下手なエロ本よりやばい
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第一章
下手なエロ本よりやばい
この時泉田慎は訳がわからなかった、それでクラスメイトで高校入学から仲のいい土橋信長に尋ねた。
「俺何かしたか」
「喧嘩とか万引きとかカツアゲとかか」
「そんなの一切してないぞ」
こう土橋に言った、見ればネイビーブルーのブレザーとネクタイ、グレーのスラックスに白のブラウスの通っている高校の制服の一つを真面目に着ている。黒髪は上に箒の様に立っているが校則違反ではない。目はやや鋭い感じで細面で口から白い歯が見える。背は一七三位で痩せている。
「悪いことはな」
「お前はそんなことしないな」
土橋もそれはと言った、彼は丸眼鏡をかけていて黒髪を真ん中で分けている。細面で鼻は高く唇は薄い。グレーの中ラン位の丈の詰襟を着ていて背は一七五程ですらりとしている。
「俺が見てもな」
「それで何で生徒指導室に呼ばれるんだ」
一切身に覚えがないがというのだ。
「一体な」
「それが謎だな」
土橋から見てもだ。
「心当たりがないのにな」
「それも生徒指導主任のオベール先生からな」
フランスから来ている教員である、彼等が通っている八条学園は制服も様々でかつ海外から生徒も教師も教員も多く来ていて全体の半分程が海外組である。
「直々にだからな」
「余計に思うな」
「ああ、何なんだ」
「わからないな、しかし呼び出しだからな」
「行って来るな」
「それで呼び出しの理由聞くな」
「そうするな」
こう土橋に行ってだった。
泉田は今かかった校内放送に従って生徒指導室に行った、するとそこにスーツを丁寧に着た金髪をオールバックにした青い細い目と彫の深い顔を持つ長身の白人の男性がいた。八条学園高等部工業科の生徒指導主任アンドレ=オベールだ。
彼は泉田が生徒指導室に入ると自分の向かい側の席に座らせて彼に問うた。
「呼ばれた理由がわかっているか」
「全くわかりません」
泉田は怒った顔で答えた。
「俺喧嘩も万引きもしてないですよ」
「悪事はだね」
「いじめだってしてませんよ」
実際のことなので堂々と言えた。
「校則違反も」
「誓って言えるな」
「ええ、何で呼ばれたんですか」
「君が持っている本のことだ」
「本!?俺学校には小説か漫画しか持って来てませんよ」
漫画なら校則違反でないのでいいのだ。
「エロ本とかは」
「持って来ていないか」
「絶対に」
「では君が今朝友人に話していたのは誰の本だ」
「登校中にですか」
「校門を通る時に語っていたな」
その時に校門で生徒達の服装そして遅刻しないか見ていたのだ、オベールは生徒指導主任としてそうしたのだ。
「そうだったな」
「ああ、あの時ですか」
泉田も言われて察した、憮然とした顔で両手の指と指を組ませてやや屈んだ姿勢だ。
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