ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第20話
前書き
悟林が超サイヤ人になったことで原作以上にプライドがボロボロになったあのキャラも…
悟林は人造人間との闘いに向けて修行している時である。
今日は悟空とピッコロが悟飯に修行をつけているので、自分は今日は1人で修行していた。
何せ悟飯はフリーザが地球に襲来するまで勉強尽くしだったのだから体が鈍っている。
万が一、悟空や自分が人造人間に敗北した時、後に地球を守れる戦士でもある悟飯にはしっかりと生き延びて貰わねばならないからだ。
未来の自分でも敵わなかった相手のことを思うと少し張り切りすぎて神様が新しく直した月を壊してしまったが、気にしないでおこう。
誰もいない荒野で界王拳を何度も発動を繰り返す。
超化出来るようになったことで戦闘時での界王拳の使用の必要はなくなったが、気のコントロールの修行にこの技は最適であった。
全身の気を一切のブレなくコントロールする作業を繰り返すことで気の扱いは目に見えて向上する。
特にこの修行の恩恵を受けているのは魔貫光殺砲である。
最大威力を発揮するのに溜めが必要なこの技だが、従来よりも遥かに短い時間で溜め終わることが出来た。
「ふう…」
界王拳を解いて息を吐くと空腹であることに気付いた悟林は早速狩りに向かう。
探せば獣や恐竜くらいは見つかるだろうと、思って探すと中々に肥えた獣を発見し、それを狩ると気で焼いてあっさりと平らげる。
普通なら充分だが、悟林はサイヤ人。
1匹では足りず、更に獣を数匹狩ってそれを丸焼きにして平らげることで満腹となる。
「うーん、満足満足」
満たされた腹を撫でながら横になると、良い匂いがした。
「この匂いは…肉?それにこの気は…」
匂いを辿っていくと、そこには気功波で仕留めた恐竜の肉を食べているベジータの姿があった。
「…貴様か」
「あれ?ベジータさんじゃない。こんなところで修行?」
「ブルマの奴が重力室の電源を切りやがったんだ。サイヤ人の王子である俺を使い走りさせやがって…」
「ああ、買い出しさせられたんだね。でもブルマさん達のおかげでえーっと、300倍の重力室で修行出来るんだから良いじゃん。流石だねベジータさん…サイヤ人の王子様なだけあるよ」
「ふん、そうやって上から目線でいられるのも後僅かだ。貴様ら下級戦士一族の栄光はな」
「どういう意味かな?」
「俺もなれたんだ。超サイヤ人にな」
「ベジータさんが?穏やかな心がないとなれないのに?」
地球での暮らしで幾分静かになったが、戦闘力はともかく超サイヤ人になれる程とは思えない。
意外そうに見上げるとベジータは不敵な…彼らしい笑みを浮かべる。
「穏やかだったさ…穏やかで純粋だった。ただし純粋な悪だがな。ただひたすら、強くなることを願った。自分の弱さを認めると言う屈辱を受け入れ、凄まじい特訓を繰り返し、そしてある日俺は自分の限界に気付いた…。カカロットや貴様に先を行かれ、終いにはどこの馬の骨とも知らん奴にさえ先を行かれた自分への怒りで突然目覚めたんだ。超サイヤ人がな」
超サイヤ人が3人。
特に自分よりも年下で、ベジータからすれば正体不明のサイヤ人であるトランクスやそれよりも年下の悟林にまで負けたのはプライドを大きく傷つけられ、そしてその2人にまで負けているというその怒りが起爆剤となり、まだ足りないS細胞の数を補って余りある程に刺激して増やし、ベジータを超サイヤ人の領域へと押し上げたのだ。
「凄い…凄いよベジータさん…」
口から思わず出たのは感嘆。
そして思わず悟林は超化した。
「何のつもりだ?」
超化した悟林を見ても余裕の態度。
超化した理由など純粋なサイヤ人であるベジータは理解しているのだろう。
悟林は闘いたいのだ。
自分を上回る父親以外の超サイヤ人に。
「勝負しようよベジータさん…!」
「ほう、超サイヤ人の境地に達したこの俺に挑もうと言うのか?」
「うん!」
戦闘欲に支配された悟林の視線を心地良さそうに受けるベジータ。
「良いだろう…光栄に思うが良い!貴様はこの超ベジータ様の最初の相手だ!!」
「だああああーーーっ!!」
ベジータも超化し、2人は激突した。
超パワーのぶつかり合いにより、周囲の岩が吹き飛ばされていく。
拳と蹴りを互いに繰り出し、叩き付けるとクレーターの規模が深く、広がっていく。
