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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第3話

 
前書き
取り敢えずベジータと従者さんとの対面 

 
荒野で弟とは別々で過ごし、1人で生き延びていた悟林は狩りで得た成果である狼と蛙を焼いた物を食べていた。

悟飯は気が乱れていないことから元気だと言うことが分かり、安心している。

「ピッコロさん、まだかな?」

岩に傷を付けていたので既に約束の3ヶ月は過ぎていることは分かっている。

今日ピッコロが修行をつけてくれるはずなのだが。

「生き延びたか、孫悟空の娘よ」

上から聞こえた声に悟林は立ち上がった。

「修行つけてくれるんだよね?」

「ああ、お望み通り…」

ピッコロが間を置かずパンチを繰り出し、悟林は両腕をクロスしてガードした。

「死んだ方がマシと思える地獄の特訓をな」

腕が痛みで熱いと感じたが、同時にこれからの修行に心を踊らせながら悟林はピッコロに飛び掛かった。

ピッコロは強かった。

父親の悟空が自分を誰よりもわくわくさせてくれる最強のライバルと言うのは伊達ではなく、悟林の攻撃を受け流して逆に痛烈な攻撃を加えた。

「どうした?その程度では生き残れんぞ。孫悟空の技だけに頼るな、俺との修行を通じて己の闘い方を身に付けろ」

悟空の闘い方だけでなく、ピッコロの技も動きも闘いながら学んでみせろと言うことだろう。

過酷なほどに燃える傾向がある悟林は真剣でありながらどこか楽しそうであった。

「行くよピッコロさん!!」

足に力を込めて一気にピッコロとの間合いを詰めてラッシュを繰り出す。

ピッコロは悟林の攻撃を全て見切って受け流し、蹴りを繰り出して吹き飛ばすが、悟林はかめはめ波を放った。

「その程度で…」

「今だ!」

片手を前に出すピッコロに悟林は腕を動かした。

「何!?」

するとかめはめ波の軌道が変わり、ピッコロの真横を通り過ぎ、そこで更に腕を動かすとかめはめ波がピッコロの背に迫る。

ピッコロは振り返り様にかめはめ波を弾き飛ばすが、悟林は既に距離を詰めてピッコロの腹にラッシュを叩き込む。

「だだだだだだっ!!!」

「温いっ!!」

ピッコロに弾かれて吹き飛ばされても何度でも立ち上がって突っ込んでいく。

2人の修行は更に勢いを増していき、悟飯の特訓の日の前日になった時には道着はボロボロであった。

「悟林、明日から弟の方を鍛えに行く。お前はここで再び3ヶ月修行しろ。3ヶ月経ったら弟の元に来い」

「分かった」

「お前は既に気のコントロールをマスターしている。俺の取って置きを教えてやる。サイヤ人との闘いの切り札になるだろう。まず2本の指を額へ、全身の気を額を通して指先に集める…」

「………」

全身の気を額を通して、額の指先に集中させると、指先に気が溜まっていく。

「そして気を前方に向けて放て!」

「はーーーーっ!!」

指先から放たれた螺旋を纏った高速の光線は大岩を容易く貫いたが、ピッコロの放った魔貫光殺砲と比べれば明らかに威力が劣る。

「よし…初めてにしては上出来だ。魔貫光殺砲…全身の気を指先に一点集中して放つ大技だ。最大まで溜めれば多少の実力差を覆せるが、気を溜めるには時間がかかる。使う際は気を付けろ。弟の方を鍛えている間、以前教えた魔閃光と一緒に完璧に仕上げろ」

