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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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魔人ブウ編
  第33話

 
前書き
グレートサイヤマンはマントとかヘルメットとかを無くせば充分実戦向きな装備なんですよね…だってアンダースーツや手袋や靴って戦闘服の奴でしょう? 

 
セルとの闘いから7年が経過し、悟飯は16歳となっていた。

背も相応に伸びて父親に近い体格となっており、現在は高校に通っていた。

住んでいる田舎には近くに学校その物がなく、これまで自宅での自主的な勉強と通信教育で過ごしていたのだが、母であるチチがそれだけではと、サタンシティにあるオレンジスターハイスクールに通わせてもらうことになった。

そして父である悟空はと言うと、畑仕事を終えて残りの時間を修行に回していた。

「うーん、やっぱり修行相手がいねえのはな」

7年前までは娘である悟林が率先して修行相手になってくれていたので色々と助かっていたのだが、悟飯は勉強で体が鈍っているので、本気の修行が出来ない。

いくら世間に疎い悟空でも高校に入学したばかりで大怪我で休みなんてあってはならないことくらいは分かる。

仙豆もあまりないようだから乱用は出来ないのでどうしたものかと悩んでいると悟天が現れた。

「お父さーん」

「おー、悟天」

「修行してるの?」

「ああ、でもオラだけじゃ限界があってな」

それを聞いた悟天が手を挙げた。

「じゃあ僕が手伝うよ!」

「え?でもおめえ、組み手とか出来んのか?」

「うん!お母さんがお父さんが畑に行ってる時に色々教えてくれたんだ!」

「チチが!?」

それを聞いた悟空が目を見開く。

昔は悟林と悟飯を鍛えることに難色を示していたチチが自ら武術を教えるとは何があったのか。

「お母さんね、組み手とか教えてくれた時、怒りながらそんなんじゃあの世の姉ちゃんに顔向け出来ないって言ってたんだ」

「ふーん…」

悟林が死んでからチチは悟飯と悟天に対して強く言うことは少なくなった。

いや、娘が強い存在に強い関心を示すからこそ悟天を強くしなければならないと思ったのかもしれない。

まあ、悟天が闘えるのは悟空にとっても喜ばしいことなので修行を手伝ってもらうことにしよう。

「んー、じゃあこの石を父さんに投げてくれるか?距離はこんくれえで」

「え?こんなに近くて良いの?」

悟空が足で線を引いて悟天から少々距離を取る。

しかし、あまりにも近すぎるので悟天は驚く。

「オラはおめえがどんくらいのパワーがあるのか分かんねえからな。取り敢えずこんくれえかな?」

もっと近くても良いのだが、取り敢えず様子見も兼ねてだ。

「良いの?怪我しない?」

「大丈夫だ。思いっきり来い!」

「分かった!ほいっ!」

悟天の全力投球。

投げられた石は猛スピードで悟空に迫る。

「おっと!?」

思っていた以上のスピードに驚くものの、悟空は難なくかわしてみせた。

「凄ーい!流石お父さんだ!」

「おどれえたな…ガキの頃のオラどころか昔の悟林や悟飯以上じゃねえか」

このパワーは今の悟天と同じ年齢の時の双子以上だ。

どうやら次男は自分の知らないところで随分と成長しているらしい。

「ねえ、お父さん。僕もなって良い?超サイヤ人に」

「え?い、良いけどよ。でもおめえにはまだ…」

なれないと言おうとした時、悟天の髪が逆立ち、オーラが吹き出すのと同時に金色に染まる。

何の苦もなく超化した悟天に悟空は目を見開いた。

「びっくりした?」

「あ、ああ…信じらんねえや。オラも悟林も悟飯も超サイヤ人に変身するのに結構苦労したのによ」

「姉ちゃんと兄ちゃんも?」

「ああ、悟飯は9歳で、確か悟林は6歳の頃だったな。おめえはいつなれるようになったんだ?」

