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頭の中の秘密

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第二章

「これを隠していたのね」
「そうだったんだな」
「これは密輸ですね」 
 弥永は二人に問うた。
「金を持ち込む際のお金を誤魔化す為の」
「くっ、それは」
「そのことは」
「すぐに警察に連絡しますので」
 弥永は悪事が露呈して苦い顔になる二人に告げた。
「そこで大人しくして下さい」
「まさかばれるとは」
「何ということだ」
 二人は遂に自分達の悪事を認めた、そうしてだった。
 警察に連行されていった、その後でだった。
 楓は弥永にこう言った。
「帽子をしているとわかりませんでした」
「そうだね、けれどね」
「ああした隠し方もあるんですね」
「鬘に隠してね」
「それでその上に帽子を被って」
「二重のカモフラージュをね」
 それを行ってというのだ。
「そうしてだよ」
「誤魔化すんですね」
「あのままだとチェックの誤作動ということでね」
「終わっていましたね」
「どうしても見付からないから」
 だからだというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「そうなっていたよ。悪いことをしようと思ったらね」
「ああしたやり方もあるんですね」
「あらゆるやり方を思いついて実行するから」
「私達も注意しないといけないですね」
「今回は黄金だったけれど」
「そればかりじゃないですね」
「宝石もあるし麻薬もね」
「ありますね」
「それで武器もね」
 これもというのだ。
「あるから」
「注意しないといけないですね」
「そう、だからね」 
「これからもですね」
「注意してね」 
 そのうえでというのだ。
「この仕事をやっていってね」
「わかりました、こんなこともあるんですね」
「悪人はあらゆる悪知恵を企んでね」
「やってくるんですね」
「そう、私達はそれを防ぐことが仕事だってね」
「わかってですね」
「やっていこうね」
「わかりました」
 楓は弥永の言葉に確かな声で頷いた、そうしてだった。
 この時からも税関職員の仕事を頑張った、悪人はあらゆる悪知恵を企んで実行して来ることを頭に入れて。この日のことを忘れないでそうしていった。


頭の中の秘密   完


                 2021・12・20 
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