僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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14-⑹
次の日も、清音は朝からやってきたが、様子がおかしいと感じた。
「清音 ちょっと来なさい 眼のまわりが落ち込んで黒いじゃぁ無い」と、私が、清音の額に手を当てると、すごく熱ぼかった。
「何よ 熱がひどいんじゃぁない 風ひいてるんじゃあないのー 何してんのよー ダメよ こんなことしてちゃー」
「うん でも ウチ 頑張らなきゃ― 今日一日だから」
「ダメ とりあえず ウチで暖かくして寝てなさい 後は私が、みんなに手伝ってもらってやっとくから」と、言って居ると、周りの人も「そうしたほうが良いよ」言ってくれて、私は、清音を家の中に連れて行ったのだ。蒼に「とりあえず、お父さんのベッドに寝かして、熱冷ましの薬を飲ませて」と頼んで。
「あのね 絶対、起きてきちゃぁ駄目よ 絶対に寝てなさい すごい熱あんだから よく、動けていたわね」
無理やり寝かしつけて、店に戻ると、佳乃ちゃんが
「店長 私 サンタさん やります」と、言ってきた。
「いいわよー 気にしないで あの子が勝手に楽しんでいたんだから」
「じゃぁ 私も 楽しみます」と、すると、明璃ちゃんが
「じゃぁ ウチ 外に行くね 佳乃ちゃん お店のお客様 お願い」と、もう、決めていた。
お昼前になって、清音が気になっていたところに、田中さんが
「清音ちゃん 大丈夫かね 様子見に来たのよ 着替えも持ってきたわ 少し、お台所も借りるわね」
「すみません 私、お店離れられなくって・・」と、案内だけして、田中さんにお任せした。今日も家族連れが多く来ていて、12時半頃には、お待ちいただく人が増えていた。蒼も車の整理に追われていた。もう、慣れたもんだったのだが。
そして、明璃ちゃんが、一人で・・「赤鼻のトナカイ」が聞こえて来た。そして、子供も巻き込んで輪をつくっていったのだ。お店の中で待っている子供も何人かは、喜んで、出て行ってしまっていた。
3時を過ぎて、ようやく私は、清音の様子を見に行けた。そーしたら、清音は起きていて、田中さんとふたりで、おかゆを食べていた。
「あっ すみません お任せしてしまって・・」
「いいのよ おかゆなら 何とか食べられるって言うからね 熱は少し、下がったみたい 清音ちゃん 梅干しって食べたこと無いんだって だから、卵も入れてあげたら、おいしいって」
「うん お姉ちやん ウチ 初めて食べたかも・・ 迷惑かけてしまって・・ ごめんなさい 明璃にも・・」
「清音ちゃんね 明璃ちゃんの歌声聞こえてきたら、私も行くって聞かなかったんだから・・ でも、親友が頑張っているんだから、甘えなさいって、ようやく、なだめたのよっ」って田中さんが清音の額に手を当てながら話してくれた。
「そうよ 清音 無理したら、治らないわよ」
「ウン ベッドね お父さんの匂いがする 何だか、幸せだった でも、少しお酒臭いけどね」
「そう ごめんね 急いでいたから・・ 我慢して」
「みすずさん 今日は、清音ちゃん このまま、泊めてあげて 後で、私の特製の風邪の特効薬 飲ませておくから、もう、治ると思うしね」
「そうですね じっくり、休んだ方がいいですよね 清音 張り切るのはいいんだけど、無理しすぎ」
私は、お店を閉めるのを晋さんに任せて、少し早い目に上がらせてもらった。家に戻ると、光瑠と明璃ちやんが、リビングに居た。蒼とお父さんとでお酒飲んでいたみたい。そして、清音も毛布を肩から掛けて・・。
「あら 光瑠 もう、帰ったと思ってた、明璃ちやんも・・早く、あがってもらったじゃあない」
「うん 蒼君と久し振りだしね クリスマスじゃぁない 武君に焼いてもらったんだ コレ でも、ちゃんとお金払ったよ」と、光瑠も珍しく飲んでいた。机には、スペアリブの残骸の骨が乗っていた。
「そりゃ いいんだけど、清音 まだ、スペアリブはきついんじゃぁない?」
「食べてないよ お父さんが オムレツ作ってくれたんだもの もう、元気になった」
その後、二人は、帰って行ったが、私は、清音の額に手をやって
「うん 熱はもう無いみたいだね」
「もう 楽になったよ おばぁちゃんが、帰る時、作ってくれたの 効いたんかなぁー ねぇ お父さん 山椒の黒焼きってあるの? おばぁちゃんが、りんごのすりおろしと私市のハチミツに栃木の山椒の黒焼きの粉って言ってたよ」
「うー 栃木って言っていたのか?」
「うん 栃木の鬼怒川の奥の方だって 確か」
「清音 それはな 多分 山椒魚の聞き間違いじゃぁ無いか」
「お父さん? 山椒魚って・・ヤモリみたいな奴?」
「うん 似ているかもな」
「山椒魚って 天然記念物なんでしょ そんなの手に入るの?」て、私、思わず聞いてしまった。
「大きなものはな あの地方では、昔から、黒焼きにして、強壮とか疲労回復の薬としているというのを聞いたことがある。もっとも、小さいものだろうけど・・粉末とか、そのまま酒に漬けたりして食べるそうな」
「ゲェー あの粒の山椒じゃぁないのー そういえば、少し嫌な臭いがした ゲェー お姉ちゃん 今晩 又 熱が出るかも・・」
「何言ってんの 良かったじゃぁ無い 元気になったんだから それに、普通じゃぁないもの、お召し上がりになられたんだからね」
「お姉ちゃん 妹がゲテモノ喰いだって ウワサになったら困るでしょ」
「バカ 薬だよ ワシはそろそろ風呂に入って、二階で寝るよ」と、お父さんが言いだした。
「お父さん ごめんね 占領しちゃって」と、清音が言っていたが
「いいよ それとも、久々に 一緒に寝るか?」
「やーよー お酒臭いし・・」
その後、清音は
「お父さん 元気で良かった お姉ちゃん ありがとう 私、シャワーして着替えたから、もう、寝るね 明日は、元気に農園に行くから」
「うん もう、一度 薬飲んでね」
「あのさー ウチ しっぽ 生えてきてない?」
「うん そーいえば お尻から何か出てきているかも・・」
「もう お姉ちやん!」と、毛布を私に、被せて部屋に消えて行った。
私の望んでいた幸せがここに戻ってきていると感じながら、蒼に寄り添っていったのだ。
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