イベリス
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第三十八話 速水の占いはその一
第三十八話 速水の占いは
咲は午後はアルバイトに出た、渋谷の速水の店に入ってまずは休憩時間まで受け付けや雑用の仕事に励んだ。
そして休憩時間に入るとだった、速水が受付の場所にいる咲のところに来てそのうえで彼女に声をかけてきた。
「お疲れですか?」
「いえ、別に」
咲は速水に顔を向けて答えた。
「何も」
「そうですか。では何かお考えですね」
速水は今度はこう言ってきた。
「そうですね」
「実は部の同人誌で私も描かせてもらうことになりまして」
「そうなのですか」
「有り難いことに」
「ではその題材をですね」
「考えています」
こう速水に答えた。
「実は」
「そうですか、漫画のですか」
「それで昨日の夜は母と、今日の午前中は従姉とです」
「何を描くかですね」
「相談していまして、伊藤博文さんを」
速水に正直に答えた。
「どうかって思いはじめていますが」
「いい人物ですね」
速水はその名を聞いてすぐに笑顔で述べた。
「素晴らしい政治家であり教養人でもありました」
「教養もあったんですか」
「はい、詩人として有名でした」
「そうだったんですね」
「当時の武士は殆どの人が常に文武に励んでいたので」
それでというのだ。
「彼もまたです」
「教養人でもあったんですか」
「これは山縣有朋もです」
彼もというのだ。
「同じく明治の元勲でしたが」
「何か評判がよくない人でしたっけ」
「陰謀家とも汚職が多かったとも言われていますが」
「汚職していたんですね」
「このことは事実です」
山縣が汚職をしていたことはというのだ。
「それで政治資金にしていました」
「そうだったんですか」
「ですがその暮らしは質素でやはり学問にも秀でていて」
そうしてというのだ。
「教養もです」
「備えていたんですか」
「それもかなりの」
「そうでしたか」
「今の学者、大学の教授も思想家もそのレベルはお粗末極まりないですが」
速水は今の知識人の話もした。
「カルト教団の教祖、テロをした輩を最も浄土に近いと言った程度の者が戦後最大の思想家と言われる位です」
「テロをしてもですか」
「そうです、そうした程度でその学問も」
これもというのだ。
「聞くだけ無駄です」
「そこまで酷いですか」
「近現代の歴史も教育も経済も法律も経済も何もかもがです」
そうした分野全般がというのだ。
「無能極まり腐敗しきって堕落の極みにある」
「そうしたですか」
「恐ろしくレベルが低い世界です」
「そうなんですね」
「マスコミと同じ程度です」
今の日本の学者のレベルはというのだ。
「まことに」
「そうですか」
「しかし当時の武士そしてそこから政治家になった人達は」
伊藤博文にしろ山縣有朋にしろというのだ。
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