悟林の拳を受け止めるとベジータは上空に蹴り上げ、吹き飛ばされた悟林は真上に気功波を放って急停止して真下を見るが、ベジータの姿がない。
「上だ」
「うわあっ!」
ベジータは悟林の脳天に組んだ拳を叩き付ける。
悟林は何とか体勢を立て直して着地するとベジータに気弾を連射する。
そして気弾に小型の気円斬もいくつか混ぜてベジータに放つ。
「俺にこんな小細工は効かん!」
しかしベジータは気弾に混ざった気円斬を見破り、全てかわしてみせた。
「本命はこっちだーーーっ!!」
しかし悟林とて気円斬がベジータに通じないのは予測済み。
気円斬は凄まじい殺傷力を誇るがスピードが遅いため、対処はしやすい。
いくら小型化してスピードを上げたとは言え、超化したベジータが見切れないはずがない。
しかし気円斬は凄まじい殺傷力のために回避にいくらか気を割かねばならない。
悟林はベジータの横っ面に全力の回し蹴りを叩き込んだ。
「ぐっ!!」
「だだだだだだ!!」
怯んだベジータに悟林はラッシュを仕掛ける。
数発貰ってしまったが、ベジータはすぐに立て直して悟林の腹に拳を叩き込んでそのまま気功波を放った。
気功波に押された悟林は岩壁に叩き付けられる。
「どうした?そんなものか?」
ベジータの挑発に悟林は自分を下敷きにしている岩を気で吹き飛ばすことで答えた。
「そんなわけないでしょ?こんな楽しいことあっさり終わっちゃ勿体無いよ」
「ふん…人造人間とカカロットとの闘いの前にこれ以上の余興はないだろうな」
「余興にしちゃ派手だけどね」
「くっくっく…これくらいが丁度良いだろうが!!」
「まあ、私は勝つつもりで行くけどね!!」
再び2人はぶつかった。
体格は言うまでもなくベジータが上だが、混血とは言え悟林とてサイヤ人。
自分より上の体格の相手と闘ってばかりなので機転を利かせて体格差を埋めていく。
「「はああああっ!!」」
次に悟林とベジータは高速で飛び回りながら気弾戦に持ち込み、とてつもない威力の気弾がぶつかり合って爆発が起きるが、2人は強めの気弾をぶつけ合って爆発の余波で距離を取る。
「かめはめ波ーーーっ!!」
「ギャリック砲っ!!」
気功波の押し比べとなるが、やはり経験だけでなく戦闘力も上を行くベジータには押されていく。
悟林の気功波は力負けしたので悟林は気功波を中断して横に飛んでかわすとそれを読んでおり、同じように気功波を中断して距離を詰めたベジータの拳を喰らって吹き飛んで地面に倒れる。
「特別に見せてやろう。俺の新必殺技、ビッグバンアタックをな!!」
舞空術で上昇し、気を放出すると手のひらに高密度の気弾を作り出した。
「はは…凄い気だ。」
かなり闘ったと言うのにまだこれ程の余力があるベジータに悟林は敬意を抱いた。
「これで終わりだ!!」
ビッグバンアタックが悟林に向けて発射されたが、これに対して悟林は笑みを浮かべた。
「悪いねベジータさん。私は負けるつもりなんかないんだ…私の中のサイヤ人の血が叫んでる…“もっと先へ、もっと強くなれ”ってさ!!」
「っ!!」
悟林の姿が悟空と重なったように見えたベジータは目を見開く。
「魔閃!かめはめ波ーーーっ!!!」
悟林もまた最高威力の技で迎え撃ち、ビッグバンアタックと魔閃かめはめ波の激突によって無人の荒野が凄まじい閃光で照らされた。
数分後、気絶した悟林はベジータによってパオズ山まで運ばれ、孫家の前で倒れていたと言う。
運んでくれたなら家の中に入れても良かったんじゃないかとも思ったが、ベジータはまだまだ修行中で調整の途中だったのだろう。
中途半端な状態で悟空と会うつもりはないのだと悟林は何となく分かった。
後日、会ったブルマに最近妙にベジータの機嫌が良いと聞いた。
会話の内容がほとんどベジータで構成されていたのでこの時代のトランクスに会えるだろうかと悟林はわくわくした。
最近修行の旅から帰ってきたらしいヤムチャの背が煤けていたが気にしない。
生まれたら未来の自分同様に自分が鍛えてやると意気込みながら日々の修行に打ち込む。
因みに悟空だけにベジータが超サイヤ人になれるようになったと報告すると。
「おーそっかそっか」
怪物魚の丸焼きに齧りつきながら、ライバルのパワーアップを喜んだのであった。
後書き
悟林とベジータが強くなってニッコリで食欲マシマシな悟空さ
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