「はい!!」

ピッコロが悟飯の元に向かい、悟林は次は魔閃光の練習をする。

「確か、魔閃光は両手を額に、全身の気を額を通して手のひらに…」

魔閃光は魔貫光殺砲と基本は同じだ。

魔閃光は威力が魔貫光殺砲に大きく劣るが、溜めの時間が短く、使い勝手に優れている。

悟空から教わったかめはめ波の練習も忘れず、悟林は2人から受け継いだ技の練度を上げていき、3ヶ月はあっさりと過ぎていった。

悟林は弟の元に向かうと姉の姿を認識した悟飯の方から駆け寄ってきた。

「お姉ちゃーんっ!」

「悟飯っ!」

駆け寄ってきた弟を受け止めると、久しぶりに見た弟は最後に見た時と比べて随分と逞しくなった。

筋肉も付いているし、背だって伸びている。

悟飯は久しぶりに見る姉の姿に涙腺が緩んでいるようだが、泣くまでにはなっていない。

「おい悟飯、姉が傍にいるからといって甘ったれるなよ。少しでもダラダラと甘えてみろ。貴様の首をへし折ってやる」

「本当にこれが泣き虫だった悟飯?本当にどんな修行をさせられたのかな?ピッコロさんから技は教わった?」

「うん、魔閃光を教わったの」

「そっか、お姉ちゃんも教わったよ。ピッコロさん、3人で修行やるんだよね?」

「そうだ、残りの3ヶ月…死ぬ気でやれ。生き残りたければな」

3人は残りの3ヶ月、3人での変則形や1対1での組み手、そしてピッコロに気功波の仕上がりを見てもらうなどをして、1年まで残り数日となった。

「痛ててて…」

悟林との組み手でボコボコにされた悟飯は腫れ上がった頬を押さえながら休憩していた。

「ふん、悟林に殴られてもぴーぴー泣かなくなったな」

初めての姉弟の組み手では姉に初めて手加減なしで殴られたことで何回か泣いたことがある悟飯であった。

「泣いたら強くなれないってピッコロさん言ってたでしょ。どうしたらお姉ちゃんみたいに強くなれるんだろ」

「さあな、経験の差もあるだろうが、あいつは孫悟空に似ている」

「お姉ちゃんはお父さんじゃなくてお祖母ちゃん似だって聞いたよピッコロさん」

「そう言う意味じゃない。あいつは内面が孫悟空に似ている。相手がどれだけ強かろうが、その強さに怯えるどころか闘えることに喜びを覚える。もしかしたらサイヤ人の血なのかもしれんな」

瞑想して体内の気を練っている悟林を横目に見ながら言うピッコロ。

そして次の日の食料調達の時間。

「うーん」

「どうしたのお姉ちゃん?」

「サイヤ人ってさ、やっぱり強いんだろうなって思ってさ」

狩りを終えて帰ってきた悟林が呟くと悟飯も頷いた。

「う、うん…前の僕達の叔父さんだって言うサイヤ人より強いって、ピッコロさん言ってた」

「もっと強い技が欲しいよね。でもピッコロさん、魔貫光殺砲が取って置きって言ってたからこれ以上の技はないんだろうね」

強い敵と戦うのだから、手数は多い方がいい。

しかし、師匠のピッコロが悟林に取って置きの技である魔貫光殺砲まで伝授したのだ。

時間もあまりないことだから、今の技の練度を上げるしかないのだろうか?