「んー、忘れちゃった。お母さんと組み手してる時になっちゃったのは覚えてるけど」

「んじゃあ、最近か…ん?チチとの…組み手で?おめえ、超サイヤ人で母さんに攻撃してねえよな?」

「う…実はお母さんを思いっきり吹っ飛ばしちゃって…」

「いいっ!?だ、大丈夫だったんか!?」

それを聞いた悟空は昔ヤードラット星から帰還した後に強くなりすぎてチチに軽く触れたつもりが吹っ飛ばしてしまった過去を思い出す。

「け、怪我はなかったよ!ただ…」

「ただ?」

「不良になったって泣かれちゃった…」

それを聞いた悟空は思わず脱力しながら苦笑した。

「チチの超サイヤ人嫌いは相変わらずだなぁ…よし、悟天。オラと組み手してみねえか?」

「本当!?トランクス君がおじさんと修行してるから僕もしたかったんだ!」

「へえ、ベジータが…」

今では主な修行場所はカプセルコーポレーションの重力室らしいから、ベジータもベジータなりに家族が大事になったようだ。

「行くよ!」

「おう!来い!」

「たっ!」

地面を強く蹴って悟空に鋭い蹴りを繰り出す。

それを悟空は右腕で難なく防御して悟天の連擊を軽く捌いていく。

攻撃が当たらないことにムッとなる悟天はスピードを上げていくが、悟空は舞空術で上空に移動する。

「あーっ!ずるいよお父さーん!」

「どうした悟天?超サイヤ人になれるなら舞空術くれえ使えるだろ?」

「飛べないよー!!」

「…超サイヤ人にはなれんのに舞空術が使えねえのか…チチは舞空術使えねえからなあ…」

順序が出鱈目な次男に悟空は苦笑したものの、相手をしていたチチが舞空術を使えないのだから仕方ないと思った。

取り敢えず降りると悟天の成長を褒める。

「でもやるじゃねえか悟天。オラや悟林も悟飯もおめえくらいの歳の時はそれほどじゃなかったぞ。本気で修行すればオラ達より強くなれるんじゃねえか?」

実際、次男の戦闘力はフリーザと戦っていた時の双子どころか自分さえ遥かに超えている。

このまま修行を続けているとどれだけ化けるのやら。

「本当!?でも僕、トランクス君と対決ごっこしてるけど全然勝てないんだ」

「へえ、そうなんか…こりゃあ悟天とちっこいトランクスの将来が楽しみだ」

未来のトランクスが伸び悩んだのは師匠と荒れ果てた未来の修行環境によるところが大きいのでベジータに鍛えられているこちらのトランクスは伸び盛りなのもあって強くなるだろう。

「悟飯もうかうかしてたらおめえ達に抜かれちまうかもな。よし、悟天、兄ちゃんより強くなってビビらせちまえ」

「にしし…」

同じ顔で悪戯っ子な笑みを浮かべて2人は帰宅する。

そして夕食の時間までのんびりしていたのだが。

「ただいまー」

「おう、お帰り…」

家でのんびりしていると長男が帰ってきたのだが、学校とやらに行っていたはずの息子がおかしな格好をして帰ってきた。

「おめえ何だその格好?」

「正義の味方!グレートサイヤマンです!」

そして悟空の前でポーズを決める悟飯。

悟空は悟飯の服装を見つめる。

緑色の道着の下は色は違うが、恐らく自分も着たことがある戦闘服のアンダースーツだろう。

そして戦闘服の手袋と靴を見ればかなり戦闘向きな格好なのは分かる。

実際に悟林も亀仙流の道着に戦闘服の手袋と靴を着けていたのだからこの組み合わせはかなり似合ってる方だろう。

ヘルメットとマントさえ無ければの話だが。

「なあ、悟飯。おめえそれギャグでやってんのか?」

あまりにも凄い格好の息子に思わずギャグでやっているのかと聞いてしまう。

「ギャ、ギャグ!?嫌だなあ、お父さん。これ格好良いと思いませんか?」

「いや、だせえな」

「んな!?」

父親にダサいと一蹴された悟飯はショックで硬直する。

しかし、気を取り直して悟飯は悟空を見返そうとしたのか、新たなポーズを見せようとする。

「なら、このポーズを見てもそんな言葉が言えますか!?天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!悪を倒せと僕を呼ぶ!正義の味方!グレート!サイヤマン!!」

