気になれば貴様をすぐに追い越してみせる。」
「そうこなくちゃ、それじゃあ時間が来たら迎えに来るよ…パワーアップしたお前と闘うのを楽しみにしているから…あの時の借りを返せるしね」
戦闘民族特有の狂気を纏いながら悟林はセルのいるエリアから出てフリーザと交渉をしていた悟空と合流すると、悟空がボロボロになっていた。
「フリーザとの交渉手間取ったようだね」
「ああ、あいつ木に吊るされていたのにまたパワーを上げてやがった。優勝したらフリーザを生き返らせる条件だけどよ、おめえはどうだ?」
「交渉成立、フリーザと一緒にドラゴンボールで生き返らせてあげる。戻ろう、フリーザとセルは後で迎えに行くとしてね」
「おう、早く帰ろう。それにしてもフリーザとセルと一緒に闘うことになるとは正直思わなかったなー」
「今更だね、ベジータさんやブウとか最初は絶対に仲良くなれそうになかったじゃない。それがフリーザやセルになったってだけだよ」
今でこそ仲間ではあるが、初対面の時は絶対に仲間になるとは思えなかった程に極悪人だったのだから確かに悟林の言う通り今更ではある。
「まあ、そうだな」
瞬間移動で現世に戻ると最後のメンバーであるピッコロのスカウトに向かう。
「悟天にはトランクス君から連絡行くだろうし…後はピッコロさんだね」
「ああ、これで10人だな」
ピッコロの気を頼りに向かうとそこにはピッコロと悟飯がいた。
「いたよ、ピッコロさん…と悟飯、何してんの?」
「あ、姉さん!それに父さんも!どうしたんですか!?」
「えーっと、そのな…」
「実は…」
全宇宙格闘試合のこと説明するとピッコロと悟飯も愕然となった。
負けた宇宙は消滅してしまうのだから仕方ないだろうが。
「それでメンバーどうなっている?」
「集まったよ私とお父さん、ベジータさん、ピッコロさん、ゴテンクス君、17号さん、18号さん、ブウ、フリーザ、セルの10人だよ。これが第7宇宙のベストメンバー」
「悟林…聞き間違いか?今、メンバーにフリーザとセルの名前があったが」
「聞き間違えじゃないよ、フリーザとセルもメンバーに入ってるんだ。」
「何だと!?お前は正気か!?」
フリーザとセルをメンバーに入れると言うことに愕然となったピッコロは弟子の正気を疑う。
「正気だよ、復活させる条件付きだけどね。フリーザとセルの力は確実に必要になる。フリーザは当然としてセルも予想以上にパワーアップしていた。ブウと闘った時の私以上のパワーだった。」
全宇宙格闘試合の間にセルがどれだけ進化するのか悟林には興味があった。
「姉さん!セルではなく僕を入れて下さい!!僕はあの日から修行して鍛え直したんです!今の…今の僕なら…!」
「駄目だよ悟飯。これは遊びじゃないの、もうメンバーは決まってるから家に帰りなさい」
悟飯にとってセルは姉を殺した存在であり、セルが復活するかもしれないと考えると認められるはずがなく、自分をメンバーに入れて欲しいと頼むが、既に悟飯を戦力として見ていない悟林からは却下されてしまう。
「そんな、どうして僕のことを信じてくれないんですか!?僕よりセルの方が信用出来るって言うんですか!?」
「ねえ、悟飯。お前は私に信じろって言うけど…私はお前の何を信じれば良いの?」
「え?」
悟飯の反応に悟林は深い溜め息を吐いた。
「悟飯。私はブウとの闘いの時にお前に任せて大丈夫なのか心配だったけど、老界王神様の力でパワーアップしたから大丈夫だって思って私なりに信用してお前を見送った。でもお前は力に慢心してブウを逃がしただけじゃなくてゴテンクス君やピッコロさんを吸収された挙げ句に負けた。そして私が駆け付けた時にはブウにあっさりと吸収されて見事なまでに足を引っ張ってくれたよね?もし私が現世に戻らなかったらどうするつもりだったの悟飯?お前の慢心で第7宇宙終わってたかもしれないんだよ?」
多分ブウなら界王神界にも行けただろうからビルスが目覚めていない場合は界王神は殺されて第7宇宙限定とは言え未来世界のブラックの時より悲惨なことになっていた可能性がある。
「そ、それは…」