「………そうだ、悟飯。私が魔貫光殺砲を撃つから、悟飯は魔閃光撃ってよ。2つの技を一緒にすればもっと強力になるかもしれないし」

何となく思い付いた悟林は悟飯に提案したが、悟飯は乗り気じゃないようだ。

「余計なことをしたらピッコロさんに怒られるよお姉ちゃん?」

「自分で色々やるのも修行なの!やらなかったら恐竜の尻尾の肉は私が食べちゃうよ?いいの?」

「うう…ずるいよお姉ちゃん…」

修行で実力はついたものの、腕っぷしでは姉に及ばない悟飯は渋々両手を額に翳し、悟林も指先を額に当てた。

「………行くよ、悟飯!」

「うん!」

2人は同時に技を放った。

「魔貫光殺砲ーーーっ!!」

「魔閃光ーーーっ!!」

同時に放った技は変化を起こしていき、そして…。

「………」

悟林の思い付きの予想以上の威力に離れて双子の様子を見ていたピッコロの目を見開かせるのであった。

そして修行を続け、サイヤ人襲来まで後僅か。

ボロボロになった道着を新しくしてもらった2人は、問題点をピッコロに指摘してもらいながら組み手をしていたのだが、突然空が暗くなった。

因みに悟林は亀仙流の道着に“魔”の字が刷られた物で、悟飯はピッコロの道着に近い物を着ていた。

「ひ…昼間なのに…!急に暗くなっちゃった!」

「何が起こってるんだろ…?」

双子が空を見上げながら困惑している隣で、ピッコロはドラゴンボールが使われたことに気付いていた。

「(いよいよ孫悟空が蘇るか……と言うことはサイヤ人は思ったより早く来る…!?)」

ピッコロは残りの時間に出来る限りの修行をしようと急いだ。

そして翌日の午前11時43分。

ついに地球は2人のサイヤ人の侵入を許してしまった。

ピッコロは勿論、悟林も悟飯も、そして悟空の仲間達もサイヤ人の強大な気を感知した。

「これって…」

「と…とうとう来やがったか…!」

「物凄い気だね…」

地球の都市である東の都の方角を見つめる3人だが、次の瞬間に凄まじい衝撃波の余波に戦慄することになる。

「…………」

「お、お姉ちゃん…お父さん…来るよね…?」

緊張していた悟林は悟飯の弱気な発言に緊張が多少解れた。

「………あのねぇ、敵さんと向かい合う前にお父さんに頼ってどうすんの…」

呆れたように言うと悟飯は恥ずかしそうに笑った。

「ご…ごめんなさい…」

「大丈夫だよ、悟飯。この日のために一生懸命修行した。後は修行の成果をサイヤ人にぶつけるだけだよ。それに悟飯と一緒に編み出した切り札もあるんだから」

「う…うん……お姉ちゃんは怖くないの?」

「ん?怖いよ?でも…何でか分からないけど、わくわくしてる」

弟の問いに悟林はそう答えた。

強大な敵と戦うことへの恐怖は勿論あるのだが、同時に気分が高揚していく。

2人が話しているとサイヤ人が動き始めた。

「来る…!奴らはここに来るつもりだ」

「うん!」

「はい!」

3人は闘いに向けての準備をし、こちらに向かってくるサイヤ人達に備えた。

そして午後0時20分、鳥や動物達はこのただならぬ気配を敏感に察知し、この地を去り始めた。

「恐れることはない…俺達は1年前とは比べもんにならんほど強くなった…」

「うん!」

「は…はい!」

ピッコロが重りのマントとターバンを脱ぎ捨てると、こちらに向かってくる気を感知した。

「ピッコロさん、あっちから何か近付いてくるよ?」

「そのようだ…他にもまだこっちに向かってくる奴が…!」

「サ、サイヤ人って、ふ、2人だけじゃないの!?」

するとピッコロの近くに誰かが降り立ち、ピッコロ達は構えた。

「サ、サイヤ人!?」

「あーっ!クリリンさん!」

「やあ!久しぶりだなピッコロ…」

それは悟空の親友のクリリンであった。

「何だ貴様か…ふっふっふ…ここに何の用だ!?邪魔者にでもなりに来たのか!?」

辛辣な物言いだが、以前と比べれば刺がなく、クリリンは笑いながら口を開いた。