「………」

悟空は唖然としながら悟飯を見ていた。

まるでギニュー特戦隊みたいなポーズにどう反応すれば良いのか分からないのだろう。

「どうですかお父さん!?」

自信満々に尋ねる悟飯に悟空は優しく息子の肩を叩いた。

「悟飯、おめえ勉強で頭が疲れてんじゃねえのか?今日は風呂入って早く寝ろ。母さんにはオラが言っといてやるから」

「お、お父さん!?」

渾身のポーズが通用しなかったことにショックを受ける悟飯だったが、悟空はチチの元に向かった。

こうして悟飯は悟空を唸らせるポーズを編み出そうとあれこれ考えを巡らせて普段よりも遅く寝て起きてしまい、悟空の気遣いは無駄になってしまったのだが。

因みにこのことをカプセルコーポレーションに行った際にベジータに言ったら初めてベジータから悪感情抜きの哀れみの視線を頂戴した悟空であった。

きっと悟飯は勉強のし過ぎで頭がおかしくなってしまったのだろうから、近いうちに悟飯を修行に連れ出そうと思った悟空であった。

体を目一杯動かせばきっと頭がスッキリするだろう。

そして悟飯が奇抜な格好で登校してから悟空はトラックに野菜を積むと運転しながらカプセルコーポレーションが経営しているレストランに野菜を出しに向かい、その後にベジータと対戦をしていた。

「なあ、ベジータ。聞いてくれよ。悟飯の奴、止めろって言ってんのに聞かねえんだぜ?」

「…あのおかしな格好か?ブルマが有り合わせの物で用意した物らしいが」

「ねえ、おじさん。本当に悟飯さんにあれ止めさせた方が良いよ。ダサいって」

「オラもそう言ったのに格好良いって言って聞かねえぞ」

「ふん、平和ボケしたせいで頭までボケたか」

悟飯に対してトランクスも加えてかなり酷い会話になっているが、グレートサイヤマンの格好がダサいのだから仕方ない。

しばらくすると悟飯の気を感じたので悟空はそちらに向かうとヘルメットを外してバンダナとサングラスを身につけた悟飯の姿があった。

もし悟飯だと分からなかったら不審者か何かだと思っただろう。

「悟飯…」

「あ、お父さん!仕事お疲れ様です!どうですかこれ!?格好いいでしょ!?」

「だせえな」

「んな!?」

「なあ、ブルマ。悟飯に変なもんやるなよ」

悟飯の格好を一言で一蹴すると目の前にいる元凶のブルマに息子に変な物を渡すなと言う。

「孫君たら、本当にセンスがないわね。あたしが有り合わせの物と言っても悟飯君に似合うように選んだのよ。変なわけないわ」

その堂々とした発言に悟空は唖然となる。

「あ、そうだ。お父さん…お父さんも1ヶ月後に開催される天下一武道会に出てもらえませんか?」

「へ?天下一武道会?何でだ?」

久しぶりに聞いた懐かしい大会の名前に悟空は不思議そうに首を傾げた。

「何でも悟飯君、クラスメイトの娘に正体がバレちゃって、天下一武道会に出るように言われたらしいのよ。ミスター・サタンの娘でミスター・サタンの前のチャンピオンの孫君にも出て欲しいそうよ。こんなあっさりバレちゃうなんて、あんたに似て抜けてるわねぇ」

