歪んだ世界の中で
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最終話 再会その九
そしてその門を潜ってだ。桜の下で真人に言った。
「はじまるね」
「はい、これから」
「僕達一緒のクラスになれるかな」
「どうでしょうか。それは」
「わからないね。やっぱり」
「できれば一緒のクラスになりたいですね」
真人はそのことを心の中で願いながら希望に話した。
「そうして仲良く」
「そうだね。本当にね」
「ただ。一緒のクラスでなくても」
それでもだとだ。真人はこうも言った。
「一緒ですよ。僕達は」
「部活でも他の場所でもね」
「はい、一緒です」
「そうだね。一緒だよね」
「ですから一緒にクラスになれなくても」
それでもだというのだ。
「特に悲しむ必要はないですよ」
「そうだね。悲しんだりしないよ」
「はい。では」
二人でそのまま校庭に進む。そこにだった。
二年のクラス割が書かれていた。二人共お互いの名前を探した。
二人のクラスは一緒だった。そのことを確認してだ。
まずは二人で顔を見合わせてだ。笑顔で話した。
「じゃあこれから一年ね」
「お願いしますね」
「うん、こちらこそね」
二人であらためて挨拶をする。そしてだった。
真人は女子のところを見てだ。笑顔で希望に言った。
「僕はもう一つ幸せがありました」
「あっ、あの娘ともなんだ」
「はい、一緒です」
こう言うのだ。
「一年間。彼女とも一緒です」
「よかったね。いいこと尽くめだね」
「本当に。では」
「僕だね」
「遠井君はどうですか?」
「ちょっと待って。今見るから」
真人から目を離してだ。そのうえでだった。
希望はあらためてクラス割り、女子のところを見た。すると。
そこに確かにあった。あの名前が。その名前を見てだった。
希望は最初夢かと思った。だが、だった。
目を凝らしてみる。やはりだった。
その名前だった。間違いなかった。
希望はそのことを見て満面の笑みになった。それでだった。
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