私はいじわる 小悪魔が住みついた
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2-⑶
「今日 一緒に真珠ちゃんち 行っても良い?」って、鈴花ちゃんが突然聞いてきた。
「えぇー なんでなん? 別に、かめへんけど・・な」私は、突然だったけど、なんか押されてしまって、逆らうのも少し怖かった。
「ウン 一緒に宿題しよーよ」
さっきまで、香菜ちゃんと3人だったけど、途中で香菜ちゃんとは、別れて、二人で歩いていたら
「なぁ さっきから、御読君が付いて来るけど、怪しいんか?」
「ううん 家が近くやねん 1年の頃から、あんな調子やー」
「そうなんや なんで、一緒に帰らへんの?」
「うーん なんでやろね あんまり、話もせーへんね ウチのこと、嫌いみたいやでー 話し掛けてもなー 憎らしいことばっかー言うねん」
「そうなん 待っててな」と、鈴花ちゃんは、昂君が来るのを待って
「あんた 何で、離れて歩いてるん? 同じクラスやのに、一緒に歩けばええんちゃうん?」と、声を掛けていった。私にすれば、喧嘩ごしに聞こえた。
「勝手やろー お前こそ、何で居るねん 真珠と喧嘩するんかと思って、後ろから見てたんやー」
「ウチは 真珠ちゃんと宿題しよう思って・・だからー 何で、真珠ちゃんと、一緒に歩かへんね ストーカーみたいに、後ろから・・」
「俺は こいつが、歩きながら、他人んちの花をみたり、犬をかまったりしてるから、後ろから、見守ってるんや すぐ、転んだり、泣くからな」
「なによー ウチ そんな、転んだり泣いたりしないわよー」と、精一杯反論していたが
「おおー そうか いつも、靴箱で履き替える時、走ろうとして、つまづいているのは誰かなー 今日も、階段の最後のとこで、転んでたじゃぁないか パンツ見えなかったけどなー ドンくさい」
「うー 見てたのか― ほっといてよー あんたなんか 蘭ちゃんと仲良くやってれば、良いじゃぁ無い クラス別れてしまって、残念だねー 蘭ちゃん、きっと、昂君のこと好きなんだよー」と、言い返してやったけど
「おお 残念だけど 何とも思ってないからなー お前に関係ないやんかー」
「真珠 行こうよ もう ほっておこー」と、鈴花ちゃんが、促していた。
「お前って言い方 やめてって、言ったやんかー」私、クソーって思っていた。
「ふたりとも 喧嘩しても良いけど、髪の毛の引っ張り合いだけはやめとけよ」と、言い捨てて、昂君は先に帰って行った。
「なによー あの言い方 感じワルー 真珠 わかる あんな奴と話さないの なんか、もっと、かっこいい奴かと思ってたけど」と、私と手をつないできたのだ。
私の部屋に入ると
「ワァー ピンク 可愛いんだね あっ パンダ」
鈴花ちゃんは、ベッドの上のパンダの縫いぐるみを目ざとく見つけた。部屋の中も何となくピンクぽいし、ベッドのお布団もピンクだから・・。そして、壁に貼ってある写真を見て
「ちょっと あれ 誰?」
「うん 哲也」と、恥ずかしかった。
「哲也? 誰、それ? なんか、古臭さー」
「うん ずーと昔の映画で若い時の写真 カッコ良いと思わん?」
「ぜんぜん ジャニーズ系は興味ないん?」
「ウチ あんなチャラチャラしたん嫌や こっちの方が、男らしいと思わへん?」
「あのなー 真珠って やっぱり、変わってるんやね」
その後、算数の宿題を二人で、やったんだけど、鈴花ちゃんはさっさとやって、30分位で片付けていた。私も、追いついて行くのに、必死だった。この時、初めて鈴花ちゃんは左利きなんだと気が付いた。
その後、鈴花ちゃんは、自分の家が運送屋で、ひとりっ子だから、私にお兄ちゃんがいるので、羨ましいと言って居た。自分が乱暴そうに思われるので、親しい友達も出来ないとも言って居たのだ。
「ウチって いじわるなんだよ」
「真珠のいじわるなんて、可愛いもんよ 平気だよ」と、鈴花ちゃんはサラッと受け流していた。
5時近くになって、鈴花ちゃんは
「お母さんが迎えに来てくれるの」と、言っていたが、車を家の前に横づけして、迎えに来た人を見て、私もお母さんもびっくりしていた。
ドロドロのトラックで、玄関に立っているのは、髪の毛の半分は刈り上げて、もう半分はリボンと一緒に編み込んだ長い髪の毛を垂らしていた。そして、ピチッとしたジーンを穿いていて、まだ、20代かというような女の人だったのだ。
「お邪魔させてもらって、ありがとうございました」と言う声もガラガラに枯れたような感じだった。
「あっ お母さん じゃぁ 真珠 又 明日ね」と、鈴花ちゃんは、トラックに乗って帰っていったのだ。
見送った後、お母さんは、何か言いたそうに私を見ていたが・・
「ああ 見えても、鈴花ちゃんは、社長さんのお嬢様でね、とっても、上品なのよ」と、お母さんに、安心させる為、いじわるみたいに言ってしまった。そして、さっさと逃げるように自分の部屋に戻ってきた。
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