「ミスター・サタン?あいつって確かセルに吹っ飛ばされた奴だろ?おめえそいつの娘とクラスメイトっちゅう奴なんか」

聞き覚えのある名前で、一度見たら忘れられそうにない濃くて愉快な男を思い出した悟空。

「はい、でもビーデルさんは悪い奴は放っておけないみたいで良い子なんです。お父さん、駄目でしょうか?」

「うーん、チチに聞いてみねえとなあ…。」

「あ、そうですね…母さんを説得しないと」

「でも孫君と悟飯君なら優勝と準優勝はほぼ確定よねー」

実際悟空と悟飯は地球では最強クラスの実力者であり、そんな2人が出ては優勝と準優勝は確定したようなものだ。

「そいつはどうかな?その何とかって大会…貴様らが出るなら俺も出る」

「「え?」」

「悟飯…あの時は貴様ら姉弟とは大きな力の差があったが、今はどうかな?貴様が平和に浮かれている間も俺はトレーニングを続けていた。」

実際に今やベジータと悟空との間に大きな実力差はないが、7年間、勉強に傾倒していた悟飯はセルゲーム時とはかなり力が衰えている。

「はは!悟飯、おめえやべえかもな?」

「そ、そうですね…」

「凄いや!お父さん達が闘うの!?」

悟空、ベジータ、悟飯。

地球では間違いなく最強の3人の試合が見られることにトランクスは興奮する。

『その天下一武道会、私も出るよーっ!!』

聞き覚えのある少女の声に全員の目が見開かれた。

「ね…姉さん…姉さんの声だ…!」

「ああ、久しぶりに聞いたなー。悟林の声…」 

「悟林…!?」

悟飯も悟空もベジータも7年ぶりとなる悟林の声に耳を傾ける。

『久しぶりみんな!』

「元気だった?姉さん!?」

『え?あー、うん…一応元気だよ。うん、元気…死んでるけどさあ…』

悟林は悟飯の問いに対して界王の背に触れながら苦笑を浮かべていた。

死人だから病気とは縁遠いので確かに元気と言えば元気だ。

「本当に…本当に天下一武道会に来られるの姉さん!?」

『うん!占いババさんに頼んでたった1日だけ戻れる日はその日にするよ!その天下一武道会って言うのにお父さんとベジータさんが出るんなら私も絶対に出る!!久しぶりに2人と手合わせしたいもんね!!』

「え?姉さん、僕は?」

『私は悟飯のお姉ちゃんだよ?悟飯が修行サボって勉強漬けの毎日を送ってることくらい予測してるよ。どうせセルと闘った時より弱くなってんだから最初から期待なんかしてないから安心して、大体悟飯の戦い方はワンパターン過ぎて飽きたから相手にするの面倒臭い。』

「んなあっ!?」

7年間修行をサボっていたことを見破られている上に眼中にない扱いを受けた悟飯はショックを受けた。

「天下一武道会、楽しみにしてっぞ悟林。」

「当日までに覚悟を決めておけ、俺は随分腕を上げた…」

ショックで硬直している悟飯を放置して、好戦的な笑みを浮かべながら言う純血のサイヤ人の2人。

『それは私も同じだよ。言っとくけど私も7年前とは比べ物にならないくらい強くなってんだからね。お父さん、ベジータさん、天下一武道会で試合出来ることを願ってるよ!それじゃあ2人共、またね!!』

