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庶民派

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第二章

 咳餓鬼は完全に乗り気になって政治家として選挙に出ることになった、夫や子供である一人娘も賛成し親戚も反対しなかった、むしろ反対しても出るつもりだった。 
 選挙の時は委員長に言われた通りだった。
 家庭の主婦であり母親であり庶民派であることをアピールした、選挙対策本部のスタッフ達は口々に言った。
「庶民の立場での政治です」
「これを訴えていきましょう」
「奥さんとして母親として」
「そうしていきましょう」
「そうですね」
 咳餓鬼も頷いてだった。
 兎に角選挙では庶民派をアピールした、組合そして政党のバックアップで選挙戦はかなり有利に進めていた。
 咳餓鬼の当選は間違いなかった、だが。
 ネットではその咳餓鬼についてこう書かれていた。
「中身ないよな」
「ああ、そうだよな」
「色々庶民派だって言っていてもな」
「その実はな」
「中身ないよな」
「それも全く」
「庶民とかばかり言ってな」
 そうしてというのだ。
「色々言うけれどな」
「それでもな」
「政策言ってないな」
「その中身ないな」
「それも全く」
「そうだよな」
「これがな」
 政治家として必要なそれはというのだ。
「庶民の為の政治って言うけれどな」
「福祉とか言ってな」
「家庭がどうかとか」
「主婦や母親の為とか言って」
「けれどな」
「完全の政策がな」
 これがというのだ。
「全くないな」
「そうだよな」
「それで与党の批判はするけれどな」
「それもやたらに」
「けれどな」
「中身がな」
 どうにもというのだ。
「全くないな」
「庶民派と言っても」
「やっぱり大事なのは政策だ」
「政策がないとな」
「どうしようもないからな」
 政治家はそれが重要だというのだ、何故なら政治家は政策を出してそれを実現させることが仕事であるからだ。
「それがないとな」
「お話にならないんだがな」
「あいつ政策ないんならな」
「幾ら庶民派でも」
「駄目だろ」
 ネットではこう言われていた、それでだった。
 咳餓鬼については能力について疑問が生じていた、だが。
 マスコミそして野党では石垣は野党の若きホープとなっていた、党首の江田原主男も彼女に笑顔で言った。黒髪をセットしていて太った家鴨の様な顔立ちの男だ。
「このままいってくれるかな」
「このままですか」
「庶民派をアピールしてね」
「主婦、そして母親であることをですね」
「それで与党特に首相をね」
「攻撃したらいいですね」
「そうしたらどんどん人気上がるから」
 だからだというのだ。 
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