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猫をおもちゃとして扱ったので

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第二章

「そうですよね」
「うん、けれどね」
「もう飼いたくないと言ってですか」
「うちに持ってきたんだよ、安楽死させてくれってね」
 黒と赤茶色の模様の雌の老猫を見つつ話した。
「そんな飼い主もいるんだ、歳を取って色々粗相をしたからって」
「命を何と思ってるんでしょうか」
「おもちゃだよ」
 獣医は眉を曇らせて答えた。
「そうとしか思ってないんだよ」
「最低ですね」
「全くだよ、それで飼い主はライス=ウィッグっていうけれど」
「そんな人ですか」
「随分卑しいん顔をしていたよ」
「そうですか」
「全く、けれどこの娘は死なせないよ」
 獣医はシーリンに強い声で言った。
「僕が家族に迎えるよ」
「そうしてくれますか」
「うん、命を救うのが獣医だからね」
 それ故にというのだ。
「だからね」
「この娘はですか」
「今から僕の家族だ、メリーというらしいから名前はそのままでね」 
 変えずにというのだ。
「うちに迎えるよ、メリー今から宜しくね」
「ニャア~~~」
 メリーも鳴いて応えた、この日から彼女は獣医の家族となった。それを見たシーリンはロザリーにこのことを元飼い主の名前まで話したが。 
 ロザリーはシーリンにこう話した。
「そのライス=ウィッグって捕まったわよ」
「そうなんですか?」
「詐欺容疑でね、あと児童ポルノや恐喝でね。それで調べたらうちのフィネガンを捨てたのも」
「ライス=ウィッグだったんですか」
「ええ、奥さんが飼っている猫も虐待していて」
 それでというのだ。
「何でもフィネガンが噛んだからね」
「そんなことをしたんですね」
「家の他の猫もそうしていてね」
 虐待していてというのだ。
「奥さんや子供さん達もで。それで奥さんに訴えられてね」
「逮捕されたんですか」
「それで色々な罪状も明らかになったのよ」
「そうですか」
「いや、猫をそんなおもちゃの様に扱う奴はね」
「他に悪いこともしてるんですね」
「というか命をおもちゃとして扱う奴は」
 そうした輩はというのだ。
「普通に犯罪もしてるわね」
「そうした場合が多いですね」
「ええ、けれどフィネガンもメリーも助かってよかったわね」
「そうですね、ですがひょっとしたらメリーはフィネガンのお祖母さんかも知れないですね」
「じゃあちょっと会わせてみる?」
「そうします?」
「ええ、そうしてみましょう」
 二人で話して実際にそうするとだった。
 何とメリーはフィネガンの曾祖母でメリーの子供や孫、曾孫達は皆彼女達を虐待していた輩の妻がそのまま飼っていることがわかった。今はそれぞれの家にいた二匹だったが家族とも再会出来てその再会も喜ぶことが出来た。不幸があった彼女達だが今は幸せだった。


猫をおもちゃとして扱ったので   完


                    2021・12・27 
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