「おう!界王様達にもよろしくな!」

こうして悟林からのあの世からの通信が切れた。

「良かったじゃない!早くチチさんや悟天君に教えてあげなさいよ」

「そうだな」

特にチチは悟林とは7年ぶりの再会となるのだから、早めに教えてやらねば。

「悟林か…良いぞ、面白くなってきた」

7年前に死んだ悟林との再戦が出来る機会が訪れたことにベジータは静かに闘志を燃やす。

「…あ、そうだ。お父さんやベジータさんも正体がバレないようにこういうコスチュームを着なければ。姉さんにも勧めた方が良いかな?」

「オラ、絶対にそんな変な格好したくねえ」

「貴様と意見が合うとは珍しいな。俺もそんな格好をするくらいなら死んだ方がマシだ。悟飯…貴様、本気でその格好で悟林に会うつもりか?」

グレートサイヤマンのコスチュームを勧める悟飯に悟空とベジータは当然のように却下する。

「え?そうですけど?姉さんもグレートサイヤマンの格好良さに驚くだろうなあ」

「…カカロット、貴様の息子なら止めろ。再会直後に殺されても知らんぞ」

ベジータの脳裏には奇抜な格好の悟飯が悟林の怒りを買い、悟飯が殺されそうになる光景が簡単に浮かんだ。

「そんなことオラに言われたってな…」

当然悟空も悟林がグレートサイヤマンの格好の悟飯を見た時の光景が簡単に想像出来たのだが、グレートサイヤマンの格好を格好いいと言っている悟飯には通じないのだ。

「あの人が悟飯さんのお姉さん?」

「そうよー、あんた滅茶苦茶可愛がられてたんだから。とにかく伝えられる人には伝えてきたら?」

「そ、そうだな。よし、行くぞ悟飯」

「は、はい!」

悟空はトラックをカプセルに戻すと、舞空術で早速師匠と親友夫婦が暮らすカメハウスに向かう。

「へえ、悟林ちゃんか…懐かしいな。良かったじゃないか、久しぶりに家族が揃うんだし」

1日だけとは言え、7年前に死んだ親友の愛娘が帰ってくることをクリリンは素直に喜んだ。

「ああ、クリリン。おめえも天下一武道会に出ねえか?」

「え?俺も?どうするかなあ…悟空達が出るんじゃ絶対優勝出来ないしな~」

若い頃を思い出して久しぶりに天下一武道会に出てみたい気持ちがあるが、サイヤ人の面子が出場するのなら優勝出来る可能性は0なのでクリリンは悩んでしまう。

「出場するべきですよ!5位まで賞金が貰えるらしいですよ!」

「どれぐらいの賞金が出るんだ?」

悟飯の言葉に反応したクリリンの妻となった人造人間18号が賞金額を尋ねる。

「え…と…優勝が1000万ゼニーで2位が500万…3位、300万…4位、200万…5位で100万ゼニーかな」

「出場しろクリリン!私も出る!!」

「そ、そうだな」

賞金額に目の色を変えた18号がクリリンに出場を勧めると、クリリンも同意する。

「うーん、天津飯は場所が分かんねえし…ピッコロのとこに行くか」

天津飯は居場所が分からないのでピッコロのいる天界に向かうことにした。

「やっぱりピッコロを誘うか………ところで悟空…悟飯のあのダサい格好は何だ?」

悟飯に聞こえないように小声で尋ねると、悟空も悟飯に聞こえないように小声で答えた。

「それがよー、正体がバレるのが嫌だからってあんな格好してんだぜ?」

「そうか…悟飯、あんまりその格好で町を彷徨くなよ?警察に追われるぞ」

「え?な、何でですか?」

「何でもだよ。ピッコロによろしくな」

正直、あんな格好をするくらいならば普通に正体がバレた方が良いのではとクリリンは思ったのであった。

そして悟空はピッコロに天下一武道会のことを、そして悟林も参加することを伝えた。

「なるほど、悟林か…よし、あの世であいつがどれだけ腕を上げたのか興味がある。出てみるか」

師匠として悟林があの世でどれ程成長したのかを見てみたいこともあり、ピッコロも天下一武道会への出場を決める。

「デンデはどうする?」

「いや、出ませんよ。僕は戦闘タイプのナメック星人じゃありませんから」

「ところで悟空。悟飯のおかしな格好は一体何だ?」

ピッコロが悟飯の格好について聞いてくるので、どうやらナメック星人の感性でもグレートサイヤマンの見た目は低評価のようだ。

「それがよー」

「やだなあ、ピッコロさんまで…これ格好良いと思いませんか?」

悟飯の言葉に微妙な空気になるが、ピッコロの参加を確認した悟空は天界を後にする。

「んー、ヤムチャにはブルマが言うだろうし…もう呼ぶ奴はいねえな」

「それにしても姉さんが1日だけでも帰ってきたらお母さん喜ぶだろうなー。悟天は初めて姉さんと会うことになるのかー!」

「そうだなあ…チチの奴、オラ達の出場許してくれっかなー?悟林の奴も相当強くなってんだろうから、オラも相当修行しねえと…」

あれから7年は経過しているので、最低でもセルゲーム時の倍くらいは強くなっているだろう。

悟空は修行内容と同時にチチへどうやって説得するべきかと頭を悩ませるのであった。

「(僕だってどうせ出るなら優勝したいしな~…姉さんに情けない奴だって思われるのも嫌だし、体も鈍っちゃってるから学校休んでみっちり修行しないと危ないと思うし…)」

悟飯も悟飯で姉に眼中にない扱いをされたことは少しショックを受けるのと同時にムッとなったらしく、見返してやりたい気持ちが出たのであった。

そして2人が帰宅して1ヶ月後の天下一武道会のために悟林のが帰ってくることをチチに伝えた。

「えーっ!悟林ちゃんが天下一武道会のためにあの世から帰ってくるって!?そったらビッグニュースなしてもっと早く言わねえんだよ!!良かったなー悟天!姉ちゃんと1日だけ会えるってよ!!」

「?」

初めて悟林と会うことになる悟天に言うとチチは更に言葉を続けた。

「あの子と会うのは何年ぶりだ!?…7年か!?こうしちゃいられねえ!悟林ちゃんが家に帰ってきた時のために悟林ちゃんの好きなもんたくさん用意してやらねえとな~パオズザウルスの唐揚げは絶対に用意しねえと…後はパオズヤモリの…」

