ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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力の大会編
第65話
前書き
因みに未来ザマスはビルスの運動不足解消用の玩具になって再度ゼットソードに封印されました。
ザマスとブラックとの闘いが終わってから悟林はトランクスと修行をしていた。
トランクスは未来トランクスから貰った剣を使い、悟林は父親がかつて使っていた如意棒を使っていた。
如意棒はカリン塔と神の神殿を繋げる役割があったが、舞空術が使える者やデンデの知り合いは神殿に来れるので悟林が使っても問題ないと判断されたようだ。
「はい!隙あり!!」
如意棒を回転させて剣を弾くとそのままトランクスの脳天に軽くぶつけた。
「痛ってーーーっ!!」
「トランクス君の剣術は未来のトランクスさんと比べて隙だらけだね。まあ、こうやって数をこなしていくしかないわけだけど。」
「はあ、やっぱりお兄ちゃんみたいにはいかないなー」
「そんなことないよ、未来のトランクスさんだって剣の師匠なんていなかったのにあの腕前なんだから、トランクス君にだって絶対に出来るよ」
「そうだね、俺もっと頑張るよ。パパ、頑張ってるかなー?」
「そう言えばブルマさんのお腹も随分大きくなってたし…うん…そろそろ帰ってくるんじゃないの?」
一方、ビルスの星ではベジータは大岩を睨んでおり、気弾を放って粉々にしていた。
「ど、どうだ!?」
「おい、ベジータ…まさかお前、あれが破壊のつもりか?あれじゃあ、ただの威力があるだけの気弾だ。僕達の破壊は存在をこの世界から消すと言うことだ。このようにな!!」
ビルスの放った破壊の力が小さな小石に直撃すると大爆発が起きる。
「何て破壊力だ…」
「破壊は1を0にすることだ。物体は消滅する時にとんでもないエネルギーを放出する。この爆発が破壊の醍醐味と言ってもいい。今のお前では破壊の習得はまだまだ先だな」
「くっ…」
「お前は余計なことを考えすぎるのも欠点だ。1つのことに集中出来ていない。前にも言っただろう?僕は仕事の時は破壊のことしか考えないと、だからこそ力に限界がないとな。僕達、破壊神の力の根源は“本能”だ。本能に突き動かされる力には上限がない。お前は地球の生活に馴染み過ぎて穏やかになりすぎた。この力が欲しいのなら闘いの時くらいは余計な考えを破壊して1から自分を創り直せ、“創造の前に破壊あり”だ。」
「ビルス様…」
「さて、ベジータ。僕達、破壊神は宇宙のバランスを整えるために不要な星を破壊するのが主な仕事だが、宇宙のバランスを崩しかねない存在の破壊も含まれている。例えば、あの愚かな界王神見習いや過去のサイヤ人共だ。何が言いたいか分かるな?」
「まさか…」
「そう、フリーザも元々破壊するつもりだったらしいが、惑星ベジータを破壊するように頼んだのは僕だ。つまり僕はサイヤ人の仇の1人と言うわけだ。どうする?掛かってくるか?」
それを聞いたベジータは頭が真っ赤になるが、宇宙のバランスを崩しかねない存在であったのも事実なので葛藤することになる。
「……そういうところだベジータ」
「え?」
「昔のお前…心も純粋なサイヤ人だった頃ならばプライドとかを刺激されれば確実に僕に挑んでいた。僕を殺すと言う気持ち一色でな。だが、お前は葛藤してしまった。殺意でも闘争でもいい、本能に従うことで破壊神の力を扱うことが出来る。だが、今のお前にはそれだけの心がない!体だけではなく迷いを捨て、本能に従えるだけの心を鍛えろ!悟空や悟林に負けたくないのならな」
「ビルス様…」
