イベリス
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第三十八話 速水の占いはその四
「今も」
「それでそうした人の言うことはですか」
「聞くべきではありません」
絶対にというのだった、速水も。
「まことに」
「そうなんですね」
「そこは気をつけて」
そうしてというのだ。
「学ばれて下さい」
「大学でもですか」
「普通に東大教授でもそうですから」
和田春樹という輩にしてもそうだ、尚この輩は多くの人をあの北朝鮮に送って誰一人として生きて帰ってきていない帰国事業にも関わっていたという、多くの人の人生を潰した責任はどうなっているのであろうか。
「日本一の大学と言われていますが」
「そこの教授の人もですか」
「そうした有様です」
「酷いんですね」
「まことに、実際日露戦争はお話した通り勝ちましたが」
学者ではないがある作家はこの勝利を『勝ったことになっている』と言っていた。田中芳樹という作家であるが余程日本の勝利が腹立たしいのであろう。
「莫大な戦費を使い」
「国家予算の何年分ですね」
「その戦費は借金で賄ったので」
それが莫大なものであったことは言うまでもない。
「二次大戦後まで借金を返していました」
「全然儲かっていなかったんですね」
「それを普通に言い」
そうしてというのだ。
「かつ従軍慰安婦です」
「あれ嘘だったんですよね」
「女性の方にお話することは気が引けますが」
速水はこう前置きして述べた。
「当時は公娼制度がありました」
「吉原とかですか」
「今でも風俗産業がありますね」
「はい、ありますね」
「東京では普通です」
今自分達がいる街ではというのだ。
「この109のビルからすぐに道玄坂がありますね」
「あそこですね」
「そこを登ればホテル街がありますが」
「あそこにも風俗が、ですか」
「デリバリーでありますので」
「そうですか」
「東京は世界屈指の大都市であるので」
それと共にというのだ。
「そうしたお話もです」
「あるんですね」
「左様です」
「それも普通に」
「吉原は今もですね」
昔もそうでというのだ。
「存在しています、そしてかつては」
「公娼制度があって」
「素人の人を連れ去らずとも」
それも軍人がその様なことを直接行わずともだ、吉田清治という輩が役人かそれに近い立場で行ったことは既に論破されている。
「普通にです」
「そうした人をですか」
「声をかければいいのです、悪質な人買い等はいても」
それでもというのだ。
「軍が攫ってまではです」
「する必要がなかったですか」
「そうです」
「じゃあこのお話は」
「どう見てもおかしいです、しかも」
速水はその流麗な右目に卑しいものを見て述べた、自然とその目が顰められた。
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