「なあ、チチ。オラと悟飯も天下一武道会に出て良いか?」

「え?悟空さと悟飯ちゃんが?」

「う、うん…優勝すると1000万ゼニー貰えるんだけど…2位が500万と3位が300万…」

賞金額を聞いたチチが目の色を変えた。

「1000万ゼニー!?出場しろ2人共!悟空さとおめえと悟林ちゃんで1800万ゼニーも貰えるんだべっ!?」

「んー?もしかしたら途中で試合するかもしんねえぞ?」

「いいや!最低でも1000万ゼニーは貰えるはずだべ!」

「じゃあベジータ達も出るから修行してえんだけど?」

「構わねえ修行しろ!畑のことはオラに任せるだ!いやー、天の恵みだべ!悟空さの稼ぎとお父の残りの財産じゃ悟天の大学費まで出るか心配だったからなー」

逆に悟天の大学までは大丈夫なところに牛魔王の財産の凄さが分かる。

悟飯はホッとなって胸を撫で下ろした。

「1ヶ月後に姉さんに会えるのかー」

「姉ちゃんに会えるの?僕、姉ちゃんと遊ぶの楽しみ」

翌日の朝、悟空と悟飯、そして悟天の3人は早速道着を着て外に出た。

「よーし、やるぞおめえ達!」

「はい!」

「おー!」

超化して超サイヤ人となった親子3人での1ヶ月後の天下一武道会のための修行が始まったのであった。

修行を始めてからしばらくして悟飯が息切れを起こし、バテている間に悟空は悟天に舞空術を教えていた。

「あ、少し浮かんだよお父さん。」

「よーし、良いぞー。それくらい出来るようになりゃあ自由に飛べるようになっぞ。それにしても悟飯、おめえ体力がガキの頃より落ちてんじゃねえか?」

7年前ならこれくらいの修行でバテることなどなかったろうに、悟空は苦笑しながらチチが持たせてくれた水筒を悟飯に渡す。

「ど、どうも…はああ…全然思い通りに体が動かないや…」

水を飲んで深く深呼吸すると、自分の予想以上に体が鈍っていることに悟飯は溜め息を吐いた。

「超サイヤ人2にもなれねえんだろ?大丈夫なんかおめえ?」

正直ここまで鈍っていたとは悟空も思っていなかったらしく、表情にはどこか呆れが見えた。

「あはは…そ、それにしても悟天が超サイヤ人になれるなんて知りませんでした」

「そうだな、オラもちょっと前まで知らなかったし、オラ達の知らねえとこで悟天も成長してるってことだろ」

「そうですね…ん?」

悟飯の視線の先には1機のジェットフライヤーが飛んでいた。

「何だありゃあ?」

「飛行機だ!」

「まさか…」

よーく見ると操縦者は悟飯のクラスメイトのビーデルであった。

「や…やっぱり…悟天、ここに兄ちゃんと同じ学校に通っている女の人が来るけどその人にはあんまり強いとこを見せちゃ駄目だぞ。特に超サイヤ人には絶対になっちゃいけない。お父さんもお願いします」

