ドリトル先生とめでたい幽霊
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第一幕その四
「そのことがね」
「そうだよね」
「そうした人も多いけれどね」
「音楽家だとシューベルトさんとかね」
「若くして、って残念だよね」
「つくづく」
「結核は日本でも問題だったんだ」
この国でもというのです。
「本当にね」
「そうだったんだね」
「欧州でもかなり問題だったけれど」
「日本でもそうで」
「多くの人が亡くなったんだね」
「そうだよ、日本で亡くなった人が多いのはね」
先生は残念そうに言いました。
「脚気、梅毒とね」
「結核だね」
「当時の日本はそれで亡くなった人が多いんだ」
「その三つの病気で」
「そうだったんだ」
「脚気は食事の改善で治ってね」
この病気はというのです。
「日露戦争以降かなりよくなったけれど」
「梅毒と結核はね」
「ペニシリンがないから」
「だからだね」
「そう、戦争が終わる頃までね」
その頃までというのです。
「沢山の人が亡くなっていると」
「梅毒と結核で」
「それで織田作之助さんは結核で」
「若くして亡くなったんだ」
「そうなのね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「ペニシリンがもっと早く出て来たら」
「助かったかも知れないんだ」
「織田作之助さんも」
「そうだったんだね」
「あと数年かな」
「それだけペニシリンが早く開発されて」
「それで出回っていれば」
それならとです、皆も思うのでした。
「助かったかも知れないんだね」
「結核が治って」
「それからも書けたかも知れないんだね」
「多くの作品を」
「そうかも知れないんだ」
「そうした人が多いだけにね」
若くして結核で亡くなった人がです。
「織田作之助さんについても思うよ」
「結核は本当に恐ろしい病気だったからね」
「あの病気でどれだけの人が死んだか」
「ペニシリンが出て来るまで」
「今も命を落としている人がいるしね」
「昔は栄養状態も悪かったしね」
このこともあってというのです。
「罹る人が多かったんだ」
「ペニシリンもなくて」
「それで栄養状態も悪くて」
「それでだよね」
「どれだけの人が亡くなったか」
「お薬にね」
それに加えてというのです。
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