| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.

作者:福岡市民
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

招かれし者(西村早苗)
  守矢神社にて

(※東風谷早苗視点)




こんにちは!
私は妖怪の山の(いただき)にある守矢《もりや》神社で現人神(あらひとがみ)巫女(みこ)風祝(かざほうり)をしている東風谷早苗《こちや‐さなえ》と申します。

今日はこの時期にしては珍しく晴れたので境内の掃除をしています。
箒で落葉を掃いていたとき、空が一瞬光った気がしたので見上げるとなにやら黒い物体が見えました。そしてそれはぐんぐん私に近づいてきて……………あっ、危ない‼︎




(※第三者視点)




魔理沙と早苗を乗せた箒は猛スピードで守矢神社の鳥居の真上を通過した。参道には人の姿が見える。
あわや正面衝突かと思われたがその人物の数メートル手前で箒は急停止。強力な遠心力がかかったため箒の後ろに乗っていた早苗は危うく投げ出されそうになった。


魔理沙「どうだ、私の運転技術は!?恐れ入ったろう!」

早苗「うぅ、気持ち悪い…」


早苗がやっとの思いで箒から降りたとき、先ほどぶつかりそうになった人物が魔理沙に抗議する。


?「魔理沙さん、空の上は高速道路じゃありません!法定速度を遵守して下さい!」

魔理沙「私の辞書に“法定速度”という文字はないぜ!」

?「酷い!そんなのないですよ‼︎」

魔理沙「まあまあ、これでもちょっとは“悪かったな”と反省してるんだZE☆」

?「ちょっと⁉︎」


緑色の長い髪の毛に蛙と蛇の髪飾りをつけ、青と白を基調とした巫女装束を身に纏ったその少女はしばらく魔理沙に怒っていたが、やがて早苗の存在に気づいた。


?「おや、そちらはどなたでしょうか?」


西村早苗【以下:(西)】
「初めまして。私は外界人の西村早苗と申します。こちらに同名の“早苗”という方がいらっしゃるとお伺いしましたが、もしや貴女がそうですか?」

東風谷早苗【以下:(東)】
「へえ、貴女も“早苗”さんというんですか!私はここ、守矢神社で巫女と風祝をしている東風谷早苗と申します。よろしくお願いしますね♪」



ーー
ーーー


(西)「えっ、早苗さんって現人神なんですか⁉︎」


ここは守矢神社の拝殿兼住居。
魔理沙と(西)はここに案内され、(東)と2人の神様と話しをしている。


(東)「はい。でもこう見えてまだ18歳なんですよ♪」

(西)「ウチのいっこ下やん!誕生日は?」

(東)「5月18日です」

(西)「ウチは19日!誕生日まで一日違いなんやね⁉︎」

(東)「すごいですね。私の“奇跡を起こす程度の能力”が働いたとしか思えませんよ」


(東)はそう言って緑茶を一口すすった。


(東)「そういえば、早苗さんは先ほど『外界から来た』と仰いましたよね。実は私たちも外界の出《で》なんですよ」

(東)「へえ、どこから来たと?」

?「信濃《しなの》…。今でいう長野県よ」


背中に注連縄(しめなわ)御柱(おんばしら)を背負い、頭にも注連縄を巻いた女性ーーー八坂神奈子(やさか‐かなこ)が答えた。神奈子は蛇の神様だ。


(西)「私は鳥取県から来ましたが元々は福岡県の出身です。ええと…“因幡《いなば》”と“筑前《ちくぜん》”と言えばお分かりでしょうか?」


大丈夫よ、と神奈子が言った。


(西)「しかし、なぜ幻想郷(ここ)へ?外界(むこう)で何かあったんですか?」

?「いや、ちょっとね…」


神奈子の隣に座っている大きな目玉が付いた帽子を被った少女ーーー洩矢諏訪子(もりや‐すわこ)が言った。神奈子が蛇神なのに対し、諏訪子は蛙の神様である。


諏訪子「外界で信仰が得られなくなってね。神は信仰が得られなくなると消滅してしまうからこれは一大事ということになってーーー」

(東)「こちらに湖ごと引っ越してきたのです。あれがそうですよ」


(東)が指差す先には大きな湖が見えた。太陽に照らされて湖面がキラキラ輝いている。


(西)「なるほど…。信仰は得られたんですか?」

神奈子「まず初めに、妖怪の山の麓にある博麗《はくれい》神社に勧請《かんじょう》(=神仏を奉るよう依頼すること)を呼びかけたのよ。そしたらその神社の巫女や今そこにいる魔法使いがうちに来てそれを断ったの。結局“弾幕ごっこ”で決着をつけることになったんだけど負けてしまってね」

(西)「弾幕ごっこ?」

魔理沙「家で話した“取り決め”のことだぜ。あのときは楽しかったなー」

(東)「そして後日、霊夢《れいむ》さんーーー博麗神社の巫女ですねーーーと話し合った結果ようやく勧請してもらえるようになりました。そのおかげで今は安定した生活が送れている、というわけです」

(西)「そうだったんですね。(この人たちも大変なんやね…)」


『幻想郷の人たちも色々と苦労しているんだなあ。』
(西)はそう思った。



ーー
ーーー


そうそう、と魔理沙が切り出した。


魔理沙「知ってのとおり、早苗は外界人で住む場所がなくてな…。別に私の家で面倒を見てもいいんだが何せあの森の中だ。安全や健康の観点からいってもあまりよろしくないだろう?」

諏訪子「まあ、たしかにね」

魔理沙「そこでいろいろと考えた結果、ここのほうが安全かつ健康に過ごせるのではないかという結論に至ったんだ。……悪いが、ここで早苗の面倒を見てもらっていいか?」

(東)「いいですよ♪こうして巡り会えたのも何かの縁ですし…。ねえ、神奈子様に諏訪子様?」

神奈子&諏訪子「「その通りだね。よろしく、西村さん」」

(西)「ありがとうございます!こちらこそよろしくお願いします‼︎」

魔理沙「よかったな!」

(西)「うん♪魔理沙もありがとう!」




ーーーかくして、(西)の新生活がスタートしたのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