「別に良いけどよ」

「不良だと思われるから?」

「うん…まあ、そんなところだ…」

取り敢えず修行は中断して一度自宅に戻ることに。

一方界王星では悟林が赤いオーラを放ちながら界王の指導を受けて両腕両足に錘を着けた状態で突きと蹴りを繰り出していた。

「ふふん、何だか古臭いトレーニングをしておるのう。」

界王の後ろから界王と同じ服を着た人物、南の界王が現れた。

「ふん、南の界王か…」

「相変わらず小さい場所だな…彼女が北エリアで1、2の実力を持つと言う孫悟林か…ふふふん…着けている錘の重量はどれくらいなんだ?」

「なあに、大したことはない。1つたったの2tさ」

「に、2t…!!」

両腕両足、しかも界王星の重力も考えると1つ20t、合わせて80tと言うとんでもない重量に南の界王は驚く。

「ふふん、どうやら驚いたようだな」

「ば、馬鹿言え。驚かないよーだ!我が南エリアにはパポイっ言うすっげー強い奴がおるのだ!そいつに比べりゃあんなのぜーんぜん大したことはないさ!!」

「ほう…!どうだ、今度北エリアの地球と言う星で格闘技の大会があってあいつも特別に参加するんだ。そのお前さん自慢のパポイって奴も出場させてはどうかな?」

「くっくっく…良いだろう。ぜーったいにびびるぞ!優勝間違いなし!」

界王は南の界王を見て何かを思い付いたのか悟林に声をかける。

「おーい悟林。もうちょっと重い錘に変えてみるか」

それを聞いた悟林は修行を中断して界王を見下ろす。

「い、良いけど…どれくらいの重さにするの?」

「そうだな、10tぐらい行ってみるか」

それを聞いた悟林と南の界王が目を見開く。

「10tっ!?さ、流石に無理だよ。10倍界王拳でもキツいのに一気に5倍なんてさ」

「しかも界王星の重力も合わせて1つ100tだ!相変わらずつまらん冗談が好きだな北の界王。」

界王星の重力も合わせれば重量がとんでもないことになるので、悟林も無理だと言う。

「超サイヤ人2なら余裕だろう?」

「へ?ま、まあなってもいいなら平気だけどさ」

その後、錘1つの重量を10tに変更。

界王星の重力を合わせて合計400tの重量となったが、超サイヤ人2へと変身することで楽々修行をする姿に南の界王は唖然としながら去っていった。

「ねえ、界王様…私を使って対抗するの止めてよ」

錘を外しながら上機嫌の界王に呆れながら言うと、界王は何も言わずにスキップしながら家に戻っていった。

そして場所は現世に戻り、パオズ山の自宅に戻った悟空達は自宅に戻ると、チチとビーデルの間でいざこざがあったものの、何とかチチを静かにさせて悟空がどうしたものかと頭を掻いた。

「んーと、おめえ舞空術使いてえんだろ?」

「あ、はい」

悟空が確認するとビーデルは頷いた。

父親の前のチャンピオンである悟空を見ると、本当に自分の父親と同年代なのだろうかと思う。

寧ろ悟飯の兄と言われた方が納得する若さである。

「じゃあ、おめえは気のコントロールは出来んのか?舞空術は気をコントロール出来ねえと使えねえんだ」

「気…?あの、おじ…さん…?気って何ですか?」

悟空の若々しい姿に“おじさん”呼びを若干躊躇したが、取り敢えず“気”の説明を求めた。

「やっぱり分かんねえか。んー、どう言やあ良いのかなあ…?」

“気”に関しては悟空はほぼ感覚で使っているのだ。

幼少期にも初めてかめはめ波を放った時も何となくで出来たのだ。

これは戦闘に特化したサイヤ人だからだろうが。

「こればっかりはコツを掴むしかありませんからね。えっと…“気”って言うのは体の中にある隠されたエネルギーと言うかパワーと言うか…」

「ええっ…!?何よそれ…隠されたパワー!?」

「こういう奴だ。」

悟空が軽く気弾を作り出すとビーデルに見せた。

「これが…気」

「触るんじゃねえぞ、危ねえからな」

いくら悟空からすれば軽くでもビーデルが触れれば大怪我に繋がるのだ。

ビーデルは触らないように気をつけて手を伸ばすと熱を感じる。

「熱い…気ってこんなことも出来るんだ。」

「こいつは気弾って言ってな。オラ達は離れた相手と闘う時にこいつを良く使うんだ。こんな風にな」

近くの岩に気弾をぶつけると岩が粉々になる。

「す、凄い…私にも撃てるかしら…」

「気ってのはおめえにもあるんだ。動物にも植物とかにもな。コントロール出来るようになりゃあこれや舞空術を使えるようになっぞ。まずおめえは気のコントロールを覚えねえとな。悟天と悟飯もやっぞ。特に悟飯は気の練り方が雑になってっからな」

