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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第二幕その十

「それで産まれた場所にもね」
「行くんだ」
「銅像もあるから見るよ」
 こちらもというのです。
「そうしようね」
「行く場所は多いね」
「だから楽しめるよ」
「そうなるね」
 王子は笑顔で応えました、そうしてです。
 皆で夫婦善哉の善哉も食べました、そちらも美味しくて皆は三度舌鼓を打ちました、そうしてでした。
 神戸のお家に戻ってから先生はトミーに言いました。
「今度は粕汁や関東煮も食べたいね」
「関東煮って何ですか?」
 トミーはその料理について尋ねました。
「一体」
「おでんだよ」
「おでんですか」
「うん、関西のおでんは本来はお味噌を入れていたんだ」
「そうだったんですね」
「それで普通のだしのものはね」
「関東煮ですか」
 こう言うのでした。
「そう呼んでいたんですか」
「そうなんだ」
「そうでしたか」
「そこが違っていてね」
 それでというのです。
「昔の大阪では分けられていたんだ」
「織田作之助さんの頃はですね」
「それで主人公達もそのお店をやっていたこともあるんだ」
「その関東煮のですね」
「そうですか」
「それで今度はね」 
 次に言った時はというのです。
「粕汁にね」
「その関東煮もですね」
「食べたいね、そちらのお店も作品に出るから」
 だからだというのです。
「楽しみにしてるよ」
「フィールドワークで行くのも」
「そうなんだ」
「フィールドワーク自体がお好きですが」
「今回は特にね」
「そうですか」
「うん、凄くね」
 まさにというのです。
「楽しんでいるよ。大阪の街自体も楽しいし」
「いい街ですよね」
「凄くね」
「そうした街ですよね」 
 トミーも笑顔で応えました。
「大阪は」
「そうだよね」
「何処も楽しいですね」
「あんないい街はないよ」
「僕もそう思います」
 トミーにしてもです。
「本当に。あと大阪は水の都といいますね」
「うん、そうだよ」
 先生はトミーの今の質問にも答えました。
「川が多くてね」
「その中に街がありますね」
「そうだよ、その川の多さを利用して」
 そしてというのです。
「秀吉さんもお城を築いたしね」
「大阪城ですね」
「あのお城は石垣も城壁も高くて多くの門や櫓が巧みに配されていて」
「難攻不落でしたね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「そう言われていたんだ」
「当時世界屈指の要塞で」
「もう攻め落とそうと思ったら」
「不可能と言われていたんですね」
「そこまでだったんだ」
 大阪城はというのです。
「本当にね、大坂の陣で陥落したけれど」
「それは堀を埋めたからですね」
「それが大きかったよ」
「そのお水ですね」
「周りが多くの川に囲まれていて」
 大阪城はというのです、秀吉さんの頃は大坂城と書かれていましたが先生はあえて今の書き方で通しています。 
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