「そう言うなよ…これでも少しは腕を上げたんだからさあ」

「そのようだな…他にもここに来ようとしている馬鹿がいるようだが…?」

「ああ、きっとみんな来る。俺が一番ここの近くにいたんだ。」

「思い出した!亀仙人様の所にいた人…」

悟飯もようやくクリリンのことを思い出したようだ。

「ああ!クリリンだ。お前ら随分逞しくなったな!悟空のガキの頃みたいだぜ!」

「小さいけど強いんでしょ!?お父さんが良く言ってました!」

「お父さんが小っちゃい時に亀仙人のお爺ちゃんの所で一緒に修行してた時、良くズルして良い奴だけどズル賢いってお父さん言ってたよ?」

それを聞いたクリリンが微妙な表情を浮かべる。

「小さい…ってのは余計だったな…あの野郎…ちょっとでかくなったと思って…ま、まあ…あの時の俺は良くも悪くもガキだったからな」

「僕達と一緒に闘ってもらえるんですねっ!」

「しかしお前ら、ピッコロなんかに鍛えられて辛かっただろ…」

「ん?結構楽しかったよ」

「ピッコロさん、思っていたよりとっても良い人…」

クリリンから小声で尋ねられて双子がそれぞれの言葉を返すと、ピッコロが注意を飛ばしてきた。

「お喋りはそこまでだ。来たぞ!」

全員が空を見上げると、上空には2人の男がいた。

1人はスキンヘッドが特徴の大柄な男、もう1人は逆立った髪が特徴の小柄な男。

「くっくっく…いたいた…!1匹増えてお強そうなのが4匹…」

「どうやら俺達のことは良ーくご存知だったらしいぜ…」

自分達を見下ろすサイヤ人。

ラディッツの時も凄まじい威圧感を感じたが、2人から放たれる威圧感はその比ではない。

「あ…あいつらがサイヤ人か…!な…なるほど、物凄い気を感じる…ま…正に鬼気迫るって奴だぜ…!」

2人のサイヤ人が降り立ち、ピッコロ達と相対する。

「なるほど…お待ちかねだったようだな…」

「そう言うことだ…念のために聞くが貴様ら…ここに一体何しに来やがった…!」

ピッコロが尋ねると小柄なサイヤ人はピッコロの声に反応した。

「その声…そうか、ラディッツを倒したのは貴様だな?」

「声…!?」

小柄なサイヤ人のその言葉にピッコロが疑問を抱いた。

「ラディッツが言わなかったか?こいつは通信機にもなっているんだ」

着けている小型メカを指差しながら言うと、隣の大柄なサイヤ人がピッコロを横目で見ながら口を開いた。

「あいつナメック星人だぜ…」

「らしいな…ラディッツの奴が殺られてもそれほど不思議じゃなかったわけか…」

2人のサイヤ人の会話にピッコロが反応する。

「!?………ナメック星人……?」

「ピッコロさん、地球の人じゃないの…?」

「…ピッコロ、お…お前も宇宙人だったのか…!?ど…道理で…」

「そ、そうなの?ピッコロさん」

悟林もクリリンも悟飯もそれぞれの反応を見せるが、クリリンはピッコロの強さが宇宙人ならばと納得したようだ。

「分かったぞ!ナメック星人は並外れた戦闘力の他にも不思議な能力を持っているらしい…!魔法使いのようなことが出来る奴もいると聞いたことがある…ドラゴンボールとか言うやつを作ったのは貴様だろ…!」

「ド…ドラゴンボールのことまで知ってるのか…!」

サイヤ人達がドラゴンボールのことを知っていることにクリリンは驚く。

「そのドラゴンボールが一番の目的だ。俺達に寄越すんだな!いくらナメック星人だってよ、1匹やそこらじゃ俺達には蝿みてえもんだぜ」

「へっ…ありがとうよ。おかげで俺様の祖先のことが何となく分かってきたぜ…だが、残念だったな…ドラゴンボールを作ったのは俺様じゃない…俺は闘いの方が専門なんだ…蝿みたいなもんかどうか…試してみやがれ!」

ピッコロが構えを取り、残りの3人も続いて構えを取って戦闘体勢に入った。

サイヤ人との闘いが始まろうとしている。 
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