FIRE STARTER ANOTHER
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第二章
一緒に働いてみると彼は真面目で仕事ぶりも丁寧で接客も適切だった。細かいところまで気が利いて親切だった。
新しく入ったのに私より出来た、それで二度目のシフトの時に彼に尋ねた。話しかけるつもりはなかったけれどついついそうしてしまった。
「前にコンビニでアルバイトしてたの?」
「高校の三年の間ね、受験の時はしてなかったけれど」
彼は私に答えてくれた。
「そうだったんだ」
「だから出来てるのね」
「そうだと思うよ」
「そうなのね」
それで納得した、そして同じシフトの時が増えてきて私達はその中で一緒に働いていったがいつも彼は頼りになった、私も彼のフォローをすることがあって私達は何時の間にか仲良くなった。交際している訳ではないが友達同士になった。
それである日大学で会った時に彼に言った。
「正直最初の時は最悪だったわね」
「合コンの時だね」
「いきなりボディーブローで」
「あの時は御免ね」
「もういいわ、けれどね」
それでもと彼に話した、今は同じ講義を受けている。学部も違うけれど共通の講義もあってそこで一緒になったのだ。
「今はね」
「普通にお話してるね」
「ええ、最初は酷いものでも」
そうした出会いでもだ。
「後で変わることもあるのね」
「そうだね」
「そのことがわかったわ」
私にしてもだ。
「本当にね」
「そうだね、今じゃ僕達友達だね」
「そうなったわね、じゃあこれからも」
「仲良くして行こうね」
「そうして行きましょう」
お互いに笑顔でやり取りをした、アルバイト先でも仲良く働いて大学でも挨拶を普通にする様になって世間話もする普通の友達同士になった。
とんでもないはじまりでも仲良くなれる、そのことがわかった。彼との出会いと今の関係から私もわかった。それは決して悪いものじゃない。笑顔で言えることだ。
FIRE STARTER ANOTHER 完
2021・6・30
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