「お前の中には過去のサイヤ人が行ってきたことの罪悪感を感じる。過去のサイヤ人共…あの姑息なベジータ王がしてきたことにお前に何の関係がある。お前がしてきたことならともかくな、そんなことなど忘れてしまえ!そんなことに囚われているようではお前の成長はここまでだ!嫌ならまたウイスとの修行に戻ればいい。尤も、お前に身勝手の極意を極められるとは思えないがな」
それだけ言うとビルスは昼寝に戻ってしまった。
「不器用ですね、ビルス様も」
「ウイス」
微笑ましそうにしているウイスにベジータが振り返る。
「何だかんだでビルス様はベジータさんを気に入っているんですよ。そうでなければ名前を覚えたりこの星で修行させたりはしません。」
「……」
「どうします?今日は私と修行しますか?」
「…すまんが、トレーニングはまた今度にする。地球に帰らせてくれ」
「そうですか、自分を見つめ直すのもまた修行ですよ」
「いや、まあ…それもあるんだが」
言い淀むベジータにウイスは不思議そうな顔をするのであった。
そして時は戻って地球、今日は野菜の出荷があり、悟空が野菜を市場に出した帰りに犯罪者を捕まえて警察に届けたのだが、その犯罪者達は懸賞金をかけられていたので大金を思わぬ形で手に入れたのだ。
「今日は金も手に入ったし…たまにはチチの好物買ってやっかな。後はビルス様達の土産に大福でも」
妻のチチの好物の中華ちまきとビルス達への土産に大福を買うと、一度帰宅することにした悟空。
「おーい、戻ったぞチチ。」
「お帰り悟空さ」
「これ、おめえと悟天の土産だ。後、帰りにわりい奴らを捕まえたら金をたくさん貰ったぞ」
チチの好物と悟天の分の大福、そして懸賞金を渡した。
「ええ!?こ、こんな大金を…」
「結構わりい奴らだったみてえだからな」
「そうだか…で?今日も行っちまうだか?」
「ああ、しばらくサボってたからな。久しぶりに思いっきり修行してえ。畑のことは悟林に任せてっから大丈夫だ」
「オラとしてはもうちょっと大人しくして欲しいだよ。悟空さもパンちゃんの立派なお祖父ちゃんにならねえと駄目だべ?悟林ちゃんでさえ時々厳しい伯母さんやってんのに」
チチとしてはやっぱり悟空と悟林には地球に居着いてパンの立派な祖父と伯母をやって欲しいようだ。
「へへ、でもサタンがいるから大丈夫だろ」
サタンは暇さえあればかなりの頻度でパンに会いに行くのだから寧ろこれくらいが丁度いいのかもしれない。
「最近は悟飯も修行を再開したみてえだし。あのとんでもねえ悪者は悟空さと未来の悟飯達がやっつけたんだから無理する必要ねえべ?」
「んー…でも悟飯がやるってんならやらせてやろうぜ?止めようとしたってやりたがってるうちは止めねえさ。あいつも今は父ちゃんでチチに似て頑固だしな」
「むっ!?オラに似てって何だべ!?」
「おっと!やべえ、行ってくる!!」
チチの怒声をかわしながらウイスと連絡を取ってカプセルコーポレーションで待つことになった。
待っている途中で腹が大きくなったブルマと会う。
「また腹でかくなったなー、そろそろ産まれるんじゃねえか?産まれるのって男の子か?女の子か?」
「産まれてからのお楽しみよ!」
「えーっ?何でだよ、女の子や双子とかだったらどうすんだよおめえ?まさか女の子にトランクスの奴を着させんのか?」
「そんなわけないでしょ馬鹿ねー、女の子の時は必要な物をさっさと集めればいいじゃない」
「ふうん、オラには分かんねえな…」
長女と長男の時は知らなかったとは言え不在であったこともあり、次男の出産に立ち会った悟空はチチから前以て男だと聞かされても悟天が産まれた時は嬉しかったが、ブルマはそう感じないのだろうか?
