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オズのラゲドー氏

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第九幕その五

「風がなくてもね」
「風を受けて」
「そしてこんなに速く進むんだ」
「そうなんですね」
「だからもう谷の向こうに行くのも」
 このこともというのです。
「すぐだよ」
「そうなんですね」
「そしてわしはここの渡し守なんだ」
 鷲頭の人も言ってきました。
「人が来るとね」
「こうしてですか」
「ヨットで来て」
 そうしてというのです。
「谷の向こうまで送るんだ」
「それが貴方のお仕事ですか」
「人が来ればわかるんだ」
「どうしてわかるんですか?」
「わしの目は千里眼でね」
「だからですか」
「この谷のことなら」 
 それならというのです。
「隅から隅までだよ」
「見られるから」
「だからすぐにだよ」
「ここに人が来れば」
「それでだよ」 
 すぐにというのです。
「わかるからね」
「それでその人のところにですね」
「さっきの様にね」
 まさにというのです。
「このヨットに乗って」
「そうしてですね」
「渡し守をしているんだ」
「そうですか」
「だからだよ」
 さらに言うのでした。
「何の問題もないよ」
「そうなんですね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「それは朝からお昼、夕方までで」
「夜はですか」
「わしは梟やミミズクじゃないからね」
 夜の鳥ではないからというのです。
「それでだよ」
「ああ、それだと」
「鷲だからね」
 鳥としてはというのです。
「だからだよ」
「夜はですね」
「寝ているんだ」
「そうですか」
「だから朝から夕方まで働いて」
 そうしてというのです。
「夜はね」
「ぐっすりとですね」
「そうなんだ」
「そうですか」
「うん、そういうことでね」 
 ナターシャに笑顔でお話しました。
「またここに来たなら」
「夜はお休みということを」
「理解しておいてね」
「わかりました」
 ナターシャは鷲頭の人の言葉に頷いて答えました。
「そういうことで」
「それじゃあね、谷の向こう側まで行こう」
 鷲頭の人はこうも言いました、そしてです。
 皆は空飛ぶヨットで谷を渡りました、ヨットはとても速くて向こう側まですぐに着きました。そうしてです。
 谷の向こう側に着くと降りました、すると。
「ではまたね」
「ええ、またね」
 鷲頭の人とトロットが笑顔で言葉を交えさせました。 
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