ビーデルと一緒に悟飯と悟天の気のコントロールも一緒にやってしまおうと思ったのか、まずは瞑想をやらせることに。

悟飯と悟天は元々気の扱いは出来ているので、悟空は焦って気が乱れているビーデルに注意する。

「あー、駄目だ駄目だ。気が乱れてっぞ。あんま体に力入れんな。落ち着いて集中しろ」

「は、はい…」

取り敢えず今日は何とか浮くくらいにはなれた。

やはりビーデルは武道をやっているだけあって習得が早い。

「じゃあ後はおめえが教えろよ」

「え!?僕がですか?」

「おめえの恋人っちゅう奴なんだろ?おめえが面倒見ろよ」

「ちょっ!?お父さん何言ってるんですか!?お父さーん!?」

昼食の時にビーデルがお嬢様だと知った時のチチの言葉を信じたらしい悟空の言葉に悟飯は慌てて訂正に向かうのであった。

悟空達がパオズ山でビーデルを交えて修行している時、ベジータもまた天下一武道会に備えてカプセルコーポレーションの重力室で修行していた。

セルゲームの時よりも格段に強くなっているであろう悟林と、ライバルである悟空との対戦のことを考えると自然とベジータの修行に熱が入った。

そんな父親であるベジータを見ながらトランクスは高重力に耐えながらゆっくりと足を動かす。

そんなトランクスを見て、ベジータは口を開いた。

「無理をするなトランクス。部屋から出ていった方がいい。お前にこの150倍の重力はとても無理だ。」

戦闘力は高くとも、まだ幼いトランクスを案じて部屋を出ていくように促すが、トランクスは必死に足を動かす。

「夕べ、悟天君から電話があったんだ。悟天君も天下一武道会に出るって…だ、だから僕も出ようと思って…」

「ふふん…まるでお祭り気分だな」

笑みを浮かべるベジータだが、次の瞬間にトランクスの口から信じられない言葉が出た。

「や…やっぱり、このままじゃ辛いや…超サイヤ人になろっと…」

「何!?」

その言葉に驚いた直後にトランクスが超化して超サイヤ人に変身した。

それを見たベジータは我が目を疑う。

「あ…あいつ…何時から…伝説の戦士と言われた超サイヤ人に……いや、あいつのような前例があるんだ。有り得んことではない…か……トランクス」

「はい」

驚きはしたベジータだが、悟林も6歳と言う年齢で超サイヤ人に変身した例があったことを思い出し、重力室を軽々と動き回るトランクスを呼ぶ。

「カカロットの下の息子もなれるのか?…超サイヤ人に…」

「はい…」

ベジータの問いにトランクスが素直に答える。

「…まるで超サイヤ人のバーゲンセールだな…悟林の時といい、どうなってやがる…」

「ねえ、お父さん。悟天君のお姉さんってどんな人なの?」

「何故そんなことを聞く?」

「だってお母さんが赤ちゃんだった僕を凄く可愛がってくれたって言ってたし。弟子にされそうだったって愚痴ってたもん」

「………」

そう言えば未来のトランクスの最初の師匠は未来の悟林であることに影響された悟林がトランクスに修行をつけてやると言っていたのをブルマから聞いた。

「ねえ、お父さん。悟天君のお姉さんってどんな人なの?」

「闘いが好きで甘いサイヤ人だ」

ベジータにとっての悟林の人物像はこれである。

サイヤ人の血を濃く引いたことにより、サイヤ人の性質を強く持ちながらも地球人の甘さを持つ悟林。

超サイヤ人に変身出来るようになってからはサイヤ人の性質がより強く出たが、それでも純粋のサイヤ人のベジータからすれば充分甘いと言える存在だった。

その後、ベジータはトランクスと対戦し、トランクスを反射的に殴り飛ばしてしまうが、一撃を当てた褒美に遊園地へ連れていくことになった。 
 

 
後書き
ベジータは悟空と対戦する機会があり、ある程度の心の折り合いはつけた模様。

悟林

あの世での修行で大幅パワーアップ。

因みに悟飯の夢には全面的に認めており、修行サボリは悟飯を弄るネタとして使っているだけである。

現世に戻って絶望するまで後1ヶ月。

悟空

次男の出産に立ち会ったことで本人なりに父性が確立された。

悟飯のグレートサイヤマン姿に頭を悩ませている。

原作とは違い、超サイヤ人2までは変身出来るものの、超サイヤ人3にはなれず、戦闘力は原作より多少劣っている。

悟飯

何がどうしてこうなったのか、グレートサイヤマンへの変身が出来るようになったことで仲間や弟の友達、師匠、果ては父親の悟空にまでドン引きされてしまっている。

界王からの通信で悟林が天下一武道会に参加することに喜ぶものの、修行をサボっていたのがバレており、眼中にない扱いをされてショックを受ける。

悟林に殴られるまで後1ヶ月。

悟天

生まれた時には死んでいた姉に会えることに喜ぶ。

ピッコロから悟林の人物像を聞いているので怒らせないようにしようと心に決めている。

ピッコロ

弟子の悟飯の変貌ぶりに驚きながらも悟林が現世に戻ってくることに喜ぶ。

クリリン

1日だけとは言え悟林が帰ってくることを心から喜びながら悟飯が警察に追われないことを祈るのであった。

ベジータ

悟林が戻ってくることに闘志を燃やす。

悟飯のグレートサイヤマン姿に引きながらも悟林と悟空との試合のために激しい修行を繰り広げる。

因みに悟空が生きているために修行の密度が高く、悟空との実力差は大きく縮まっている。

トランクス

赤ん坊時代の自分を可愛がってくれていたと言う人物と聞いて悟林に興味を抱く。 
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