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貯金は必要

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第一章

               貯金は必要
 西宮浩輔は職場の同僚である南崎郁恵と結婚することが決まった、それでお互いの両親からも笑顔で了承を受けた。
 西宮ははっきりした大きな目で鼻が高く長方形の顔をしている、黒髪を短くしていて背は一七六位で痩せている。郁恵は一五六程の背で穏やかな目で唇は小さく卵型の頭で黒髪を長く伸ばしセットしている。スタイルはかなりいい。
 その二人の結婚を聞いて彼等の先輩の鮎川博美はこう言った、黒髪をロングにしていてきりっとした顔立ちで特に切れ長の長い睫毛の目が印象的だ。背は一六七ありモデル顔負けのスタイルである。既婚である。
 その彼女が二人にこう言ったのだった。
「わかってると思うけれどお金はね」
「必要ですよね」
「そうですよね」
「そう、二人共浪費するタイプでないけれど」
 それでもというのだ。
「貯金はね」
「しておくことですね」
「結婚してからも」
「結婚してからは特にね」 
 こう言うのだった。
「そうしてね」
「何かありますか」
 西宮は博美に尋ねた。
「結婚してから」
「そう、何かとお金が必要になるのよ」
「独身の時よりもですか」
「交際している時よりもね」 
 博美は西宮に真顔で答えた。
「そうなのよ」
「そうしたものですか」
「本当に急にね」
 博美はさらに話した。
「必要になるから」
「貯金をすることですか」
「そう、幾らあってもね」 
 それこそというのだ。
「困らないからね」
「貯金しておくことですか」
「二人共そうしてね」
「ううん、確かに私達貯金してますけれど」
 郁恵も言ってきた。
「それでもなんですね」
「これからはね」 
 結婚してからはとだ、博美は郁恵にも話した。
「気をつけて貯金してね」
「節約することですね」
「そうしていってね、いいわね」
「先輩がそこまで言われるなら」
 郁恵は頷いた、そしてそれは西宮も同じで。
 二人は結婚してからも貯金をした、そうしていると。
「今度は奥村にだな」
「ええ、結婚されるからね」
 郁恵は家で夫に話した。
「贈りものしてね」
「お金も出さないとな」
「そうよね」
「この前は部長のお父さんが亡くなってな」
「香天出したしね」
「正月は親戚の子達におとし玉あげないとな」
 西宮はこちらの話もした。 
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