真面目アイドル

「ですから」
「そう言うけれどね」　
　薊は自信のない円華に言った。
「多分津々慈ちゃんも花梨ちゃんもね」
「あの娘達もですか」
「そう言うわよ」
「リーダーはですか」
「円華ちゃんしかいないって」　
　その様にというのだ。
「言うわよ」
「そうですか？」
「津々慈さんは声優としても有望そうでね」
「うちのグループ声優事務所もありますしね」
「アイドルや俳優さんの事務所もあってね」
「しかも業界でかなり大手の」
　声優業界でというのだ。
「ありますね」
「だからそちらにもつてがあってね」
　それでというのだ。
「あの娘あっちでもね」
「活躍出来ますか」
「期待されていて花梨ちゃんはモデルとしてもね」
「あのスタイルだからですね」
「結構売り出してるけれど」　
「そういうことを聞くと」　
　円華は薊に暗い顔で応えた。
「私なんて」
「そうは考えたら駄目よ」
　薊は少し厳しい言葉で円華に注意した。
「自分なんかとかね」
「そうですか」
「どうして円華ちゃんがリーダーに相応しいか」
「そのことはですか」
「もう皆わかってるから」
「だからですか」
「リーダーお願いね、センターもね」　
　こちらもというのだ。
「いいわね」
「それじゃあ」
　円華は自信のないまま応えた、そしてだった。　
　ストロベリーと名付けられたグループのセンター兼リーダーとなったがかの図緒は兎角自信がなかった。
　だが結成してすぐにだった。
　二人に何かとアドバイスをして面倒を見てだった。
　二人の間を取り持ち意見も調停していった、そして。
　必死にレッスンもしていった、それを見てだった。
　津々慈も花梨もそれはとなった。
「いや、円華ちゃんがいてくれて」
「それでよね」
「私達上手にやっていってるわね」
「そうよね」
「私も花梨ちゃんも」
　ここで津々慈が言った。
「結構我が強くて自分が自分がで」
「そうした性格なのよね」
「間に入ってまとめるとか」
「そんなことしないし」
「それにあそこまでね」
「円華ちゃんみたいに真面目でないし」
「そう思うとね」
　花梨に対して話した。
「私達のリーダーはね」
「円華ちゃん以外いないわね」
「もう円華ちゃんだから」
「私達上手にやっていけるのよ」
「歌やダンスも凄く真面目で」
「私達の中で一番ね」
「レッスンとかは人にやれって言わないけれど」
　それでもというのだ。
「あそこまで熱心にやってるの見ると」
「私達も頑張らないとってね」
「自然にそう思うから」
「だから頑張れるから」
「そういうところからもね」
「やっぱり円華ちゃんがリーダーでないと」
「あの娘がリーダーでないとね」
　二人も話した、そして。
　二人も円華がリーダーにと認めていた、それで二人は自然と彼女を立てる様になった。もう完全にグループの軸になっていた。
　それはファン達も見ていてだった。