「悟飯、闘いの時に一番困るのはね、半端な気持ちで闘う奴なの。悟飯はどこか自分が死ぬはずないって思っているところがある。分かりやすく言えば危機感がない…危機感のない半端者がいると迷惑だし、信用されたいならこれからの行動で示しなさい。尤も並行世界とは言えあの2人を失ってようやく危機感を覚える奴だからどこまで期待出来るか分からないけど、さあピッコロさん。早く行くよ」
「う、うむ…」
師匠として悟飯のことを信じてやれと叱咤するべきなのかもしれないが、悟林の言い分もまた正しい。
闘いに置いて覚悟も決まらず、半端な気持ちで挑むことの危険さはピッコロも理解していた。
「………」
「悟飯、悟林だっておめえが嫌いだからあんな冷てえこと言ってんじゃねえんだ。おめえが力の大会に出て酷え目に遭わねえために言ってくれてんだぞ」
悟空も悟空なりに悟飯を見てきたから、フォローを入れようとする。
悟飯も腑抜けてしまった自分を恥じてピッコロから鍛え直して貰っているのは悟空も知っているが、今回の闘いである全宇宙格闘試合は半端な覚悟と実力で挑める物ではないのも確かなのだ。
空気が更に重くなり始めた時、ウイスから連絡が入った。
何とこのタイミングでブウが長期睡眠に入ってしまい、大会に出られなくなってしまったらしい。
「タイミング悪いね本当に!」
「悟林、ブウの代わりに悟飯を入れろ」
「…まあ、いないよりは…仕方ないから私が近くで守ってあげるしかないか」
「悟林、この場で悟飯と闘え」
ピッコロの言葉に普段なら喜ぶ言葉だが、相手が悟飯となると話は別だ。
「ピッコロさん、私は弟虐めをする趣味はないよ?それとも、この短期間で未来の悟飯と同等になったとでも?」
「実力では未来の悟飯には遠く及ばん…だが、俺は悟飯の持ち味を徹底的に鍛え直したつもりだ」
「ふうん、良いよ。たまには弟の遊びに付き合うのも悪くない…あっちでやろうよ、腑抜けがどこまで抜けたか見てあげる」
「…分かりました」
広い場所に向かう悟林と悟飯。
そんな2人を見つめる悟空。
悟空は何となくだが、ピッコロの狙いが分かった。
悟林が未来悟飯との本気の勝負で双子であるためか力がぶつかるごとに潜在パワーが引き出されていった。
それを悟林とこっちの悟飯でやろうと言うのだろう。
「悟空、神の気を使わない悟林と悟飯の力の差はどこまであると思う?」
「そうだなぁ、神の気を使わねえ悟林が10なら悟飯は3…ギリギリで4くれえかな?」
「だろうな、悟林はセルとの闘いの後もずっと修行を続け、今では破壊神の元で修行している。逆に悟飯はセルとの闘いからほとんど修行をしていなかった。それくらいの差が妥当だろう」
悟空とピッコロが見守る中、悟飯は構えるが悟林は構えることなく棒立ちの状態。
「…構えないんですか?」
「これがただの棒立ちに見えるなら掛かってきなさい」
「(何だ…?ただ立っているだけなのに…まるで隙がない…!)」
無防備に見えるのにそう思えないと言う矛盾した状態に気圧される悟飯だが、ここで恐れているようでは一生認めてもらえない。
悟飯は悟林に突撃すると拳を振るった。
悟林は迫る悟飯の拳を手のひらで包むように受け止めながら流れるように悟飯を後ろに流した。
「くっ!!」
後ろに流されて地面に膝を着いた悟飯が追撃されないうちに体勢を立て直すが、悟林は一切動かない。
「ほら、さっさと来なさい」
「だりゃああああっ!!」
悟飯がラッシュを繰り出すが、悟飯の拳を一発一発捌いていき、滑らせるように悟林が手を動かすと、まるで吸い込まれるように悟飯の胸に掌底が入った。
「がはっ!?」
悶絶する悟飯に悟林は一気に叩き潰すために超サイヤ人3に変身して悟飯にラッシュを繰り出した。
無駄を極限まで削いだ重い拳と蹴りが悟飯に打ち込まれていく。
「悟飯が超サイヤ人にも変身してねえのに超サイヤ人3になるなんて…大丈夫なんか悟飯は?」
「大丈夫だ、あいつの最大の持ち味は根性だからな」
回し蹴りを繰り出して悟飯を岩に叩き付け、そして追撃の無数の気弾を悟飯に浴びせたことにより大爆発が起き、悟林は悟飯がいた場所を見つめる。