女の妊娠事情に首を傾げる悟空であった。
そしてウイスとベジータが到着した。
「よう、ベジータ。ブルマがそろそろだから戻ってきたんか?」
「まあな」
「おめえもすっかり親父だよな、産まれてくんのどっちだろうなー。男の子か女の子か…」
「どっちでも構わん、元気で産まれてくればな」
「そうだなー、性格はベジータとブルマに似ないと良いよなー。似てたら絶対に面倒臭えだろうし」
悟空の発言にベジータのこめかみに青筋が浮かんだ。
「どういう意味だカカロット…」
「だっておめえもブルマも時々、滅茶苦茶面倒な性格してんだぜ?」
プライドが高すぎて一部を除いて扱いにくい堅物なベジータ。
気が強すぎる上に自分で言うのもあれだが、トラブルメーカー気質であるブルマ。
正直この2人とは長い付き合いとなっている悟空としてはブルマの両親にちょっぴり似て穏やかな性格になって欲しいところだ。
「カカロット、何ならここで貴様を倒してやっても良いんだぞ?」
「わりいわりい、まあでも元気で産まれてくれりゃあ一番だな!じゃあウイスさん行こうぜ!!」
土産の大福を手にしながら悟空はウイスと共にビルスの星へ向かうのであった。
「あらベジータ、修行はもういいの?」
「ああ…」
戻ってきたベジータの変化に気付いたブルマ。
他人から見れば普段と何も変わらないように見えるが、長年連れ添った自分には分かる。
「ベジータ、向こうで何かあった?」
自分の迷いを見透かすようなブルマにベジータは表情に出さずに驚く。
しかし、今の自分を改めて知る機会かもしれないとベジータは口を開いた。
「ブルマ、今の俺は昔の俺と比べてどう変わった?」
「え?そうねえ、昔は偉そうでふんぞり返ってた奴だったけど、今は厳しいけど優しい人だと思ってるわよ私は…昔のあんたならきっと私のことなんて気にしないで修行してたでしょうしね」
トランクスの時でさえベジータは気にせず修行をして、一度カプセルコーポレーションに戻ってきた時にトランクスの名前と顔を知ってもそのまま仕上げに向かった程なのだから、だからこうして傍にいてくれる程に優しくなってくれたことにブルマは素直に嬉しいと感じている。
「そうか…」
「どうしたの?ビルス様かウイスさんに何か言われた?」
ブルマの問いにベジータは少しずつ語り始めた。
破壊神の技を覚えようにも地球に馴染み過ぎて穏やかになってしまい、昔のような本能に従うような闘いが出来ないせいで会得出来ないと言うことを。
かつてフリーザに破壊された惑星ベジータの破壊はビルスから依頼されたこと、それを聞かされた時に頭には来たが、サイヤ人のしてきたことを考えると葛藤してしまったこと。
このままでは悟空と悟林に追い抜かれ続けることになる焦り。
普段のベジータならば絶対に言わないことも含まれており、それだけベジータが追い詰められているのが分かる。
「全くビルス様ったら、あんまり私の旦那に意地悪しないで欲しいわね…あんまり気にしなくても良いんじゃないの?その破壊神の技って本能による物なんでしょ?だったらあんたのやりたいことをそのまま素直にやれば良いじゃない。要は変に考え過ぎてるから駄目なんだと思うわよ。本能って自然にやりたくなる行動や考えを指すんだから…大丈夫よベジータ。あんたなら破壊神の技だって出来るようになるわ。孫君や悟林ちゃんが強くなれるんだもの、ベジータが強くなれないはずがないわ」
「…そうか…俺は…必ず破壊神の技を極めてみせる」
早速ベジータは作業に取り掛かった。
「全く、戦闘好きなサイヤ人なんだから、でも私はそんなサイヤ人の奥さんなのよね」
服を畳んでくれているベジータを見て、ブルマはこれから産まれてくるであろう我が子を待ち望む。
「おーい!ブルマさーん、これお土産だよー」
遊びに来た悟林がお土産の果物を渡してくれた。
「ありがとね悟林ちゃん」
「ふうん、改めて見ると随分大きくなったね。辛くないの?」
「まあね、でも幸せよ。こう言うのを幸せの重みって言うのかしら?」
「幸せの…重み…私にはまだ分かんないな」
「悟林ちゃんも結婚して子供が出来れば分かるわよ。家族が増えるってことがどんなに嬉しいことかってね」
母親のチチが弟を身籠っていた時は悟林は死んでいたし、ブルマがトランクスを身籠っていた時は対人造人間との修行で見る機会がなかったので間近で見る妊婦は悟林にも多少を思うところがあるようだ。
「弟かな?妹かな?」
「どっちでも良いんじゃない?元気に産まれてくれれば。トランクス君もお兄ちゃんになるんだからもう少ししたら兄弟の愚痴に華を咲かせよ?ベジータさんとブルマさんの子供だから絶対悟飯くらいに手が掛かるよ?」
「どういう意味よ!?」
ブルマの怒声に悟林とトランクスは笑った。
「はは、でも私は闘うのが一番好きだけど、こう言うのも悪くないね」
子供の頃から修行や闘いばかりだったからこう言う穏やかな時は結構貴重に感じる悟林。
「ね、ねえ!悟林さん!時間まだあるかな!?」
「え?時間?まだ余裕はあるけど?」
「だっ!だっ!だったら、俺とデー…」
「おーい!」
トランクスの勇気は乱入した悟空の声によって打ち砕かれ、うちひしがれることになるトランクスであった。
「トランクス…」
「パパ…」
「今度遊園地に連れていってやる。悟林も連れてな」
「パパ…!」
父子の絆が深まった瞬間である。
後書き
力の大会はクリリンや天津飯よりも悟天とトランクスを入れるべきではないかと思う。
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