僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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14-⑶
友野さんが早い目に産休に入ったので僕が、社内会議に出ていたのだ。社長が売り上げを伸ばす為に、営業にハッパをかけたのだが、新製品の開発をもっと、進めて欲しいと、営業の方からは、痛い所を突いてきていた。僕は
「新製品も何ですが、偉そうなこと言ってすみません。今までの取引先に、新製品を売り込んでも、そんなに売り上げは伸びないと思います。やっぱり、新規開拓じゃぁ無いと、全体を押し上げないと思うます。それと、そろそろ業務向けだけじゃぁなくて、一般向けのことも考える必要があるんじゃぁないかと・・」
「君は、簡単に新規開拓って言うけどなぁ よそに比べて、いい商品じゃぁ無いと、なかなか入り込めないんじゃ みんな、頑張っているんだよ 開発は、新製品だけじゃぁ無くて、コストを下げて、今までよりも旨いものを作るんも仕事だろー」と、営業部長の中林さんが言ってきた。どうも、僕は、この営業部長とぶつかることが多いのだ。
「ですけど、原料は上がっていますし、製造のほうにも協力してもらって、代替え品とか歩留とかをあげて何とか、今の原価を抑えているんです。他社が値上げをしてきても、ウチは値上げをしないでもいいように頑張ってます。だけど、それは、一時しのぎなんです。将来を見据えるんだったら、もっと違う方向を考えるのも必要じゃぁないですか」
「君は、営業が努力してないと、言って居るんか」
「三倉君の言っていることも、なんとなくわかる。このままの形態を続けていても、営業も苦しいだろうな。将来を考えて、営業からも、良い意見を出してもらって、みんなで考えようじゃぁないか」
と、製造部長の相馬さんが、中に入ってくれた。相馬さんは、部長クラスの中でも会社の経験年数も長く、この会議の中でも、比較的、意見が通るのだ。
「三倉君 さっき、一般向けにと言って居たが、何か、思うところあるのかね」と、社長が口を開いた。
「えぇ カレーのご飯とセットにした個食タイプです。レトルトでいきたいんですけど、ご飯とセットは難しい。だから、冷凍の会社とタイアップして、開発します。そうしたら、中華丼とかオムレツまで可能かと・・。あんかけうどんなんかも出来ると思います。これから、個食のニーズは増えるとおもいます。独身層が増えてきますから。そうしたら、今、増えてきている激安スーパーに入り込めるきっかけになるかもと」
「うーん やってみる価値はあるかもな」と、社長はしばらく考えていたが
「中林くん どう思う?」と、営業部長の意見を聞いた。
「うーん 実現できれば、営業の連中も頑張りますよ」
「よし とりあえず 挑戦しようじゃぁないか 三倉くん 道筋考えてくれ 中林君も出来るだけ、協力してやってくれ 友野君が居なくって大変だろうから」と、社長の一声だった。僕と、中林部長のことも気づかってくれたみたいだった。
「わかりました」と、営業部長もそう返事するしかなかったのだ。
僕は、会議が終わった後、相馬部長に
「有難うございます 助けてくださって」と、お礼を言うと、お尻をポンと叩かれて、
「がんばれよ」と、一言だけ言われた。
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