「悟飯、さっさと出てきなさい。超サイヤ人3の弱点を突こうとしても無駄だよ。私にはこれより先の力があるんだから早く出なさい」
まだ悟飯は闘えると判断した悟林が言うと悟飯のパワーが大きく跳ね上がった。
どうやら潜在能力の解放の力を取り戻したようだ。
「姉さん、これが今の僕のフルパワーです」
「……ふんっ!!」
悟林は神のオーラを纏わずに潜在能力のみを解放する。
すると悟飯の気を大きく上回るほどの気を放つ。
「それがどうしたの?その程度のパワーなら私は簡単に出せるよ。お前は私と未来の悟飯と違って超サイヤ人を極めた方が良いんじゃないの?」
「いいえ、僕が目指すのは姉さんやもう1人の僕とは違う究極の姿!2人とは違うやり方でそれを目指します!!」
「へえ、昔は超サイヤ人3にあっさり逃げていた奴が言うじゃない。どうやら根性だけはマシになったようだね…10倍…究極界王拳!!」
悟林は赤いオーラを纏いながら悟飯を睨んだ。
「大会に出るって言うならせめてこれくらいは耐えてみせろーーーっ!!」
一瞬で距離を詰め、零距離からの気功波を直撃させた。
そして場所はカプセルコーポレーションに戻り、ビルス達は取り敢えずメンバーは決まったことに安堵した。
「こっちの悟空の息子ねえ、未来の悟飯とトランクスが残っていれば良かったんだが…もうしばらく待ってもらえば良かったな…」
「もし、全王様にお2人の正体を知られたら大変なことになりますよ。この世界のことは出来る限りこちらで何とかするべきです。」
ビルスの呟きに対してウイスが言うとビルスは溜め息を吐いた。
「分かってる、それくらいはな…」
「少なくても悟飯は勘を取り戻していれば何とか闘えるはずだ。何だかんだで潜在能力も才能も悟林と互角で、爆発力はそれ以上だからな」
ベジータがそう言うとビルスが振り返る。
「ベジータ、お前はどうなんだ?少しは余計な考えは破壊出来たか?」
「ああ、だが、守るために闘うことを止めるつもりはない。俺は今の俺のままで破壊神の技を使いこなしてみせる!!」
「…出来るつもりでいるのか?」
「難しいことは覚悟の上だ。簡単に会得出来るようでは会得する意味がない。」
「……良いだろう、外に出ろ!!」
ビルスに促されてベジータがビルスと共に外に出るとビルスがベジータに向けて破壊のエネルギーを向けた。
「ビルス様…?」
「僕からの餞別だ。このエネルギーに耐えてみせろ。この程度のエネルギーに耐えられないようじゃ破壊神の力を使うなんて夢のまた夢だ」
「…上等だ!!はあああああっ!!!」
フルパワーの超サイヤ人ブルーに変身し、ビルスの破壊に対して真っ向からぶつかろうとする。
「良い度胸だ。破壊」
ビルスも凶悪な笑みを浮かべて破壊のエネルギーをベジータにぶつけたのであった。
自分を構成する物が壊されていく感覚を受けながらベジータは必死にそれに耐え抜こうとする。
「抗い続けているだけでは駄目だ。感じろ、破壊の力を」
ビルスの言葉にベジータは目を閉じる。
破壊神の破壊を肌で感じ、少しでもその境地に到達しようとする。
破壊のエネルギーが爆発する寸前、赤紫の輝きが一瞬だけ見えた。
「今のお前にしては上出来だ…!」
ビルスが笑いながら言うと破壊のエネルギーが爆発した。
後書き
我儘の極意にほんの僅かに近付いたベジータ。
当時のアルティメット悟飯VSブウ
「ウスノロ…」
「ご、悟飯!何やってんだ!早く決めちまえ!!ブウ相手に余裕なんてねえぞ!!」
「大丈夫ですよ父さん、こいつにどんな手があるんです?大丈夫、俺はブウがどんな手を使っても勝てる自信があります!!」
「悟飯…」
逃げられて1時間後。
悟飯はゴテンクスとピッコロを吸収したブウにボコボコにされていた。
「く、くそお…っ」
「どうした?私がどんな手を使っても勝てる自信があるんだろう?もっと頑張れよ」
「ご、悟飯…」
後に悟空と悟林が悟飯を戦力として見なくなった瞬間である。
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